野火丸くんから警視庁で任務の説明を受けた帰り道、家に向かって歩いていると背後からものすごく大きい声で名前を呼ばれた。周りにいる人たちがぎょっとして声の主を見ている。
この声は間違いない、花楓くんだ。聞こえないふりをしようにももう足を止めてしまった。観念してそろそろと後ろを振り返れば、笑顔の花楓くんがぶんぶん手を振ってもうすぐそこまで来ていた。一体どれくらい遠くから名前を呼んでいたのだろう。

「ね、ね、なまえちゃん今帰り?俺なまえちゃんに話したいことあったんだよね!」

わたしの目の前で立ち止まった花楓くんは人懐っこい笑顔でそう言いながらわたしを見下ろした。周囲で足を止めていた人たちはもう興味を無くしたのか、元通りに歩みを進め始めている。
これは弱いものが強いものに怯えてしまう本能なのかなんなのか、とにかくわたしは花楓くんが苦手だった。
嫌いな訳ではないのだけれど、花楓くんのこの大きすぎる体も、タトゥーもピアスも、ころころ変わる機嫌も、何故だかわたしによく構うところも、不思議とすべてに畏怖してしまう。
そんな訳で、わたしは今日も大きな花楓くんの体の前ですっかり縮こまってしまっていた。

「え、えっと、花楓くん、わたしに話したいことって……?」
「あのさー、なまえちゃん俺と交尾しよ!」
「こ……っ!?」

ここは人通りの多い道だというのに、花楓くんは相変わらずの大きな声でハッキリとそう言ってのけた。ぱくぱくと口を動かすわたしを見て首を傾げた花楓くんは「あれ?」と不思議そうな顔をする。

「もしかしてヤダ?それか、なまえちゃん交尾したことないとか?やり方わかんないなら俺が教えてやるよ!まず俺のちんちんをー」
「わかります!!」

このままだととんでもない事を口走りそうだったので、わたしは慌てて花楓くんの大きな体を押して否定した。
しかし、花楓くんの大きすぎる体はわたしが押したところでびくともせず、なんなら花楓くんは押されたとも思わなかったらしい。花楓くんはわたしの体をぎゅっと抱きしめると、へへぇっとうれしそうな声をあげた。
その笑顔はものすごくかわいいけれど、違う、違うよ花楓くん。わたしは抱きつこうとしたわけじゃない。

「そんじゃあさ、さっそく今からヤろ!どこでする?俺はどこでもいいぜ!」
「えっ、あの、ちょ……ひゃわっ」

道のど真ん中でぎゅうぎゅうわたしを抱きしめながら、花楓くんはキョロキョロと周りを見渡している。まさか、ほんとにわたしとえっちするつもりで、出来そうな場所を探しているのだろうか。
常識の無い花楓くんならやりかねない。その上、わたしよりものすごく体は大きいし力も強い。ビルの隙間にでも引きずり込まれたらどうしよう。
ぶるぶると震えるわたしをひょいと抱えた花楓くんは「そうだ!」とぱあっと顔を輝かせる。何を思いついたんだろう。絶対ろくなことじゃない。

「こっから赤城さんち近いし、赤城さんち行こ!」
「ダメ!絶対ダメ!」

早くも歩き始めた花楓くんを慌てて止めて、わたしは花楓くんの腕の中で必死に頭を働かせる。赤城さんのお家に行っても入れてもらえる訳ないし、最悪、幻術で誤魔化されて花楓くんが怒って暴れ出すかもしれない。
そうなったらきっと暴れた花楓くんにそのままがぶりと噛みつかれて、お腹の中に収められてしまう。わたしなんかを食べるのはきっと一瞬のはずだ。
そうならない為には、とりあえず花楓くんをどこかへ連れて行かなくては。

「え〜?なんでぇ?」

あからさまに不機嫌になった花楓くんに、ひぇっと小さく悲鳴をあげてしまった。こわい。こわいけど、どうにかしないと。

「……っわたしの、家!花楓くん、とりあえずわたしの家はどうかな?」

とにかく、変なところへ連れて行かれるのを避けなくては。家に着いてから花楓くんを説得し直して、帰ってもらおう。それが一番だ。
わたしの提案を聞いた花楓くんはぱあっと顔を輝かせると、るんるんと上機嫌に歩き始めた。

「それならなまえちゃん、道教えてよ。このまま連れてった方がはやいもん」
「えっ、このまま」
「うん。やわらかくってなまえちゃんさわってるのきもちいいし!」
「ひゃっ、お、おしり、触らないでぇ……っ」

早くヤりたいな〜なんてにこにこする花楓くんとは裏腹に、わたしの血の気はどんどん引いていっている。家に着くまでに丸呑みにされてもおかしくない状況に、体がぶるぶる震えていた。





♡    ♡    ♡





「あ゛っ♡んぐっ♡かえ、かえでくっ、ん♡も、やめ……っ♡♡」
「え〜、なんで?なまえちゃん、俺のちんちんすっごい締め付けてんのに」
「ひぎゅっ♡♡」
「アハハ、またイってる。止めなくてよかったじゃん」

家に着くまでに丸呑みにされるような事はなかった。なかったけれど、花楓くんを説得する事も出来なかった。家に着くなり玄関で押し倒されて、ベッドに来てもらう事で精一杯だったのだ。
そのままあれよあれよという間に花楓くんのペースに流されて、今に至る。
花楓くんの大きすぎる体に押し潰されるようにして、わたしは後ろから腰を打ちつけられていた。まさしく交尾と呼ぶにふさわしい、獣のような体位で花楓くんに犯されているのだ。
花楓くんのおちんちんに中をごりゅごりゅと抉られる度に全身がびくびく痙攣して、目の前が白くなる。
あんなに大きなおちんちん、絶対に痛くて苦しいだけだと思ったのに。現実は少し動かされるだけでも頭がおかしくなりそうなくらいに気持ちいい。いまイったのは何回目なのか、すでにわからない程だ。

「あれ、なまえちゃん寝ちゃった?まだセックス途中なんだけど」
「ひゃうっ♡お゛っ♡おきて、おきてまひゅっ♡♡」

絶頂後に脱力していたわたしの尻尾を花楓くんがぎゅうっと握った。尻尾を握られたその刺激でわたしはまた背中をのけぞらせる。
他の狐がどうだか知らないけれど、わたしは尻尾が弱かった。触られると直接頭の中をかき混ぜられてるみたいに頭の中がぐちゃぐちゃになる。だから尻尾は出来るだけ隠していたいのに、イきすぎて耳も尻尾も引っ込められない。
わたしの反応を見て、花楓くんはまたぎゅっと尻尾の付け根を握った。どうしよう、尻尾が弱いの、バレちゃったのかもしれない。

「ふ〜ん、なまえちゃん、尻尾さわられるの好きなんだ?」
「ちが、っ♡♡あ゛っ♡やあ♡♡」
「へへ、尻尾持ったままちんちん動かしてあげる」
「やらやらやらっ♡かえでく……っ♡♡」

花楓くんはわたしの言葉に聞く耳を持たず、尻尾の付け根をきゅうっと握った。更におちんちんでぐちゅぐちゅと中をかき回されてぶわっと尻尾が膨らむ。気持ちよすぎて息がうまくできない。

「俺、セックスに好きキライはないんだけどさー」
「イっ♡♡イぐっ♡♡♡またイ゛くぅ♡♡♡」
「なまえちゃんとのセックスはすっげぇ好きだなーっ。まんこぎゅうぎゅうして気持ちいいし、なまえちゃん可愛いもん」

イきすぎて思考がまとまらない。花楓くんに話しかけられている間もわたしはイきっぱなしになっていて、返事になどなっていない喘ぎ声を出すことしかできなかった。それでも反応があるだけで花楓くんは満足らしく、うれしそうな声でわたしに話しかけ続けた。

「俺明日もなまえちゃんちに帰ってくるから、そしたらまたセックスしよ」
「あっ♡あーっ♡も、らめぇっ♡♡」
「ダメ?」
「ひっ♡♡」

ぴたっと動きを止めた花楓くんは痛いくらいに尻尾をきつく握り、さっきまでとは打って変わってひどく不機嫌そうな低い声を出した。
快感でぐちゃぐちゃになった脳みそが、その痛みと恐ろしさを興奮に変えてしまうのか、わたしはじょろじょろとベッドの上でお漏らしをしながらまたイってしまっていた。

「お゛っ♡おしっこ、れちゃ……♡ひぅ……♡」
「なーんだ、ダメってションベンのこと?そんなん俺気にしないよ」

けろりと明るい声の花楓くんは、さっきまでの会話はもう気にしていないのか忘れてしまったのか、がしりとわたしの腰を掴んで「そろそろ俺もイこーっと」と笑った。
その言葉を皮切りに、花楓くんの腰の動きは一気に激しいものになる。どちゅっ♡ばちゅっ♡と腰を打ち付けられ、内臓が押し潰される感覚に肌が粟立つ。
もうわたしが半ば意識を失った頃、花楓くんは少しだけ息を乱してわたしの名前を呼んだ。

「っ、なまえちゃん、かわい……っ」
「ぅあ♡あ゛♡かえで、くん……っ♡♡♡」
「あ゛ー……きもちー」

お腹の中に勢いよく射精されるのを感じながら、わたしはベッドシーツを握りしめた。食べられなくて、死ななくてよかったという安堵と明日もこんなセックスをするのかという恐怖、更にはすごすぎる快感で心がぐちゃぐちゃだ。
筋肉の塊と言っていい、硬く大きな腕でわたしのことをぎゅうっと抱き締めた花楓くんは「なまえちゃんやわらかい〜」と甘えた声で言った。うぅ、怖いのにかわいくてずるい。これ以上わたしの心をぐちゃぐちゃにしないでほしい。