届いた。ついに届いてしまった。わたしはニヤける顔もそのままに、ペリッパー宅配便が届けてくれた小さなダンボールを落とさないように両手でしっかり抱えてリビングのソファへ向かった。
「あれ、なんか届いた?」
わたしがソファに座ると同時に、着替えを済ませたキバナさんが現れた。この後二人でクリスマスのデートに出かけるのだ。予約してあるカフェでランチして、少しショッピングをして、その後家でのんびり過ごす予定になっている。
キバナさんはいつも通りおしゃれな格好をしていて、わたしは少しドギマギしながら返事をした。キバナさんのかっこよさには未だに慣れることができない。
「あっ、えっと、うん! わたしの荷物!」
「へぇ……なまえ、なんか買ったのか?」
「えへへ……これ……」
もじもじしながらダンボールに書かれた文字をキバナさんに見せる。それを見たキバナさんは少し驚いたような顔をして、その後すぐににこにこと笑った。
「ジュラルドンとオレさまのフィギュア、届いたんだな」
「うん、そうなの。キバナさんも一緒に見よう?」
「あぁ。オレさま完成品ちゃんと見てねぇんだよなぁ」
わたしの隣にぴたりとくっついて座ったキバナさんは「確かオレさまその時忙しくて、リョウタたちにチェック任せたんだっけな」と言いながらわたしの腰をぎゅうっと抱き寄せる。
リョウタくんたちがオーケーを出したならきっと素晴らしい出来なんだろう。わくわくしながら箱を開くと、そこにはまさに手のひらサイズに縮小されたキバナさんがいた。
「……かっこいい〜!」
「おっ、なかなかいい出来だな」
「ジュラルドンもかわいいし、キバナさんもそのままだ〜!」
丁寧に包装されたフィギュアを取り出すと、その造形にわたしは夢中になってしまった。キバナさんの特徴的な髪型やユニフォームに大きな手、長い足もそのままだ。そして特に、ふくらはぎ。
わたしの大好きなキバナさんのふくらはぎの形が、そのままフィギュアに反映されている。ぽこんと膨らんだ硬いふくらはぎの形は、毎日目にするそれとまったく同じだ。ふくらはぎに目を奪われたわたしは、気がつけば指でそれに触れていた。
「フフッ、なまえはオレさまのふくらはぎがホント好きだよな」
「えっ!?あっ…………好きです……」
恥ずかしくなって赤面するわたしを、キバナさんはくすくす笑いながら見ていた。
すると、キバナさんはおもむろにわたしの手の中のフィギュアを取り上げて机の上に置き、長い足を組んでみせた。細身のパンツ越しでもわかるたくましいふくらはぎの存在に、思わず視線が集中する。
「本物のふくらはぎ、さわる?」
悪戯っぽく笑ったキバナさんは、わたしの手をゆっくりと撫でている。
ごくり、と喉を鳴らし、そろそろと手を伸ばした。硬い感触に、胸がドキドキする。少し力を入れて押してみてもびくともしない。こうして触るのは久しぶりで、なんだか緊張してしまう。
「なまえのさわり方、なんかやらしーんだけど」
「ほ、ほんと!?そんなつもりは、ひえっ」
「なまえにそんなつもりが無くてもオレさまはそう感じたの」
ニヤリと笑ったキバナさんは、ふくらはぎを触っていたわたしの手を掴んでぐい、と引き寄せる。そのままキバナさんが顔を寄せ、キスされると思ったその瞬間、スマホロトムのアラームの音が部屋に鳴り響いた。
『もうすぐお店の予約時間ロト!キバナ、準備終わってるロト?』
「……ロトム、オレさま今チューするとこだったんだけど」
『ボクはアラーム設定時間を守っただけロト』
「はぁ〜……、仕方ねぇ、確かにもう出ないと間に合わないな……。クリスマスに予約時間に遅れるわけにもいかねぇし」
大きなため息を吐いてがっくりと肩を落としたキバナさんは、わたしのほっぺたに触れるだけのキスをして机の上に転がるフィギュアを手に取った。
「出かける前に写真撮っとこうぜ」
「……うん!」
キバナさんとジュラルドンのフィギュアをそれぞれ一つずつ手に持ち、スマホロトムに撮影してもらう。
カシャカシャとシャッター音が鳴る中、キバナさんは「さっきの続きはデートから帰ったらな」と囁いた。思わず手の中のフィギュアをぎゅうっと握りしめると、フィギュアのふくらはぎの形が伝わってきて、またわたしは赤面したのだった。