ヒロフミくんはデビルハンターだ。
わたしが呑気に家で宿題をしたりテレビを見たりしている間に、悪魔を退治したり戦ったりしている。わたしとヒロフミくんは住む世界が違うのかもしれない、と時々思う。思ったところで、わたしはヒロフミくんから離れられないのだけれど。
ラブホテルのよくわからない柄の壁紙の前で、ヒロフミくんが服を脱ぐ。ヒロフミくんが上着を脱いでハンガーにかけているときに、それは見えた。
ヒロフミくんの筋肉の乗った腕に、どす黒いアザがあった。左腕ある黒とも紫ともいえないその独特な色にわたしの目は釘付けになってしまう。ベッドに座り、ヒロフミくんと同じく服を脱いでいた手を止めて目でヒロフミくんの腕を追いかけた。

「なに、なまえどうかした?」
「あ……それ、痛そうだなって」

わたしの視線に気がついたヒロフミくんがフッと微笑みながらTシャツを脱ぎ捨てた。上着はハンガーにかけていたのに、Tシャツはくしゃくしゃのまま近くにあったソファに放って、ヒロフミくんはベッドに座るわたしのもとへと近づいてくる。

「コレのこと?別に痛くないかな……。もう色だけ」

ギッと音を立ててヒロフミくんがベッドに片足を乗せる。痛々しい色の左腕からヒロフミくんの顔へと視線を動かすと、長い前髪の奥の真っ黒な瞳がわたしのことを見つめていた。
思わずひゅっと息を飲めば、ヒロフミくんは左手でわたしの肩を押す。わたしがベッドに倒れ込んだのを見下ろして、ヒロフミくんはにんまりと笑った。

「心配してくれたんだ?」
「……悪魔にやられたの?」
「まぁ、そんなとこ」

ヒロフミくんは中途半端に着たままになっているわたしの服の隙間から手を突っ込んで、ヒロフミくんとは全く違うふにゃふにゃのお腹を撫でた。「柔らかい」と呟かれた言葉は、嫌味ではなく素直な感想だと受け取っておく。
わたしはそっとヒロフミくんの左腕に手を伸ばして、触っていいかと尋ねてみた。なんとなく、その傷ついた腕に触れたかった。

「いいよ。ホントに痛くないし、痛かったとしても別にいい」
「えぇ……よくないよ。痛がられたらヤダもん」
「へぇ、俺はなまえが痛がったらちょっと興奮するけど」

ヒロフミくんの発言に胸がドキドキしてしまったのを誤魔化すように、わたしはヒロフミくんの腕に触れた。色の変わった部分にできるだけゆっくり手を当てて、そろそろと撫でてみる。
ヒロフミくんは本当に痛くないのかそれとも我慢ができるのか、とにかく全く反応しなかった。
こんなに色が変わるくらいなのだから、怪我をした時痛かっただろうな。ヒロフミくんは普段全然そんな素振りを見せないから、学校でもずっと気がつかなかった。
そんなことを考えながら筋張った腕をほんの少しだけ力を込めて押してみると、そこで初めてピクリと腕が揺れた。

「い、痛かった?」
「んー……痛かったって言ったら、なまえはどうすんの?」

ヒロフミくんの綺麗な形の唇が弧を描く。これはなにか、意地悪なことを考えているときの顔だ。かっこいいのと恐ろしいので、とにかく落ち着かない。

「うんと……もう触らない」
「それだけ?」
「えっ、えっと……謝る……?」
「ガキみたいだな」

くすくす笑うヒロフミくんは、わたしの体に唇を寄せる。ちゅっと胸元にキスをして、わたしのふとももを持ち上げてみせる。下着の中でくちゅりと濡れた音がして、恥ずかしさに顔が熱くなった。ヒロフミくんにも聞こえてしまっただろうか。

「じゃあ痛かったってことにしとこうかな。謝りながらセックスするの、なまえ好きだし」
「すきじゃ、んんっ」
「ほら、俺の目見てちゃんと謝れよ」

ヒロフミくんにそう言われた瞬間、ぞくぞくとしたものが体に走る。おまんこがきゅうっとして、また下着を濡らしてしまった。自然ととろんととろけてしまう目でヒロフミくんの漆黒の瞳を見つめ、わたしは言いなりになって謝った。

「ごめんなさい……っ♡」
「はは、かわいい」

わたしのおまんこを指でなぞりながら、ヒロフミくんはスゥッと目を細める。そしてわたしの耳元へ唇を寄せてそっと囁いた。ヒロフミくんの声は低く穏やかで、このままヒロフミくんに殺されてもいいとすら思えた。

「……いいこ」