手が白くなるほどスマホをキツく握り締め、なまえはリロードボタンを真剣な顔で連打していた。いつもスマホに入っているロトムはオレさまの隣でその様子を一緒に見守っている。最初はロトムがリーグストアへのアクセスを何度か試していたのだが、あまりにサーバが重くてロトムに負担になる、となまえが外に出させたのだ。
かわいいなまえが何にそんなに真剣になっているかというと、今日はオレさまのグッズのオンラインでの発売日なのである。発売開始時間の数分前からスマホを握りしめていたなまえはかれこれ数十分スマホとにらめっこしている。
あまりのグッズの人気ぶりにちっとも購入画面に繋がらないのだそうだ。うーん、オレさまってばさすがだ。サーバを落とさせるほどの人気とは。
「つ、つながらないよぉ……」
眉毛をハの字に下げるなまえのその表情はものすごくかわいい。しかしそのかわいい顔はオレさまに向けられることはなく、じっとスマホに向き合ったままだ。
「まぁ、買えなくてもオレさまがサンプルでもらったやつあるだろ?」
「自分で買いたいんだもん。わたし、キバナさんのファンだし……」
しょんぼりしながらそう言ったなまえの指は休むことなくスマホをタップしていた。
えっ、オレさまのことスゲェ好きじゃん……かわい……と一人天を仰いでいると、オレさまのスマホロトムが『ケテケテ!』と声をあげる。
「キバナのSNSにリーグストアのサーバが落ちたことについてのコメントがたくさん来てるロト!」
「げぇっ、オレさまが炎上してんのかよ」
「『キバナのせいで鯖落ちだろ、謝罪しろ』『彼女とセックスしてないでサーバ増設させろ』『キバナも鯖弱すぎワロ……」
「今はセックスしてねぇ」
「そう返信するロト?」
ケテケテと笑い声をあげるロトムを「ダメ」と静止して、オレさまはなまえの頭を撫でた。するとようやくスマホから目を離したなまえがオレさまを見つめた。
「……今日買えなかったら店頭販売のとき並びに行ってもいい?」
「ん〜……じゃあそん時はオレさまもなまえと一緒に並ぶ」
「えっ!キバナさんも!?大丈夫?」
「一人で行かせるの心配だしな」
にこっと笑ってそう言うと、なまえはまたスマホに向き合って一生懸命画面をタップし始めた。「キバナさんが並ばなくていいように今がんばる!」だそうだ。その姿はなんだかベビーポケモンみたいでかわいい。
なまえと二人で店頭に並ぶのも楽しそうだが、こんなに頑張ってるんだからどうにか購入できてほしい。オレさまのために一生懸命になっている恋人を抱きしめて、自分の商品ページを一緒になって見つめた。