今日のヨロイ島の天気は快晴だ。場所によっては雨や砂嵐の所もあるようだが、わたしたちの居るビーチは暑いくらいだった。にほんばれでもしたかのようなギラギラとした日差しが、肌をじりじりと焼く感覚がする。
ワンピースの上から何か着たほうがよかったかな、とむき出しの自分の腕に触れると、隣に立つキバナさんがわたしの頭上から優しい声を降らせた。
「あつい?」
「ちょっとだけ。ヨロイ島、初めてきたけどガラルじゃないみたいだね」
「フフッ、そうだな。ちょっと待ってろ」
キバナさんの方を見上げると、ヨロイ島の日差しを浴びてキラキラと輝きながら穏やかな笑顔をわたしに向けていた。
そして長い腕を動かし、着ていたいつものパーカーを脱いでそれをわたしの肩にふわりとかける。キバナさんの匂いがするのと同時に、熱い日差しが遮られて肌のじりじりとした感覚が無くなった。
「日除けに着てな」
「キバナさんは?」
「オレさまはこういう日差し、バトルで慣れてるからな」
ふにゃりと目尻を下げるキバナさんにお礼を言って、わたしは好意に甘えさせてもらうことにした。次にヨロイ島に来るときは、羽織るものを必ず持って来よう。そう考えながらぶかぶかのパーカーに袖を通すと、キバナさんに抱きしめられてるときみたいに全身がキバナさんの匂いに包まれる。
「んー……さすがになまえにはデカすぎるか?」
「大丈夫だよ。ふふ、キバナさんの匂いがする」
思わずそう口にすると、キバナさんはくすくすと笑い、パーカーのフードをわたしに被せた。
わたしには大きいキバナさんのパーカーはフードも同じく大きくて、被ると目のあたりまで覆ってしまう。視界が遮られ、慌ててフードを直そうとするとキバナさんの手にそれを止められた。
「スゲェかわいい」
キバナさんの大きな両手がフードを掴んだかと思うと、世界一かっこいいキバナさんの顔がすぐ目の前まで近づいてくる。そのかっこよさに胸をときめかせていると、そのままキバナさんの柔らかい唇がわたしの唇に重なった。
フードの中で隠れるようにして、キバナさんはちゅっ、ちゅっと何度もキスを繰り返す。ざあざあと聞こえていた波の音やポケモンたちの鳴き声が、どこか遠くに感じる。
「ん、ぅ……♡」
「今度は水着持って来ような」
唇を離し、わたしの顔を覗き込むキバナさんが楽しそうにそう言った。
水着、新しく買わなくちゃ!とわたしが密かに胸を弾ませていると、キバナさんがニタリと笑う。
「この辺りはサメハダーが多いだろ?あっちに人もポケモンも来ない小さなビーチがあるんだ。だからなまえが着るの、えっちな水着でもいいぜ」
「えっ…………!!」
えっちな水着。思いもよらない言葉に顔が熱くなり、わたしはぱくぱくと口を動かした。
キバナさんの発言が本気なのか冗談なのかわかりかねていると、キバナさんは何処からか飛んできたプリンにたいあたりされていた。
「うお、オマエどっから来たんだ?こっちは海だぞ」
「プリ!」
そのままにこにこと笑いながらプリンを草むらに返しに向かうキバナさんを眺めつつも、わたしの頭はえっちな水着のことでいっぱいになっていた。……えっちな水着……。か、買っちゃおうかな……。