「それ、新しいの?」

ベッドの上でもぞもぞとワイシャツのボタンを外していると、すぐ側の椅子に座ったマキマさんがこちらを指差してそう言った。それ、と細く美しい指が指し示すのはシャツの隙間から覗くわたしのブラジャーだ。
マキマさんの指摘通り、休日だった昨日、買ったばかりの新品である。そのことに気が付いてもらえたという事実に、勝手に頬が熱くなって胸がときめいた。マキマさん、わたしの下着を覚えてくれてるのかな。そうだとしたら、うれしくてたまらない。

「そうです。昨日買いました」
「へぇ、よく似合うよ。すごくかわいい」

にこ、と微笑むマキマさんは服を脱ぐわたしとは対照的にシャツもズボンもそのままで、仕事中と唯一違うのはネクタイをしていないことくらいだった。
シャツのボタンを全部外し終えたわたしは褒められてにやにやする顔もそのままに、ズボンもシャツも全部脱いで下着姿になる。それを見たマキマさんはゆっくりと椅子から立ち上がり、穏やかに話しながらベッドへ近づいてきた。ほんの数歩の距離なのに、マキマさんが来るのが待ち遠しくてすごく遠く感じられる。

「この色は珍しいね。なまえちゃん、いつも淡い色が多いから」
「こ、ここの、レースがかわいくて」
「ほんとだ。ふふ、苺の模様のレースなんだね」

つつ、とブラジャーのレースをなぞる指先に、思わずごくりと喉が鳴る。マキマさん、すき。
心臓がドキドキして、このうるさい鼓動が指先からマキマさんに伝わってしまわないか不安になる。こんなにドキドキしてるのがバレたらものすごく恥ずかしい。

「なまえちゃんは肌が綺麗だからかな、繊細なレースがよく映えてる」
「きれい、ですか?」

マキマさんの言葉に首を傾げて思わず自分の体を見下ろす。見慣れた自分の体には悪魔と戦ったときの傷跡がいくつもあって、とても綺麗だとは思えなかった。あちこち皮膚が引きつれたり、色が変わってしまっている。
そんなわたしの考えを見透かしたように、マキマさんはじいっとわたしの瞳を見つめながら、引きつれたわたしのお腹の皮膚を優しく撫でた。

「綺麗だよ。こういう傷跡も含めて、なまえちゃんはとっても綺麗」

する、とマキマさんの手のひらがわたしの太ももにある傷跡へと移動して、そのままゆるゆると撫でられる。自然とはぁはぁと息が上がってしまい、わたしは途切れ途切れになりながらマキマさんに話しかけた。

「あっ、マキマさん、は……♡どんな下着つけてるんです、か?」
「知りたい?」

にこ、と微笑むマキマさんの胸元へつい視線がいってしまう。
いつもマキマさんとえっちなことをするときも、マキマさんは服を脱がない。わたしだけ裸でぐちゃぐちゃになって、マキマさんはシャツすら脱がないのだ。せいぜい、腕まくりをする程度。
だから、わたしはマキマさんがどんな下着をつけているのか未だに知らない。

「知りたい……です……」
「そう」

わたしの返答を聞いたマキマさんは、シャツのボタンを上からひとつ外す。ほんとに、ほんとに見せてもらえるのだろうか。緊張と興奮が入り混じって、子宮がきゅうきゅうする。
もうひとつボタンを外したマキマさんは、わたしの唇にちゅ、とキスをひとつ落としてそっと囁く。

「えっちの間、なまえちゃんがいい子でいられたら見せてあげる」
「は、はひ……♡」

脳みそがメロメロになるのを感じながら、わたしは何度も頷いた。いい子でいられたら、マキマさんが脱いでくれる。わたしが犬なら服従のポーズをとって尻尾をぶんぶん振り回していただろう。
くすくすと笑うマキマさんは指先でもう一度、お腹の一番大きな傷跡をなぞっていた。