私は真面目なリーグスタッフ。そう、めちゃくちゃ真面目なのである。真面目が故、なんと先週からチャンピオンであるダンデさんの担当になれたのだ!
リーグスタッフの仕事について早数年。ここまで真面目に頑張ってきて本当によかった!誰もが憧れる、あのチャンピオンダンデさんの側で仕事が出来るのだから。とにかく誇らしすぎていてもたってもいられず、無意味にサングラスを新調したりなどした。
ダンデさんはチャンピオンなので他のジムリーダーさん達とは違い、個人の控え室が与えられている。そこにダンデさんを呼びに行き、スタジアムまでお供するという凄まじく光栄な仕事が私の仕事だ。
ダンデさんの控え室の前で少し緊張する気持ちを落ちつけながらコンコン、とノックしてドアを開いた。

「ダンデさん、そろそろ出番……で、す……」

私の語尾は小さくなってほとんど呟くようなものになってしまった。何故ならば控え室の椅子で、ダンデさんが何かに覆いかぶさっていたからだ。
ダンデさんのスポンサーマークがたくさん入ったマントで隠されているが、靴の脱げかかった白くて細い足が見えている。ダンデさんはこちらに顔を向けると、少し照れたような顔をしてすぐに体勢を整えた。まずい、これはやってしまったかもしれない。

「悪いな、すぐ行く」
「い、いえ!こちらこそ、その、すいません!」

すぐにその場で回れ右して、何も見ていません、という空気を全身から出した。背後からダンデさんの声とかわいらしい女性の声が聞こえてくる。その会話からしても、私が入るまで二人が何をしていたかは明らかだった。

「なまえ、試合に行ってくるが大丈夫か?」
「だ、大丈夫、れす……♡」

全神経が背後で交わされる意味深な会話に集中していることを悟られないよう、私は微動だにせずその場に直立した。ついでに言うと股間が勃起しないようしぬほど気をつけた。
ダンデさんの交際相手の女性は何度かスタジアムで見かけたことがある。たしか、なまえさん。とても可愛らしい女性で、私達リーグスタッフにもよく労いの言葉をかけてくれていた。その時とは明らかに様子の違う甘ったるいなまえさんの声に心臓が早鐘を打つ。

「中途半端にして悪いが、続きは試合後だ」
「はひ……♡」

試合後に、続きを。わかりました、ダンデさん。試合後は絶対に誰も近づけさせません。存分になまえさんとセックスして下さい。
心の中でそうダンデさんに語りかけていると、帽子をしっかりと被り、身なりを整えたダンデさんが私の顔を覗き込んだ。少し汗ばんでいるが、いつもと変わらない凛々しい表情をなさっている。男の私から見てもダンデさんはとてつもなく格好いい。

「待たせて悪いな。行こうか」
「とんでもありません!では、あの、行きましょう!」

ダンデさんを先導して部屋を出、ドアを閉める。ドアを閉める瞬間にとてつもなくエッチな顔をして、更には服が乱れた女性の姿が見えて体が固まってしまった。
やっぱりダンデさんの交際相手の、なまえさんだ。私が部屋に入った、あの瞬間までダンデさんとなまえさんは、エッチな事を……そう考えかけたところで、ダンデさんに肩を叩かれて心臓が止まるかと思った。

「出来れば次回からは、ノックした後扉の前で待っていてもらえると助かるんだが……」
「そ、そうですよね!すいません!セックスのお邪魔をして!」

あっ。しまった。そう思ってももう遅い。余計な事を口走ってしまった。飛ばされる。真面目なリーグスタッフである私だが、今のは流石にダメだ。たぶん左遷されてボールガイとかになる。
ダンデさんは一瞬きょとん、とした後に大笑いをして、私の背中をばんばん叩いた。

「っはは、セックスしてた訳じゃない。いや、ギリギリだが……。ふふ、ハッキリ言うやつだな」
「すすすすすすいません」
「いや、いい。笑って気持ちも程よくほぐれた。さぁ、チャンピオンタイムだ!」

ニカッと歯を見せて笑ったダンデさんは私を置いてずんずんとスタジアムへ向かって行った。よかった、ボールガイにはならずに済みそうだ……。流石ダンデさん。心がめちゃくちゃ広い。懐がめちゃくちゃ深い。一生ついて行きます!



その後、ダンデさんは当たり前のように今日の試合も圧勝し、なまえさんが待つ控え室へと消えて行った。任せてください、ダンデさん。なまえさんとのセックスが終わるまで誰一人控え室には近寄らせません!