らぁらちゃんを初めて見たとき、あまりの衝撃で膝から崩れ落ちたことをよく覚えている。ものすごく可愛くて、明るくて、歌もダンスもとっても上手で、わたしはこの子を応援したい!と心の底から思ったのだ。
らぁらちゃんはみれぃちゃん、そふぃちゃんとチームを組んで、どんどんその才能を伸ばしていった。そしてわたしはいつまでもらぁらちゃんに声をかけることができなくて、増えていくらぁらちゃんのファンに埋もれていったのだった。
しかし、今日はらぁらちゃんのお誕生日だ。プレゼントを渡して、トモチケをパキってもらいたい。勇気を振り絞って、わたしはらぁらちゃんに声をかけることにした。
らぁらちゃんの周りには人だかりが出来ていて、近付くのも大変そうだ。でも、今日は決めたのだ。「おめでとう」と「だいすき」を伝えるのだと。そう頭の中でぐるぐる考えていると、らぁらちゃんとばちりと目が合った。
「あっ!いつも応援してくれてるよねっ。ありがとう!」
「あ、あ……はひ……」
突然らぁらちゃんに声をかけられて、かすれた声しか出てこない。どうしよう、気持ち悪がられるかもしれない。背中に汗がつたう感触がして、今にも倒れそうだ。
「なまえちゃん」
「は、はいっ!」
な、なんで、らぁらちゃんがわたしの名前を……。まだ名乗ってないはずだ。たぶん。緊張しまくっていて、自信はないけど。
らぁらちゃんに呼ばれると自分の名前がとてつもなくかわいく感じられて、なんだか胸がどきどきした。
「こないだライブしてたよね?すっごく可愛かったよー!」
「えっあっ、み、見てくれ……えっ」
「うん!よくなまえちゃんのライブ見てるよ〜!」
「ああありがとうございます!」
らぁらちゃんに、認知されている。そう思った途端わたしはまた膝から崩れ落ちそうになった。しかし、これ以上醜態を晒すわけにはいかない、とめちゃくちゃ耐えた。がんばれ、わたしの膝。
「らぁらちゃん、あの、これ、お誕生日プレゼントです!お誕生日おめでとう!」
「わぁ、いいの?ありがとう〜!」
「よよよよよかったら、トモチケ、パキってほ、ほし……」
「かしこまっ」
「ふぁ……!!」
生かしこまっの威力がデカすぎて結局膝から崩れ落ちてしまった。「大丈夫?」と手を差し出してくれるらぁらちゃんの優しさで胸が苦しい。
らぁらちゃんの手の感触を、わたしは一生忘れない。柔らかくてあったかいわたしより少しだけ小さな手。この手は一生洗わない。そう固く心に決めて、わたしはその場にのろのろと立ち上がった。
「なまえちゃん、ケガしてない?大丈夫?」
「ひっ優しい……すき……」
「あはは、ありがとう!わたしも好きだよ〜!」
す、す、すき!?わたしも!?思わず漏れ出た心の声にうれしすぎる返事をもらって、脳みそが限界突破するのを感じた。
この後、余りのらぁらちゃんの優しさと可愛さと尊さにトモチケをパキり終わるまでの間、何度もその場に崩れ落ちることとなるのだった。
膝には大量の青痣ができ、マネージャーにはめちゃくちゃ引かれた。しかしそんなことはどうでもいい。らぁらちゃんとお話できて、更には認知してもらっていたのだ。