※マジで頭悪いんでご注意ください!!!!
「アッ、あぁっ――!!」
「は、はぁ、ッ! おい。 きもちいいのか、よ」
「気持ちイイッ! ああああっ、そこだめ、そこっ!!」
「はいはい、ここ、ねっ」
「ヤッ――!! アアアアッ!!」
都内にあるちょっと広いだけのアパート。その一室で男女が交わっていた。
男のほうはタニムラ。白いTシャツだけ着ている。女のほうは裸だった。
「やっ、やっ、、そこカリがあたって、あっ、グリグリしないでっ!!」
「しないでって……嘘つきはいけねえなあ」
先ほどから女性がひっきりなしに卑猥な言葉を叫び、タニムラは冷静に返す、そんなやり取りをしていた。しかし谷村は冷めているのかというと、そうではないようだ。
「ああ。 ああああ、いいなあ、いいなあっ!」
「あっ、、っ!!」
「いいなァ……ッ、おい、気持ちいいのかよ……」
伊織、
とやっと女の名前が呼ばれた。
「アアアッ! きもちいいよ、きもちいいっ!!! 熱いのゴリゴリあたって……」
「あーもうだめそ、出すわ、」
「あっ、アッ、中入れて! 出して、中、、あつ……!!」
「あああっ……」
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「あー。 喉枯れるわ毎回……」
「……」
行為が終わってみると、毎回腰よりも喉の方に来てしまうのが谷村と伊織のセックスだった。
別に伊織は元からこうだったわけではない。でも、ベットの隣で突っ伏している彼氏、谷村と付き合っていくうちに自然にそうなったのだった。
どうせなら、二人とも最大限に気持ちいいセックスがしたい。
谷村くんは私が中の気持ちよさを伝えれば伝えるほど、ヨくなるのだ。
谷村くんと出会ったのは、だいたい半年前だった。
神室町で私が酔っ払った状態でキャッチにつかまり、前後不覚なままノコノコとついていきそうになったのを谷村くんが引き止めてくれたのだ。
その時の私といったら本当に情けなく、あ、お兄さん!!大丈夫なんで!!!と悠然と危ない路地に進もうとしていた。
結果、谷村くんは職務で私を保護し、ちょっとした介抱をしてくれたのだった。
告白したのは私からだった。
そこから半ば私がつきまとう形で谷村くんと食事に行くことに成功し、話も合うし、彼も楽しそうだし、と数回目で告白した。
しかし、谷村くんはイエスとは言わなかった。
『あーー。 いや、オレ……男が好きなんだよね』
気まずそうに、でもしっかり伝えてくれた谷村くんに、冗談かもしれないなんて疑わずに感極まって「それでもいいです!!!!!」と叫んだのが私である。
それでもいいかどうかは谷村くんが決めることなのだが、どうやらそれで良かったらしく、私と谷村くんは付き合っているといえば付き合っているし、でも谷村くんは急に連絡が取れなくなったと思ったら身体にすごい痕をつけて帰ったりするし……。
まあ、そんな関係なのだ。
「うらやましいんだー……?」
隣で起きてるのに顔をあげようとしない谷村くんに、のしっと抱きつきながら尋ねる。
「うらやましいの?」
「……羨ましいわ、バカ。」
そして行為中の「いいなあ」という発言。
どうやら谷村くんはセックス中の私の側にたってセックスしていると思うことでより興奮するらしかった。
だから私は感じ方とか気持ちよさを、なるべく口に出して想像させてあげるのだった。
「あー。 女になりてー……」
ゴロン、と私の重みをウザそうに退けてひっくり返った谷村くんはそう言い放った。
こんなに顔が整ってるのに勿体ない。
「谷村くんが女だったら相当な美人だよね」
「そんなの当たり前だろ。 男漁りまくりだよ」
「こわ。」
谷村くんがこちらを向いて得意そうにニヤリと笑った。
うん。性格も相まって魔性の女になると思う。
「谷村くんが女だったらさ、どんな人と付き合いたい?」
「え? うーん……。まあ、とりあえず俺みたいな男の人はやめとくな」
「わかるーーーーーー」
「おい、わかんなよ」
ゴスッと強めに肘鉄されて、痛い。
だってそうじゃん……。報われないしギャンブラーだし……。
流石にそう伝えるのは怖いけど。
「俺が女だったら……そうだな……。 冴島さん、とか」
「えっ、わかる!!!!」
「だろ!?!? 冴島さん絶対彼女のこと大切にするよな……」
「思いやりに溢れてるよね……。 子供にも優しかったし……」
「……おい。 子供に優しかったって、あれから会ったのかよ」
冴島さんは谷村くんと付き合ってすぐくらいのときに入った焼肉屋さんでバッタリ会って知り合いになっていたのだった。
「うん。 第三公園のあたりで。 5歳くらいの子供が迷子になって困ってたんだけど、冴島さんが話しかけてお母さん探してあげてた」
「相変わらず優しいなー……」
「その子がアンパンマンのぬいぐるみ持っててね。 なかなか泣き止まないから冴島さんがアンパンマンで話しかけてた」
「うわ……ギャップ……」
萌え……と谷村くんが呟いてる。
というか見たかった!! おい、どうしてくれるんだよ」
「ど、どうするもなにも、何もできなくない?」
まったく理不尽な話だ。
その時、谷村くんがふと真剣な顔をして私を見つめたから、ドキッとしてしまった。
「……伊織は、これでいいのかよ」
「んー、これで? 全然いいよ」
突然なんの話かと思った。
好きな人と一緒にいられてるわけだし、好きな人がたまたま男の人が好きなだけで。むしろ谷村くんはこれでいいのか、不安になるけど。
「あ、そう」
谷村くんのこと、見守っていたいし。
「てことは俺も女だったら俺みたいなやつに引っかかるんだろうなぁ」
ふふ、と笑って、愛しい人の独り言を聞いていた。