※TOGfリマスターおめでとう花束アクスタありがとう
※拙宅の長編夢完結前提の超不親切設定です。みんなのこと好き好き大好き夢主がお相手と最終的に結婚するよ〜ってことだけわかってれば大丈夫です
「二人とも、ここにいたのか」
探したぞ、と柔らかくかけられた声に、わたしとソフィは顔を上げる。
いつもの、ラントの裏山の花畑。陽光に優しく揺れる花の中で花を編んでいたわたしたちのところに来たのはアスベルだ。
その穏やかな様子からして、何か急ぎの用事があったわけではないのだろう。探した、とは言うけれど、すぐにこちらへあたりをつけてやってきたのだろうことも、なんとなくわかった。
「何を作ってるんだ?」
「花冠だよ。シェリアから作り方を教わったの」
「せっかくだし、絶対に可愛いし、絶対に似合うから、一緒に作ってプレゼントしようってなったの」
「なるほど。懐かしいなあ。昔、ヒューバートも一緒に三人でよく作ったんだ。二人に作ってもらったなら、絶対に喜ぶよ」
非常に単純な話なのだけれど、ソフィの花壇に種を植えていた時に、そういえばこの間教わった花冠をつけたシェリアは絶対に可愛いよね、という話になって。そうしたら、二人して絶対に見たい、可愛い、という欲求が止まらなくなってしまって。思い立ったが吉日とばかりに、作り方を忘れないうちに作ろうということになり、一緒に裏山にやってきた……というのが、つい先ほどまでのわたしたちの行動だった。
それを聞いたアスベルは二人らしいな、と笑って、どかりと隣に座っては花を摘む。
花を編む様子があまりにも手馴れていたから、わたしもソフィも思わず見入ってしまっていれば、アスベルはすっとソフィに手を差し伸べた。
「ソフィ、手を」
「わあ……!」
彼女の細い手首にぐるりと花を巻いて、最後に結んで花の腕輪を作る。ソフィの手を飾る花は綺麗に編まれているだけでなく、長さもぴったりだ。
すごい。この一瞬でわたしたちが作っているのと同じくらいの長さを完成させて、すごく鮮やかにソフィにプレゼントをしている。実にスマートだ。いいな、わたしもさっと花輪を作ってああやって誰かに贈ってみたい。
「アスベル、すっごく上手」
「たくさん作ったからな」
アスベルが付けてくれた花輪を嬉しそうに見つめて、ソフィがふわふわとはにかむ。
実に。実に可愛い。お花のお姫様みたい。世界で守らないといけないものだよこれは。この隣にシェリアもパスカルも並んだら……想像するだけでも天から舞い降りた花の天使たちすぎる。
永遠に眺めていたい芸術だなあ……と。しみじみと思ってうんうん、と一人うなずいていれば、隣でアスベルが「全部口から洩れてるぞ」と苦笑するのがわかる。
おっと、と慌てて口を押さえるけれど、まあ、今さらなので。二人ともわたしを見ては相変わらずだなあと笑っては、でも実際にソフィは可愛い、とアスベルも真顔でうなずいてくれたので、そうでしょう、とうなずき返した。結局、わたしたちはそろって、みんなのことが大好きでたまらないのである。
「お花のお姫様……それなら、お姫様は国民を守らなくちゃいけないから、わたしがみんなのことを守るね」
「すごい。王族としての意識が高い」
「本物の王様が友達だからな」
「えっへん」
自慢の友達がいるのだ、と胸を張ってみせるソフィが可愛らしくて、アスベルもわたしもふにゃふにゃとだらしなく頬を緩める。
今度、この可愛らしい友達の話をリチャードにもしてあげよう。そうこっそりと決意していると、アスベルがわたしを見て、そっと手を差し出してきた。
「……手を出してくれないか」
「わたしにもくれるの?」
「ああ、その……二人を探していた理由なんだが」
断る理由なんてないので素直に右手を出せば、そっちじゃなくて、と言われて左手を差し出す。どちらの腕がいいとか、こだわりがあるのだろうか。左手に腕輪をつけることに何か意味でもあって、それをマリクさんとかに聞いて、実行しよう、と思ったのかもしれない。残念ながらわたしも知らないから、後で聞いてみることにする。
とにかく今は、わたしに作ってくれるのだろうそれを楽しみに彼を見つめて。その視線を受け止めて、気恥ずかしそうに頬をかいた彼は、花を一輪、優しく摘み取る。けれどそれ以上の花を手に取ることなく、代わりにわたしの左手をそっと握った。
たぶん、アスベルの手は、少しだけ緊張している、と思う。わかりやすく震えているわけではないけれど、なんとなく。触れたところから、緊張が伝わってくるような気がした。
どうしよう。つられて、わたしもちょっと、恥ずかしい気がしてきた。手を握ったりとかは、まあ、確かに、照れくさい気持ちはあるけれど、結構回数も重ねていて慣れてきた、とお互いに思っているのだけれど。普段、鈍感ゆえにまっすぐに飛んでくる言葉の方が恥ずかしいはずなのに、今さら、顔が熱くなるような気がする。
いつの間にか頬を染めてしまっているわたしたちを、ソフィは穏やかに眺めていて。その視線の先で、そうっと。私の左手の指に……薬指に。摘まれた花が、優しく輪を作った。
「……そろそろ、一緒に作りに行きたくて」
すり、と。指を撫でられる。
真っ赤になった顔に、指に結ばれた花に、今のわたしとアスベルの関係を示す言葉だとかを思い出せば、一緒に作りたいものが何かは、ちゃんとわかる。それすらわからないほど鈍感ではない。こういう時、この世界とわたしの世界の文化がそこまでかけ離れたものじゃなくてよかったとすら、思う。
……指輪。おそろいの結婚指輪。今度一緒に、という話はしたけれど、具体的な日付とかは決めていなくて。一緒に暮らし始めてからもいろいろな事件があったから、正直どちらもすっかり後回しにして忘れてしまっていたところがあったけれど。
それを、そろそろ、と。そう、わたしを見つめるアスベルに。わたしは、ぎゅ、と彼の手を握りながら、うん、とはにかんだ。