宇宙のなかに

はいない




04-06



永遠把握 静粛な少年 ずっと迷子だ

空の境界 白ではない あなたの定義

砕硝子音 月のおもて 声でかたどる

蝶々燦々 人魚の背骨 昼なかに水没

弱肉勇者 綿雪に黙す 紅葉畑の紅梟

聾の星々 月を溶かす 月の燃えかす

朦朧讃歌 憂に煌めく 星屑とダイヤ

     純愛で窒息 概念に憧れた

           深海に浮かぶ

           孤独を噛んで

           愛を落とした

           雨で絵を描く

           現し世に曇天

           摩天楼を衝く



07



まだきみの体温 どこかで笑って

だってわたし、 久遠に消えゆく

永劫ビックバン きみの炎色反応

おれたちの肉球 嘯くスーベニア

人呼んで胸焼け 従順に欺かれる



08




鼓膜が破けそうな あなたって暗闇ね

戻ってきてね青春 神さまに手が届く

あめあめふれふれ 駆けずる兎の楓蜜

あなたをおさめる 子羊の溺れない海

それは贖罪の東雲 


09




君の色が零れ落ちる 愛が語りかけてきた

地球との恋の紡ぎ方 その炎は雷を呼ぶか

ガラス細工の結膜の 因数分解してみてね

神さまのいうとおり 嘘って言ってみてよ

月に溺した亡骸の、 あるわけもない祈り

片道切符でもいいよ とある日の死刑宣告

爪先立ちでさよなら 黒に染まった撫子を




10




すききらいすききらい

夏が世界にこびりつく

彗星みたいな夜だった

例えばきみが天使なら

金平糖を知ってるかい

影も君もあなたも僕も

朝にぼやける月に誓う

砕けた星屑、爪痕の花

夜の吐息の落ちぬ間に

夜中の太陽みたいにさ

人工呼吸みたいな紅茶

海と宇宙って同じかな

一番星が落ちちゃって

夏のせいにしたかった

人間みたいな音がする

透明な雪粒に埋もれる




11



いつか忘れちゃうのにね

明日を捨ててまた来てね

闇夜に魚を釣りにいこう

まばゆさの中に何を見た

死ぬまで殺してください

濁った心と透明な心臓と

夜のむこうの朝のむこう

さよなら昨日のともだち

迷子の子猫が踊る遊歩道

いつまでも目を閉じたい

永遠を謳ってほしいんだ

誰かの面影を踏んで歩く



12





そんな世界は間違っている

身を焦がすような恋をした

きみの破片が心臓に刺さる

夢を見るように息をしたい

空の彼方のクジラみたいに

正しいさよならを知ってね

坂を転がるピアスみたいに

空中都市で泣いてもいいよ

きみのこころのなかとおく

そこはきみと僕のシナプス

雲の欠片を千切って食べる

空蟬、彼の世、溶けたきみ



13




コインランドリーで会いたい

やわらかい心臓にこんにちは

昨日世界は終わったみたいだ

おひさまのいろはどんないろ

はんぶんこした世界のなかで

獅子に食まれた林檎のように

赤子が花束を咥えるみたいに

まやかしものでも抱きしめて

きみの終焉に立たされている

神さまだって覚えてないのに

麦わら帽だけ持っておいでよ

失恋を終わらせてみたかった



14-





愛してるって言ったんだけどな

ふたりぼっちでいいんだけれど

狂ってなければ生きてはいけない

気づかないまま消えればいいのに

恋路の途中、五月雨、心にも無い

滅びの風が吹く丘で天使と一緒に悪魔を待つ

ありがとう、ありがとう、ありがとう。ごめんね、




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