十八ノ裏側
「……一緒に居るのは竹谷か」
呟く低い声に、中在家は書物から顔を上げた。
同室の級友は、部屋の戸を開け放って、丸い月を見つめていた。
明るい月明かりに、黒い影が床に伸びている。
彼の瞳に宿る光を見て、中在家は小さく口を開いた。
「……いいのか?」
「構わないさ」
七松は、口角を吊り上げた。
双眸には月の影が映っていたが、彼は月を見ていなかった。
「まあ、あいつらがもし妙な真似に出ようとしたら」
彼の纏う空気が、一瞬にして変わった。
中在家は、己の肌が、彼の意思に関わりなく粟立ったのを感じた。
七松の目が、ゆっくりと、先ほどまで彼女の居た隣の部屋に向けられた。
「容赦しない」
その瞳の色は凄絶で、そしてどこか妖艶だった。
2013.08.06(投稿)
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