「……やだよ、君弱いじゃん」
「んなー!!」
数ヶ月前から変な女が僕にまとわりついてくる。
中途半端すぎるちっちぇシャーマン能力によって周囲から拒絶されたこいつと偶然出会ってからというもの、何を勘違いしたのかやたらと僕の元に付きたがっては断るの繰り返し、いい加減鬱陶しい。
「貴方に御教授願えばきっと強くなれます!いや、なります!だから私を仲間にして下さい!!」
「嫌」
「うーん、手強い」
手強い。じゃあないだろう。
彼女のこのしぶとさは一体どこから来るのか。
その粘り強さを別の所に使った方が適策だと僕は思うんだけど、この女は馬鹿だからその考えもつかないのだろう。可哀想に。
「僕はそんなに暇じゃない。やることだって沢山あるんだ、君だけにかまけてられないよ」
「えぇっ、毎日耄碌老人みたいに日向ぼっこしてるのがやらなきゃいけない事なんですか?!」
「…………君さあ、本当に僕の元に付きたいの?」
「あーっ、分かりました!陽の光を浴びて自然から得る巫力とやらを強化してるんですね」
「へぇ、巫力の存在をやっと知ったか」
「あなたの部下達が教えてくれましたよ!菓子パンと情報を交換して得たネタです。人海戦術は得意なので!」
なまえはやはり無知で知識が乏しい。人海戦術という言葉はそういった意味ではない。
しかしそんな事はどうでもいい、1番引っかかったのは僕の部下達のやらかした事だ。
どうやらこいつにわざわざ色々と教えている奴が居ると。ふーん…そうか。誰だか知らないけど無駄なことをするなぁ。
「僕は残念だけど飯ひとつじゃ何も教えない。傍にも置かない。それ相応の対価をくれるなら考えるけど」
「対価ですかぁ?例えば何がいいでしょうか??」
「…真に受けるなよ、例え何にも変え難いものを受け取ったとしても、僕は君みたいなつまらない存在をそばに起きたいと思わないからね」
そう言うと少女はむくれて駄々をこね始めた。
まただ。こうしてグウの音も出ない程に応えると小童みたいに愚図り出す。
ちっちぇなぁ。本当にさもしくちっちぇ。
そんな姿に安らぎに似た何かを感じる僕も変だと思うが。これはきっとこいつがひ弱な動物に見えるからそういった慈しむ情が湧いたんだと思う。他人は全く好きでない自分が特定の誰かに心癒されるなんておかしな話だから。
「つまらないって、ひどい」
「僕は酷い人間だ。本当にね。人間を滅ぼす事を目的としている奴によくそこまで執心するなぁ」
「ハオ様の野望はとても共感出来るし、なにより初めて私を拒絶しなかったから…少しでもなにかの役に立ちたくて」
「拒絶か。無関心なだけだ」
「もういいです!ならほかの皆さんに頼んで修行を積んでもらってから貴方に認められるように努力します!!いつか、ハオ様自ら私をスカウトする位になってやります!」
…聞き捨てならない言葉だな。
暖簾に腕押しな状況を諦めて、次は僕の部下に付くと。
それはそれで不愉快だ、あれだけ毎日諦め悪く僕に頼み込んでたくせに。
それは流石に虫の良すぎる話じゃないか。花組はともかく、他の奴らとこいつが話してるのを想像しただけで腹が立つ。
それなら大人しく僕の所でスパルタのような教えを乞えばいい。こいつの願い通りに動くのは非常に不本意だが、この馬鹿によって皆の士気が下がるのは良くない。
「お前、次に同じ事をもう一度言ってみろ。2度目は無いからね」
「えっ、ええっ!!?ど、どういう事ですか」
「察しが悪い女だなぁ。仕方ないから手下には今は出来ないけど雑用くらいならそこに居たっていいって言ってるんだけど」
「……まじっすか」
そう言うとなまえは鼓膜が破けるんじゃないかって程の大きな声で騒ぎ出した。うるさいなぁ。やっぱり前言撤回してとっとと帰らそうか。
…底抜けに間抜けそうな笑顔で喜んでるが、雑用と言われここまで喜ぶのはおかしい。本当に変な奴だ。
まぁ、暫く適当にこき使わせて僕達のやる事を見て学べているかどうか見極めればいい。何も進展しなければこいつはその程度の奴だったと判断して片付ければいい。
「う、嬉しい!!!厳しい所もあるけど、やっぱりハオ様は凄いです!!ありがとう!ハオ様!!」
そうしてこの日、僕達のチームには馬鹿で奇妙な女が仲間に加わった。
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紅葉様へ
ハオと手下になりたい女の子のほのぼのという内容でしたが如何でしたでしょうか。
こういったお話は自分では考えつかなかった物なので非常に新鮮で書いていて楽しかったです!
この度はリクエストありがとうございました!温かな感想のコメントも添えて頂いて本当に感謝致します。
また機会があれば紅葉様のリクエストをお待ちしております。