せっかく二人きりになる時間が出来たってのに偶々見かけたチームメイトに釘付けになるなまえに呆れた。
多分目で追ってるのは無自覚だ、けどこっちは傍で見てればすぐ分かる。いつも蓮の野郎が居ると惚けた顔で見てるもんだから腹が立つ。気に入らねぇ。
こっち見ろよこっちを!
「…おい」
「ひゃっ、び、びっくりしたぁ。いきなりのぞき込まないでよ!」
「だったらあんな野郎の事見てんじゃねーよ」
「はぁ??…………あぁ、そういう事。ふふふっごめんね」
ポーカーフェイスは柄じゃねぇから、今の嫌な気持ちを思いっきり顔に出したら子供をあやす感じで返された。
可愛いけど、釈然としない。謝るならそんな事するなっての。
「だって蓮くんカッコイイから見ちゃうもん。ホロホロだって素敵だと思うけど…ねぇ?」
「だからって俺の前であからさまな目線投げんな!」
「やだぁ、嫉妬深い」
なーにが嫉妬深いだ!!こんな事どんな野郎だって許しはしないと思う。
ケロッとした顔で他人を格好良いとか言いやがって。俺の気も知らないで……!!
「なーんでそんなに怒るのよ。いいじゃんちょっと位」
「ちょっとどころか、お前蓮がいる度に見てんぞ。喋る時も嬉しそうだしな」
「ずっと私のこと見ててくれてるって解釈していいの、それ」
「うるせぇ、彼女なんだから…見るに決まってんだろ」
慣れない台詞を言うもんじゃない。歯がうきそうになるが、そんな気持ちより不快感の方が勝る。
嫌なモンは嫌なんだよ。俺が言うのも何だがなまえのこの問題行動はデリカシーってのが足りなさ過ぎじゃぁないのか。
エスパーじゃないからこいつの心を見る事は出来やしない、だから余計に不安になるんだよ。
……もしかしたら、この関係に冷めて本当に蓮のヤローに行っちまうかもしれねぇ。
不穏な考えが頭をよぎる。そう思うと俺はいてもたってもいられなくなっちまって、なまえの肩を掴み無理矢理こちらに向かせた。
「?!な、なに…どうしたのよ」
「お前、ほんとは…あいつの方が好きなのかよ」
「えええぇっ?!なんでそうなるのさ!」
「普通に考えたらそう思うだろうが!思わせぶりな事いっつもしやがって」
「……そ、そんなつもりじゃ…ごめんなさい」
なまえは尻すぼみ気味にしゅんとした様子で謝罪の言葉を述べる。
謝るんじゃなくて、俺の質問の答えをハッキリと言ってくれ。
「私はホロホロが好きだって事はどうあっても変わらないよ…ただ、ほら、恋人に対する好きとタイプは違うじゃん」
「…俺は欲張りだぜ。お前の好きも、タイプも、俺が良い」
出来るだけ俺以外が視界に入らないようになまえの体を近くへ引き寄せる。
これ以上気持ちをかき乱されてたまるか。
ヘタレだと思ってるから、本気で怒らないと思ってるからなまえはこうして余所見をするんだ。
なら、こっちもその気でいかせてもらうしかねぇだろ。
「蓮のヤローより見とれるような、男になるからもう俺以外の奴にかまけんな。馬鹿」
「ホロホロ…傷つけて、ごめんなさい」
「謝んなって。別に傷ついちゃねーぜ。ただ…まぁ、嫉妬心はメラメラと燃えちまったけどよ」
「……えへへ、意外と男らしいところあるのね…私知らなかった」
「ならこれからもっと知ってくれよ。そんで、俺だけが格好良いと思うようになってくれりゃ良い」
「よくばりさんだ」
「さっき言ったぜ。俺はお前に関しては欲張りなんだって」
顔が近いからか、なまえは可愛らしく頬を赤く染めてからかうように俺の額をつつく。
ヘタレた心を返上すると決めた俺は挑発的な仕草ですら倍以上に返してなまえを虜にしたいと思った。
だから、つつく指を頭で押しのけて、無防備な赤いほっぺたに軽くキスをした。
が、この行為はなまえにとってまだまだ物足りないらしく、「もっと違うところにすべきでしょ?」と文句を言った。
「仲直りのキス、じゃあないの」
「別に喧嘩らしい事もしてねーぞ」
「…なら、これは虜にさせるキス?」
「お前が望むならいくらでもしてやる」
強く出るなまえの柔らかな唇へ口付けると、彼女はさっきまでの俺に叱られて悲しげな表情をよそに、忽ち嬉しそうに微笑んだ。
…なまえは他人を見つめてる時より、俺に向かって笑ってる時が一番可愛い。
「なんだあれ…」
「ただのバカップルだ。気にせず鍛錬を続けろチョコラブ」
「あんな所でイチャつかれたら見えちまうっての。あーあ、オレもホロホロみたいに可愛い彼女欲しいなぁ」
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もか様
今回は素敵なリクエスト、ありがとうございました!
甘々なお話はあまり書いたことが無かったので、とても緊張しました。
有難いコメントも頂いてとても嬉しかったです!
もっと読み応えのある甘い作品にも力を注いでいきたいなと思います。
ありがとうございました!