Chapter10 〜予兆〜

「分かったかい?ならもう彼女に反発する様な事は…「ねぇ浮竹さん。彼女って誰かな?」」
「瑞稀!」
びくぅっと身体を強張らせる…
恐らく平隊員だろう死神達を見遣って、私は白髪の美丈夫を睨んだ。
「いや、これはだな。あぁ、彼女って言うのは俺の恋仲で…」
頻りに目を泳がせて、必死に手を振る彼の言葉に説得力はまるで無い。
「浮竹さん。吐くならもう少しましな嘘考えよっか?」
にっこりと笑って、無詠唱で六杖光牢を発動。
他の死神達が唖然とする中、甲高い音を立てて霊力が収縮する。
「瑞稀、何を…「お仕置きだよ?」悪かった、俺が悪かったから!「問答無用。ちゃんと防いでね?」」
刹那驚異的な破壊力を持った蒼炎が、爆音をあげた。
「いたた…瑞稀容赦無いなぁ」
とは言いつつ、咄嗟に引き上げた霊圧による防御だけで、殆どのダメージを逃してしまった浮竹。
平隊員さん達は唖然。
「三十番台選んであげただけ優しいでしょ?」
「いや、君のは普通の九十番台より威力有るから」
「そんなの、霊力ちゃんとコントロールできる様になった浮竹さんも同じじゃない?」
「いや、俺のは其処まで威力上がらないんだ。どうしてかな」
「修行不足ね」
「あ、はい。君に言われると辛いね。今晩あの場所借りても良いかい?」
頭を掻きながらそんな事を問う浮竹に、私は頷いた。
「良いよ。なら開いとくから。戌の上刻に」
「えぇえ?!瑞稀さん、それって何のお誘いですか?!「幾ら貴女でも隊長との逢瀬など許しませんぞ!」」
「あら、盛大な勘違いね」
「あんたは被せるな!脇臭猿!」
「あんだと?お前こそ出しゃ張るな!鼻くそ女!」
入ってきて早々言い争う三席二人。
どうせなら、どちらかを四席に降ろせばこんな争い方はしないだろうになんて考えは、浮竹は持ってはいないんだろう。
「あぁ、出来れば今回は彼等も連れて行きたいんだが…」
「「隊長?!逢瀬じゃないんですか?!」」
声を揃えて叫ぶ彼等には悪いけれど、今日私は行くつもりはない。
「今日は開けてあげるだけ。私が見るのは二日後。総隊長に話しは通しておいた筈だよ」
「あぁ…そうだったな」
少し残念そうに肩を落とす浮竹に近寄って耳打ちする。
「朽木ルキアを連れて来なさい」
「えぇ?!彼女は…「この隊の席官以下、潜在能力が最も高いのは彼女よ。それと。隊員達に今度余計な事吹き込んだら、”黒棺”覚悟なさいね」
「はははは…」
乾いた笑い声をあげる浮竹を置いて、私は瞬歩でその場を去った。
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