Chapter11 〜化身〜






「わぁ、ちゃんと全員集まったんだ。凄いね、お爺ちゃん」


「いい加減にその呼び方を改めい」


仮眠を取ったことで霊力が半分くらいは回復した私は、護廷隊の隊長副隊長が全員揃った事に感嘆の声を上げていた。


「おら、瑞稀!俺らも来てやったぞ!」


「一角。叫ぶと美しくないよ」


約二名、招集を掛けていない筈の席官が居るけれど。


「あ…あの…浮竹隊長…。私なんかが此処にいて本当に大丈夫なのでしょうか…」


戸惑い気味のルキアと、笑って頷く浮竹さん。

そして、其方をちらりと見る白哉が微笑ましい。


「ルキアは私が呼んだんだよ?約二名、呼ばれても無いのにくっついて来た戦闘狂さん達が居るから気にしなくていいの」


「オイコラ、瑞稀。それは俺らの事か?あぁ?!」


「ご名答。お陰でまた霊力無駄に使わなきゃならないじゃない。反省なさい」


「霊力…?何か創るのかい?」


不思議そうに首を傾げる席官二名に溜息を吐いて。

取り敢えず、以前修行に参加した面々と、そうでない人を分ける。


そして、霊圧制御を終えている冬獅郎や白哉達には耳飾りを渡し、まだ終えてない人達には制御装置を手渡した。

因みに狛村だけは首飾りにして置いた。

獣耳に耳飾りは痛いだろうから。

それを告げると泣いて喜ばれた。

更木も首飾りに変えろと言ってきたので形状変化させて付けさせる。


そして、部屋を二つに区切って、以前よりも遠くに的を創り、結界を張った。


「今渡したのは霊子変換補助と集束能力を向上させる道具。
滅却師たちが使ってる装身具と類となる物。
それを扱えれば、霧散率と拡散率は−50に、転換率と集束率を150まで上げられる。此処まで言えば分かるよね?」


また鬼道演習かよ、と悪態を吐く更木に暇潰しとして殺気石も人数分用意して。


「因みにこれ、自分の霊力だけじゃなくて周囲の霊子もコントロール出来なきゃ暴発するから。制御能力向上の為だからね、頑張って」


何故こんな事をするのか、理由を知ってる冬獅郎と白哉は、黙って頷いた。

他の隊長格達は冷や汗交じりに耳飾りを見つめている。

私は前回と同じくテーブルと椅子を人数分だして、お茶の用意をすると、冬獅郎と白哉に説明を頼んだ。

了承してくれた二人に微笑んで、私は修行開始組に向き直る。


「さて、砕蜂は今つけてる制御装置外して、さっき渡したの付けてね。
マユリさん、研究しようとしないでね。データなら、後であげるから」


「これを外すのか」


「ほう?こんな物のデータまで解析済みとは、流石だネ」


「…創れるんだから、解析出来てないと不可能でしょ?もし貴方のところで量産できるなら、私が無理して霊力消耗しなくて済むしね。はい、砕蜂。数字は?」


マユリさんに軽く本音を告げつつ、制御装置を付け直した砕蜂に問う。


「52だ」


「それが今の霊圧制御率ね。先ずはそれを100にしてね。ゆっくりで良いから。この空間は向こうの一時間が此方の一日。
大体遅くても三日掛ければ出来るはずだから。
休憩室は此処を出て左側。
扉にプレート掛かってるから自分の部屋で休んでね。食事は適当な時間に用意するからご心配なく」


まるで丸投げな説明に、副隊長や席官達は不安そうな顔をする。

それを見て、取り敢えず引率を総隊長に任せた。


「後宜しくね。私自分の斬魄刀、どうにかしてくるから」


「成る程の。あい分かった」


頷く元流斎に微笑んでから、私はテーブルと椅子、ティーセットを創造する。


「休みながらで良いからね」


何か言いたげな修兵や吉良、乱菊に少し笑みを向けて、私は白哉の所へ向かった。

取り敢えず自分が居ないだろう三日間、食事を用意してくれる人を手配するのに彼以外思い当たらずに。


「白哉、使用人さん達、三日ほどこっちに呼べる?」


「食事か」


「うん。この人数のご飯用意するの、普通の人には難しいでしょ?食材は置いとくから、作ってくれる人、欲しくて」


もし当番制になんてしたら、その日当たった人は修行どころじゃなくなる。

今此処にいる人数は二十五人。

私じゃあるまいし、この人数分の食事を短時間で用意できる程手際が良い者など…約一名いる気はするが、頼むのは可哀想だ。


「分かった。手配する」


「ありがと」


ふわりと微笑んで、既にコントロールに必死になっている京楽や浮竹、卯ノ花を見遣る。

更木の周りでは、高頻度で暴発が起きているので誰も近寄らない。

やちるも偶に吹き飛んで居るけれど、意外とタフなのか、直ぐに起き上がって詠唱している。

その様子に、回復薬が必要と判断し、高い治癒効果のある薬を創造して小瓶に詰める。


「これは?」


「怪我を治す回復薬。卯ノ花さんに任せると彼女の修行にならないから」


頷いた白哉にそれを託して、近くの壁穴を開け、異空間を創造する。


「玲。大丈夫か?」


いつの間にか此方に来ていた冬獅郎に笑って頷き、私は其処へ足を踏み入れた。


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