Chapter11 〜化身〜

冬獅郎が此処に来てから一日経った。
朽木の料理人が作った食事には驚いたが、それも玲の頼みだと知ると、成る程と納得した。
今の俺の転換率は118、集束率は121。
やってみると確かに、霊圧コントロールにも影響が出ることは分かった。
霊力と霊子を同時にコントロールするのは、霊圧を御するよりずっと難しいからだ。
玲が作った穴の向こうからは、常に轟音が響いてくる。
それが押されているのか、押しているのかなど、姿が見えもしない彼には分からないけれど。
気が気じゃ無いのも確かだった。
冬獅郎は、月読と一度対峙している。
あの禍々しい霊圧と、凄まじい破壊力の閃光は、今でも鮮明に覚えている。
霊力が足りない状態で撃たれたそれが、数日の間空に黒く後を残したのだから。
忘れられる訳がない。
一際大きな音がして、彼奴が入っていった壁の一部が崩壊し、玲が弾き出された。
その姿は見た事もないほど血塗れで。
驚愕に目を見開くも、きゅんと時間が回帰する特有の音が響いて、玲の傷とボロボロだった死覇装が元の綺麗な状態へと戻る。
「こら、天照!治しちゃ駄目でしょ?!」
玲が慌てたように叫ぶ所を見ると、意図して行ったのではないことが分かる。
「傷治すぐらい好きにしろ!即死させりゃあ済む話だ!」
荒々しい男の声が響いて。
本能的に畏怖を煽る、恐ろしく尖った禍々しい霊圧が大気を震わせた。
冬獅郎はそれが月読の物だと気付く。
轟と突風を巻き上げて突っ込んでくる黒い男に、玲は手を翳して何かを早口で唱えた。
瞬間、光り輝く鎖が月読に巻き付いて、向こうの空間へと引きずり込む。
「あ、ごめんね。邪魔して」
くすと笑って、出てきた穴へと戻り、それが塞がる様子を見て、冬獅郎は少し安堵した。
案外元気そうなその姿に。
「…う、わぁ、あんなの屈伏させられるのかい?」
月読の霊圧を感じ取った京楽がぶるりと身体を震わせる。
「良く、あんな物を飼っていたものだな」
禍々し過ぎる奴の霊圧は自身の霊圧で相殺したのだろう浮竹が、それでも冷や汗を流しながら呟く。
雛森や伊勢はへたり込んでいて、暫く修行は無理そうだ。
存外、更木の霊圧に慣れているやちるが元気な事が彼にとって少し意外だったりする。
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