Chapter5 〜遊戯〜





各地点で跳ね上がる霊圧を感じながら、まぁ、そろそろそうなるよね、なんて納得して。

檜佐木を封じた玲は、追ってくる気配を導く様に駆けていた。

追手は二人。

そして、走る先に一人と一つ。


「確かに鬼事なんだけど…彼女の走り方に違和感があるのは僕だけなのかな」


「ううん、私も同じ事思ってた」


後ろの会話を聞きながら、それでも彼らを相手にするのは自分では無いと道を選んで。

降り立った広場に、自分と同じ姿を見つけて、さっと場所を入れ替わる。


「あら、ありがと」


「彼女を傷付けたら怒るでしょ?」


すれ違い様、二人の玲がそんな会話を交わして。


「本当に、玲ちゃんが二人…」


「まさかと思ったんだけど、本当だったとはね」


唖然とする桃と油断無く斬魄刀を構える吉良の前に降りたのは、紛れも無く玲で。


「曲がりなりにも隊長である私にわざわざ紛い物をぶつけるか、瑞稀玲」


入れ替わった玲の前に居るのは、人狼である狛村左陣。


「あら、貴方は判るの?」


狛村と対峙した玲が、不思議そうに首を傾げる。


「貴公からは日番谷や朽木の臭いがせん」


「あら、流石に鼻が良いのね」


「愚弄するか」


「違うよ。ねぇ隊長。良いものあげるからこっちおいでよ」


妖しく笑って、玲が手にしたのは骨つき肉。

ぴくりと反応した狛村にくすと笑って、瞬歩で消える性格の悪い創造体。

暫く悩んだ狛村だったが、小さく獣耳を下げて肉の匂いを追った。

玲はそれを見送り、溜息を吐く。

後でお詫びしなきゃなぁ、なんて思いながら、吉良と雛森に向き直ると。


「狛村隊長…」


「まさかあんな…」


さっきの光景に相当な精神ダメージを食らっている副隊長二人。


「…思考は同期させたんだけど…なんかあの子性格悪いみたい」


一応フォローする玲だが、確かに人狼の姿をした隊長が、肉につられて消えたとなると、無理も無いのかもしれない。

戦意を喪失している二人を玲は白伏で気絶させ、雛森だけは安全な場所に運んでおいた。


「私まだ何にもして無いなぁ…」


暴れる創造体達の霊圧を感じながら、玲はぽつりと呟いた。


- 66 -


<*前><次#>


栞を挿む












ALICE+