::ノブリス・ゴルドンの娘
::若い後妻との間にできた
::胸は豊かではない
::必要とされたい
::歳星から合流
「じゃあアトラ、私、洗濯してくるね」
「うん。よろしくね」
イサリビでのサラの主な仕事は洗濯、調理補助、その他雑用だ。手伝えることは何でもやることにしている。
無理を言って艦に乗せてもらっているからだ。
通路を歩いていると三日月とライド、そしてヤマギがいた。
目と目が合ってやあと挨拶を交わす。
「今から洗濯するけど、洗いたい物があったらだしてね。みんなの部屋から回収できるものはしてきたけど」
洗濯したい物は自分で洗濯場まで持っていくか、共有スペースに置いてある専用のカゴ、またはサラに部屋まで回収に来てもらうからだ。
中にはサラに洗ってもらうのが恥ずかしい者、洗ってほしくない物がある場合は自分で洗濯する。一部の年長組みはこれに該当する。だが、大半の物はサラが洗っている。男の子の下着なんてきっと一生分は見ている。
年少組みなどは、彼女が室内に入って回収することもある。もちろん家主の許可を得て。ライドはそのうちの一人だ。
「いつもありがとうございます。サラさん」
「いえいえ、これが私のお仕事ですから。みんなにはみんなの仕事があるしね」
ヤマギの嬉しい言葉に、ウィンクを一つぱちんと返す。
数人のものをごちゃまぜにしても平気なのは、名前が書いてあるからだ。覚えたての文字がたどたどしくて微笑ましい。(サラが書いたものもある)
文字のほかには、印がついているものなど。(シノとか)
カゴに山盛りになっている洗濯物から、ひとつ、ぽとりと落ちた。
あらあらと思い、カゴを下ろし、手に取ろうとしゃがみこむ。
「それ、」
「うん。ライドの部屋にあったよ。汚れてたからこれも洗濯しようと思って」
「洗わなくていい」
「え、なんで?汚いじゃない」
不潔だよ、綺麗にした方が絶対気持ちが良いよ、とサラはオイルで汚れたリストバンドに手を伸ばした。
「っ、触るな!それはダンジのやつだ!汚いってなんだよ。俺たちのこと何にも知らないくせに!」
あんたなんか仲間じゃない!彼女の指先が触れる前にライドは床に落ちたリストバンドを鷲掴み、サラに背を向けて走り去った。
「ライド…!」
「さっきの、火星で死んだ仲間の形見」
「あ、ごめ…」
ライドに大きな声で拒絶され、彼を追いかけるヤマギの何か言いたげな表情。
三日月の言葉に、よく理解しないまま謝罪の言葉だけが口からこぼれた。
彼の大きな二つの瞳に見つめられると、サラなぜだか萎縮してしまう。まるで糾弾されているかのように感じる。
「あんたには感謝してる。いろいろと手伝ってくれてるし。でも、たまに押し付けがましいよ、あんた」
俺と違って文字が書けるし、難しい本も読める。頭良いんでしょ。
立ちすくむサラに背を向けた三日月も扉の向こうに消えた。
三日月の言葉が深いところに刺さる。
事実だからだ。今までサラが見なかったことにしていたものを、暴かれた。
父を嫌悪しながらも、結局のところ、私も父と同じだったのだ。
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::ドルトコロニー偏書きたい
「やめて!彼女に乱暴しないで!」
アトラが連れて行かれてしまう。