リビングの電気を消して、パーティー開きのポップコーンを用意する。私はなんと、コーラ付き。
「気合十分ですね」
「もちろん! 誓さんのおすすめなんて楽しみです」
ぼんやりと映画配信サービスを眺めながら、おもしろそうな映画は無いかなと探していたお昼。後ろを通りかかった誓さんが、ついと指をさしたそれ。ほの暗い森の奥、洋館で何かが起こる……タイトルは聞いたことがなかったけれど、一時間半程度と短めのその映画は、どうやら誓さんイチオシの作品のようだ。
「怖いのは平気ですか?」
「和ホラーとか、あとはゾンビとか……大体平気かなあ」
「……あらすじ、読んでないんですね?」
「え? 事前情報は少ないほうが楽しめるかと思って」
あれ、なんか、誓さんの薄い瞳がギラリと光ったような……?
「じゃあ、見ましょうか」
ひどい。これはひどい。聞いていない。
ぶすぶすと刺されるひとたち、吹っ飛ぶ首、びしゃーと飛び散る液体。
「っひ、ぎゃー!!」
「わむりむりむり」
「え待ってひいいいい」
いっそ再生を止めてしまいたいとリモコンを探してもどこにもなかった。縋る視線で誓さんを見上げても、いつも通りの穏やかな笑みで、優雅にポップコーンをつまんでいる。
「なまえまじでうるさいんだけど……あー、ね」
「春日も見ますか?」
「見ない。なまえのリアクション芸、楽しんで」
ああ、涙が出てきた。さっきから絵面がひどい。多用されるジャンプスケア、きっと今日だけで寿命が10年は縮まっている。
「くっ……ふふ」
「もう! 誓さんきらい!」
2025-10-24
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