貴重な休みの日、久しぶりに頬にチークを乗せた。
ほっぺたが軽く色付くだけで顔が明るく見える。今日は生憎の雨だけど、終日小降りのようで良かった。
がちゃ、とドアの開く音がする。もうそろそろ家を出ようと思っていたのに、タイミングが悪い。
「潜さん? 私、今日出かけますけど」
「今日はお休みなんだ。……おや、可愛らしいね」
にゅ、と伸びた手に顔をのけぞらして逃げると、くすくすと潜さんは笑った。深追いはせずに、そのまま離れていく。
「デート?」
「まさか」
「じゃあ、僕とデートしよう」
一人でぶらぶら買い物に出かけるよりは、楽しいかも? いやでも潜さんと一緒に歩くのは……。
迷っているのが顔に出ていたのか、潜さんは傍らに置いていたハンドバッグを持ってすたすたと行ってしまう。
「ほら。スマホも財布も、持って行ってしまうよ」
それは困る。慌てて追いかけて家を出た。
西の方の空から、ほんの少し青空が見えていた。
2026/08/31
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