ねた

▼2017/11/24:郭嘉SS

過去に面識が有り気な郭嘉と女武将の話
友情出演:曹操様

それなりに戦歴を立て、それなりの地位を確立し、それなりの人生を生きてきた。
戦場で得物を振るい、人を斬る事に今まで後悔した事も無いし今後もきっとそんな事はないのだろう。
なんて事をぼんやり考えながら城内を散策していると遠方から近付いてくる見知った顔に頭を垂れた。

「漸く見つけたぞ」
「殿自ら私の前においでになるなど火急の知らせでしょうか?」
否と首を振った曹操様の背後に男性が控えていることに気が付いた私はそっと体をずらしその男性の姿形を捉えようとする。
それに気が付いた曹操様が男性と思わしき名を口にすると拱手した後、唇を動かした。

「この度軍師として召し抱えて──」
「殿、この方固まってしまいましたよ?お加減が悪いのでしょうか」
「早く名乗ってやらぬとこやつが困惑しておるぞ」
我に返った金色の髪を持つ麗しい青年は郭嘉と申します。と言葉少なに名前のみ述べるとそのまま俯いてしまった。

「女の武将が居ると聞いた時は目を輝かせておったのにどうしたものか……」
「郭嘉様のお目に掛からなかっただけなのでは?ご期待に添えず申し訳ございません」
「何を申すか。お主はいつもそうして……」
「もしかして私の事を覚えていらっしゃらない、かな?」
郭嘉様の言葉に私は曹操様と全く同じ瞬間に目を丸くした。
その口ぶりだと過去に私と彼とが会っている、という意味合いに捉えてしまいそうになるが……。

「まだ時間もある事ですしゆっくり思い出して下さい。今晩早速私の部屋で語り合うのはどうでしょう?」
この度曹操様が迎え入れた新顔──郭嘉様の言葉に私はただ目を瞬くしかなかった。

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極夜