ねた

▼2018/05/25:怒る太陽神

マスターを傷付けられて珍しくおこ!!なオジマンが書きたかった(言い訳)
リハビリがてらに書いたのでgdgdしてます、御容赦を


彼の太陽神はいつにも増して苛立っていた。
眉間に深い皺を刻み、近付く者全てを戦慄させるあまりにも冷たく研ぎ澄まされた崇高な金の瞳を前にしたカルデア職員は勿論名だたる英霊達も唾を飲み、彼に声を掛ける事を断念した。


太陽神……オジマンディアスの機嫌が頗る悪い理由は当時彼女らに付き従い、共にレイシフトしていた赤い外套の弓兵から事細かに聞き及んでいるので誰もその事に触れる事はない。

早い話が彼と契約している魔術師マスターが敵の奇襲に遭い、傷を負った。
偉大なる王からすれば気まぐれで契約を結んでやった小娘が己の不注意で負傷した、というだけのはず。
王の名前を呼んで崩れ落ちそうになった少女の腰に腕を回し、彼女を抱き留めた王は執拗に追ってくる敵に一際深い皺を刻み舌打ちをする。
オジマンディアスの唇から漏れた声は地を這うように低く、また怒気を孕んでいた。

***

オジマンディアスが白のマントを揺らし訪れた先はマスターの私室であった。
少女の皮膚を切り裂いた敵の武器に塗られていた毒は瞬く間に彼女の体を蝕んでいった。

自動扉を潜った先に居る部屋の主は未だ覚めぬ悪夢に苛まれている。
迅速な解毒と処置が行われた筈であるのに室内に響く荒い呼吸と時折聞こえる苦悶に満ちた呻き声にオジマンディアスは短く息を吐き捨て、横たわる少女の顔を見つめる。

「惰弱な魔術師が余の前に立ちはだかるでないわ」

「私が最前に居たら皆は全力に近い力を出せて、私も的確な指示を出せる。一石二鳥だよね!」
そう言って笑って見せた彼女の頭を叩いて「愚か者」と漏らしたオジマンディアスの真意に彼女は気付いていなかった。
凡俗な小娘が何があるとも分からぬ前線に出てくるなど、本来であれば絶対にあってはならぬ事なのだ。

先まで殺気にも似た色を含んでいた王の瞳が僅かに揺れ、少女の蒼白い頬に指が添えられる。
器官を通り抜けた空気がひゅっと音を伴い、そして室内は彼女の呼吸音に満ちる。

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極夜