▼2018/06/18:以蔵SS
某所で投下したものに手を加えて再掲※やや流血狂気じみた表現がありますので閲覧ご注意!
肉を齧り取られたんじゃないか、というほどの鈍痛が首筋からじわりじわりと広がっていく。
あまりにも突然の出来事に全身が心臓になってしまったのではないかという錯覚に陥るまでに、心音が体内で響き渡っている。
痛みの根源たる以蔵はニタァと口角を吊り上げると血の付着した唇を舌で舐めた。
「飼い犬に手ェ噛まれんようにな、と確かにわしは忠告したぜよ」
男の牙が再び少女のほっそり白い首に穿たれる。
首筋を伝う赤を一滴も見逃さぬと以蔵の喉仏が上下する度に、彼女は身震いをさせながら男から距離を取ろうとしたが手首を掴まれどうする事も叶わない。
「心を許し過ぎたおまんが悪いんじゃ」
再び頭をもたげた以蔵の口は鮮血に濡れていた。