ねた

▼2020/05/03:顔を合わせるのはまだ早い

アニバビ基準
冥界から帰還する際に先立ってしまった妻(の亡骸)を探してしまう賢王

追記からどうぞ


友の亡骸が見当たらないのに息を吐き出した英雄王は、次なる目標人物を探すべく赤い瞳をさ迷わせる。

その人物はいとも容易く発見する事が出来た。
上質な白の衣を身に纏った女はこの世を去った時と変わらぬ美しさを保っており、死んでいると言わなければ誰しも眠っていると錯覚してしまいそうだ。

「エルキドゥと一緒に待っているね」
友は砂に戻り、己が心から愛した女はもう間もなく事切れる。
今や目すら見えない女の背中に腕を回し抱き上げると、自身が居る方角とは真逆の方を向き恐ろしく冷えた手を胸元に当てて微笑んでいる。

「あまりにも早く来たら、追い返してやるんだから」

「王様?」
あの女と酷似──否、全く同じ声色を持つ少女が不思議そうな顔をして、こちらを覗き込んでいる。
急ぐぞと短く返しカルデアのマスターと肩を並べる。
──女の亡骸はもう見えなくなっていた。

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極夜