▼2016/09/16:キス魔なあの子のSS
赤弓が気になってるマスターと挨拶ついでにからかいにきたクロの話※百合っぽい
赤い外套、褐色の肌、そしてーーーよく見知った夫婦剣。
見慣れた、見慣れすぎた相貌でありながら見知らぬ少女は最近仲間に加わったイリヤの姉というクロ。
私の顔の横に手をついて所謂壁ドンをしているクロをどうにか説得して退かそうとしたものの、全て失敗に終わり私は彼女の肩を必死に押しながら荒い呼吸を繰り返していた。
「貴女が彼の……ね」
「さっきから仰っている彼って、一体どなたのことなのですか?」
彼、と聞いて皮肉屋ながら世話を焼くのが大好きな赤い弓兵が咄嗟に浮かんでしまい首を振っていると、不思議な色の瞳を揺らして彼女はさもおかしそうに笑った。
時折舌なめずりをしながら見上げてくるクロはさながら飢えた肉食獣のようで。
さっきまで呑気に綺麗と思っていたその瞳も途端に恐ろしいものに映ってしまう。
「ぁ…わ、たし人に呼ばれてて急いでるんです!約束の時間も迫っているので通してもらいたいなぁ、なんて!」
「あらそうだったの。アタシとした事が足止めしちゃってごめんなさい」
「先にその事を言わなかった私にも非はありますし…クロさん?」
俯いたまま押し黙ってしまったクロの手は依然として横にある。今度は強めに、はっきり退いて欲しいと伝えようと思った瞬間ギラついた瞳と目がかち合った。
「あまり時間は取らせない、か ら 」
勢いよく腕を引かれて決して豊かと言い難い彼女の胸に顔を埋める形になる。
急いで顔を上げた目の前にはーーー薄ピンク色の艶めいたくちび、る?
「んん"〜〜〜っ!?」
何かの事故だと思わないと頭がおかしくなってしまう。
今までにこうした形で魔力供給した事がないわけではないけれど…女の子とこんなーー。
「ふぁ……ふ…ぅん…ふ、ろひゃ、んっ」
割り込んできた熱い舌に直ぐ舌は絡め取られて彼女の思うまま口内は蹂躙されていく。
人っ子一人居ない廊下に場違いな水音が響いて更に私の羞恥心を煽り、彼女の名前になるはずだったものがくぐもった音として口から漏れる。
やっと開放されたと思えば直ぐに唇が重なりより長く、深く口付けられを繰り返す事数回。
もう、ダメだと酸欠状態の脳で意識を手放す事を覚悟しだした頃誰かの手が腹部に回った。
「いつまで待てども部屋を訪ねてこないと思えば……」
「はっ…えみやぁ…」
「もう騎士様が来ちゃったの?面白くないわね」
エミヤからの圧も右から左へと流しクロはペロリと唇を舐める。そんな何気ない動作すら蠱惑的な弓兵にほぅっと息を漏らした。