ねた

▼2016/10/22:ディルムッドSS

ちょっと長い
ほのぼの甘

ディルムッドと良い雰囲気

「お時間宜しいでしょうか?」
手をこまねいて名前を呼ぶディルムッドの顔は逆光でよく見えない。声色は普段通りな気はするけれど…。
良からぬ知らせかもしれないと身を固くしながら槍兵に近付いて何かあった?と尋ねる。
直後彼のしなやかな指が顔の横を掠め、何かが私の髪に差し込まれた。

「俺の見立ては間違っていなかったようだな」
心底安堵したようなそんな声が鼓膜を揺らし、優しい眼差しが今しがた何かが差し込まれた髪へと注ぐ。
突然の出来事に母音しか発する事が出来ない私の姿に目の前のディルムッドの肩が震えだした。

「一言言葉を掛けてから…ふっ…するべきでしたね。…申し訳ございません」
「ディルムッドが謝ることでもないでしょう?ところで一体何を…」
突如一介の騎士のように片膝をついたディルムッドの手から現れ出た真白の花。
緩やかに吹く風に小さな花弁を揺らす姿はいじらしく可憐で、そして凛々しい。

「この森は木々が生い茂り暗いのでどこに獣が潜んでいてもおかしくありません。皆で手分けして見回りしている最中花畑を見つけたので僅かばかり摘んで参りました」
「わ、私のために…?」
「この花を見た瞬間貴女の顔が浮かび気付けば持ち帰っておりました。迷惑、だったでしょうか」
眉尻を下げ問いかけるディルムッドに首を勢いよく横に振る。そんな風に言ってもらって気分を悪くするはずがない。
歓喜で上気した頬に手を当てながらディルムッドの様子を盗み見れば彼は再び安堵の表情を浮かべていた。

「……ディルムッドが良ければその花畑に案内してもらいたいな」
「はっ!このディルムッド・オディナ全霊を賭して花畑への道すがらお守り致します」
ありがとうと一礼して差し出されたディルムッドの手を握る。

「では、参りましょうかマスター」

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極夜