ねた

▼2017/01/20:逆プロポーズ紛いな

マーリンSS
珍しく甘い雰囲気

「君はさっきから何をしているんだい?」
マーリンの足元に脚を崩し時折何かを呟きながら作業をしている少女の姿にマーリンは小首を傾げている。

「マーリンさんの足元に咲くお花、とても綺麗なのに直ぐ消えてしまうでしょう?だから私の魔力で形を留めて…出来たっ!」
とんとん、と隣を叩く彼女に促されるままマーリンは隣に腰を下ろした。
満足気に微笑んでいる少女の手に握られているのは、自分の足元に咲き誇っていた花で作られた冠だ。

「マーリンさんに差し上げます。白い髪とその花の色味が良いコントラストになってて、とっても似合ってますよ」
「そうかい?…だけどこういうのは私みたいな男より君の方がずっと似合っているよ…うん。やっぱりそうだ」
載せられていた花冠を彼女の頭に載せて1人満足そうに頷く。
…ああ、それでも強いて付け足すのならば、

「君の行く先が幸福に満ちているよう願いを込めて」
ポンッと軽快な音を立てて取り出したそれを片手に彼女の右手を掬いとる。
薬指で淡い光を放つ指輪は今彼女が頭に載せているそれと同じものから作られたもので。

「マママ、マーリンさん!この指に指輪を贈る意味は、ご存知なのですか!?」
「万が一貰い手がなければ私が貰ってあげよう。君に限ってそれはないだろうけどね」
「…私は、マーリンさんとずっと一緒に居ます。片時も離れる気はありません」顔を真っ赤にして逆プロポーズ紛いな事を言われてしまったのなら責任を取らないわけにはいかないだろう。
彼女の顎に指を添えすぐ目の前で煌めく瞳を見つめる。

「後には引けないよ?後悔したって遅いんだからね」
「引き返すつもりも後悔する気もありません」
唇を寄せたのは彼女の方だった。今まで見たこともないくらい顔を赤らめて俯いてしまった少女の顔を少し強引に持ち上げる。

「全てを賭して君を幸せにすると誓うよ」
再び重なる唇。ふたりを祝福するようにマーリンの足元に咲いていた花花が舞い上がり、優しくその空間を包んでいた。

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極夜