▼2017/02/02:壁ドン
マーリンが壁ドン(される側)…と思いきやきっちり攻め返す
「…これは一体何をしているのかな?」
花の魔術師を壁に押しやり、膝上に跨るようにして彼の顔を両の手で挟み込んだ少女は目を丸くしてマーリンの問いかけに首を傾げる。
「最近流行りの壁ドンです。エリザちゃんからこれをすれば異性は一発だと聞いたので!マーリンはドキドキしましたか?」
「(距離が近い的な意味でドキドキしているし…)そうだね。ドキドキしているよ」
返ってきた言葉に少女の頬がぷくり、と膨れ上がる。
マーリンとの距離を縮めて透き通った翡翠の瞳に男の姿を映しながら小さく漏らす。嘘だ、と。
「どうして私の言葉が嘘だと思うんだい」
「余裕そうな顔で私の事を見つめてくるから…こっちは恥ずかしくて今にも死んじゃいそうなのに」
マーリンの顔を挟んでいた腕がゆっくり重力に従って彼の肩に落ちる。
自身の顔をマーリンの肩口に埋め黙している彼女の耳は熟した果実のように赤く染まっている。
「(彼女のこういういじらしくて、初心なところに私は惹き付けられたのだろうね)」
マーリンが小さく笑みを零していると、きゅっと小さなその手がマーリンの肩を掴んだ。
瞳を揺らしながら男を見上げる少女の顔は顕著に赤く色付いている。
「な、何がそんなにおかしいんですか…」
「君の初心なところが改めて可愛いな、と思っていただけだよ」
「またそうやって調子よく…きゃっ!?」
自身の上に跨っているしなやかな体躯を引き寄せ、なるべく衝撃を与えないよう細心の注意を払いながら彼女を床の上に縫い付ける。
「自分が気にかけている異性からあんなことをされてときめかないわけがないだろう?今の君なら私の気持ちが痛いほどにわかるんじゃないかな」
「ドキドキしてる、から離れてっ…!」
「おや?さっきより顔が赤くなっているね。この状態で君は何を想像したんだろう」
床に散らばる金糸の髪をひと房掬い上げて口付けを落とす。今にも涙が零れ落ちてきそうな瞳で、酷く煽情的な貌で男を見つめる少女にマーリンは何も分からないように装って首を傾げた。
「どうして欲しいのか言ってごらん」
「私はただマーリンに退いて欲し…んぅ…」
彼女が言葉を紡ぎ終える前に性急に口を塞いで乱暴に声を奪い去る。
長い長い口付けの末に少女が発した言葉はーーー。