▼2017/03/07:アサミヤSS
バレンタインイベのバレ有甘くない ややグロ
即席麺クオリティ
大丈夫な方は追記からどうぞ
与えられた銃身を構える、ただそれだけの単純な動作に10秒を要した。
次いで撃鉄を親指で押し、引き金に指をかける。指先のふるえによってそこに行き着くまでに倍以上の秒数が流れた。
自身の荒い呼吸が鼓膜に響いて煩い。もう少し平常心を保つことが出来ないのか。
時間を重ねる毎に大きくなっていく指の震えはいつの間にか腕全体にまで及び、視野も謎の歪みでブレてくる。
はやく早く迅(はや)く!心が悲鳴を上げて銃を投げ出してしまう前に、目の前の頭を垂れたままの人間を殺さなければ。
そうしないと私は、わたし、は……。
「ーーずっと言っていただろう。君にそれが扱える日は絶対に来ないと」
パァンと乾いた音が真隣から響いた。赤い飛沫が地面と彼の頬を穢し辺りに濃厚な血の匂いが充満し始めてやっと、私は涙を流し彼から託された銃を力なく下ろしていた事に気がついた。
人であったはずの生命体が砂のようにサラサラと崩れてゆく。なんだ、これは。
「こいつは捕食するものの心を読み取り、狩りやすいように擬態するいやらしい奴でね。話してる間にそいつの本当の姿が見えてきたぞ」
真っ黒なそれは自身の余命を噛み締めるようシューシューと呼吸を繰り返す。彼の放った一撃は間違いなく脳を貫いていた、間もなくこのモンスターは息絶えるだろう。
「行こう…」
これ以上手を出すのは無意味だと背中を向けた直後の発砲音。
冷ややかにその生物を見下し、放たれた弾は心の臓を貫通していた。
「こいつらの生命力を侮っちゃいけない。今、君が背中を見せた瞬間その首を捻り切ろうと瞳を光らせていた。駆け付けるのが遅かった僕にも非はあるが、あれくらいの弱小モンスター1体倒せないとなると…」
「ごめんなさい。貴方から頂いた物を有効活用出来なくて」
目覚めた時に枕元に置かれていたひやりとした銃身。それが誰からのものか、どういう意図で贈られてきたのか分かったつもりでいたにすぎないのだ。
「とにかく君が怪我をしていないようで安心した」
未だ震えの止まらない右手に添えられた暗殺者の手は確かな温もりを帯びていた。