ねた

▼2017/05/05:新たな光

パッションリップお迎え記念
若干CCCのバレを含みます

ただ、手を握りたかった。
そんな純粋な思いで差し伸べた手<凶器>はあの人の柔肌と、そんな小さな何気ない私の願望を切り裂いた。
だからもう、あんな事にならないように心と身体の距離を置いていたのに。それなのに。

「わたしの声に応じてくれてありがとう。リップって呼んでも大丈夫かな」
人の良さそうな微笑を浮かべ手を差し伸べてくれる彼女<マスター>の手を掴もうとしてあの日の悪夢が蘇る。
どの言葉ならこの人に嫌な思いをさせないだろうか、と思考を巡らせど良い案は何も浮かばず言い淀んでいるとマスターの柳眉がハの字を描いた。

「少し馴れ馴れし過ぎたかな?ごめんね」
「ち、違います…!みんなこの手<凶器>を見ると顔を引きつらせていたのに貴女はそんな顔しないから……嬉しくて」
「そっかぁ。なら良かった」
宙に浮いていた手が私の頭に置かれたことに首を傾げていると小さくて柔らかな手が頭部を往復する。

「わたしがリップを頼るようにリップもわたしを頼ってくれたら嬉しいな。これからよろしくね」
震える声でやっと返事すると彼女は頭に置いていた手を私の首元に回してきた。
ダイレクトに伝わるマスターの体温にどくりと心臓が脈打った。

Prev | Next

極夜