▼2017/09/13:聖杯転臨
Lv90になった術ギル(いつもの如く唐突に閃いたネタ)聖杯転臨のワードがモロに出ているのでややメタいかもしれません
「全盛期の我にそれを使うならまだ分かるが……」
召喚に応じてから二度目となる聖杯転臨を経た賢王はそこまで発言してマスターの少女の姿を紅玉の瞳に映した。
王として下々の者から貢がれるのは正直悪い気はしない、のだが彼女は些か自分に時間やQPを割きすぎではないだろうかと彼は思う。
特異点から回収した聖杯を用いるこの強化には莫大なQPが必要なのだという。
それを二度にも渡って自身に使う行為が無駄とまでは言わないが。
湧き出る新たな力を噛み締めている賢王の横顔をそれは嬉しそうに見つめながら彼女は口を開いた。
「大好きな人には誰だって入れ込んでしまうものでしょ?私、本当に王様の事が大好きなの」
屈託のない笑顔と視線を向けられて賢王は堪らず己の口元を覆いながらもう片方の手で彼女の深い緑色の目を覆い隠した。
「気持ちはよく分かった。だからそれ以上言葉を紡ぐな」
「事の発端は王様でしょ!あと手、退けて欲しいなぁ」
「我の言うことを聞かぬか……致し方あるまい」
視界がクリアになった事に安堵している少女の顔の横に賢王の手が置かれる。
ゆっくり近付いてくるやや赤みを帯びた王の顔に耐えきれず、俯こうとした彼女の顎先はしなやかな指先に捉えられた。
強引に上を向かせられたその視線の先でニマリと意地悪く弧を描く王の唇。
「よい表情をするではないか」
人通りの少ない廊下で二つの影が重なった。