ねた

▼2017/11/22:いい夫婦の日

どこまで行っても我様な王様と迎えるいい夫婦の日
いつも通り即席麺クオリティでお送りします


無事レイシフトを終えた少女は大きく伸びをしながら自室の扉をくぐった。
部屋の奥からひしひしと漂ってくる殺意にも似た気配に口元が緩んでしまう。

「ただいま、ギル」
「……何故我を連れて行かなかった」
「ギルの手を煩わせる程でもないかなと思ったの。実際すぐに帰ってきたでしょ」
私の言葉を聞いても相変わらずご機嫌ナナメなようで眉間には深い皺が刻まれ、いつになく鋭い眼光が全身を刺し貫く。
彼の怒りに満ちた表情にもすっかり慣れている私ではあるけれど今回ばかりは怒りを通り越して激怒の域まで達しているのかいつもの見下すような、或いは悠然たる微笑は伺えない。

「そんなに私と一緒にレイシフトしたかったの?」
「そうだ、とでも言えば満足か雑種」
「満足というより嬉しい、かな。裏を返せばそれだけ私の側に居たいって事だよね」
「……好きに解釈するが良い」
乱雑にベッドに腰掛けたギルの側に腰を下ろしてぎゅうっと彼の体に抱きつく。

上半身裸の鎧姿でカルデア内をうろつくのはよろしくないと勝手に判断し、買い寄せた黒のライダージャケットと同色のジーンズ、そしてシンプルな白のシャツ。
極めてシンプルな装いでありながらも彼自身から漏れ出す王としてのオーラがそうさせているのか、内に秘めたる感情が彼に対してフィルターをかけているのか私には分からないがやっぱり彼は美しい。

「今日はいい夫婦の日なんだって。ギルの奥さんにはなれないけど、これからもずっと……」
「誰が我の妻になれぬと言った?なりたいのであればなれば良いではないか」
「だって私は人間で、ギルは……」
顎を掴まれ瞬く間に唇を塞がれる。
左手の薬指にひやりとした何かを感じて視線だけでもそちらに向けようとした私の唇をぬるりとしたものが舐め上げ、そのまま咥内に侵入してくる。

「いい夫婦の日であるというのであれば夫婦らしく夜の営みでもするか」
シャツのボタンに手を掛けた王の言葉に静かに頷いた彼女の薬指には彼の鎧に勝るとも劣らない金色の指輪が輝いていた。

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極夜