CCC次元
口から言葉を零すことでさえ億劫に思えてしまうほどの倦怠感が全身を蝕んでいた。
我ながら一日よく頑張った。自分で自分を褒め称えたくなるくらいには小さな頭で考え、健闘した…と思う。
私の横をすり抜け定位置の玉座にどっかりと腰を降ろした王様も愚痴こそ漏らさないものの今日は些かお疲れのようで、普段なら私の揚げ足を取ってその反応をせせら笑うのだがそれがいつまで経っても始まらない。
…訂正しよう些かお疲れ、ではなく相当お疲れのようだ。現に今ちょっと玉座でうとうとしているもの!船を漕いでいらっしゃるもの!
「(体を冷やしちゃいけないし、ね)」
小さく畳んでいた高そうな赤い羽布団を抱えてなるべく音を立てないよう王様の元に赴く。(いつの間に着替えたのか鎧はすっかり脱ぎ捨てて白いシャツに黒のタイトジーンズと至極ラフな格好をしていらっしゃる。というよりその服一式いつ買ったの)
手にした羽布団を王様の肩に掛け終え、自身の定位置(王様の邪魔にならないであろう部屋の片隅)に移動しようとした時、何かが服の裾に引っかかった。
「え?ぶっ!!」
「いつ見ても貴様は情けない面よな。そうは自分でも思わんか梓よ」
「…何か御用ですか王様」
抱き寄せられたと思えばまだ良いかもしれない。しかし実際は目と鼻の先で端正な顔が不敵に笑っているーー即ち人類最古の王の膝上に跨る形になっているのだ。
返答次第ではこの体制のまま彼の武器で心の臓に穴を穿たれ命の灯がかき消える可能性とて、ゼロではないのだから心臓が休まる時はない。
「今日は些か疲れた。抱き心地の良い枕を献上せよ」
「今からですか!?流石にそれはーーーわあ!?」
王がパチンと指を鳴らせばどこからとも無くキングサイズ…それ以上に大きなベッドが姿を現した。
ほんの僅かな時間横抱きにしたと思うとすっかり縮こまっている私をそのとてつもなく大きなベッドに投げ込み、なんとあの王様もそこに横たわった。
「そこまでお疲れなれば王様一人で休んだ方が良いのではないでしょうか?私はいつも通り隅で静かにしておりますので」
「…そろそろ我の事を王と呼ぶのは止めよ。特別に名で呼ぶ事を許す」
「それは誠に光栄ですが…それよりこの状況の説明をお願いしたく存じます」
「敬語も、だ。次使えば首を撥ねる」
なんて傍若無人な王様だこと!契約した時点で分かりきっていたことではあるけど、 敬語使ったら首を撥ねるとは如何なものなのでしょう!
「梓よ返事はどうした」
「分か……ったよギル」
赤い目で睨みつけられて反論など出来るはずもない。投げかけたい言葉諸々全てを飲み込み頷けばギルガメッシュは今度こそ目を閉じた。
「眠る前にひとつだけ」
「なんだ、手短に済ませろよ」
「このベッドから突き落とす時は5秒前に教えてね。心構えがあるとないとでは痛み具合が全然違うんだから」
「(…突き落とすつもりならば最初からこのような事はせぬと察せ、雑種が)」
オマケ
「アイツ譲りの金髪に赤い瞳……アンタ、もしかして」
「いつも母梓と父のギルガメッシュがお世話になっています。息子の…」
「きゃあああ!誤解を生む発言は止めなさい子ギルっ!!!」
「子ギル、ということはやはりそういう事なんですね梓先輩」
「桜ちゃんちーがーうーの!子ギルはこっちに来て!話がややこしくなる!!」
「楽しいなぁ(はい!分かりました!)」
「本音と建前が逆!確信犯か!」