「ボクの本性を知っても、梓さんはボクを変わらず愛してくれますか?」
腹部に顔をうずめたまま零した子ギルの声からは普段の自信や威厳は見えず、僅かに震えていた。
少し癖のある金髪を優しく撫でながら彼の問いかけに言葉を返す。
「どんな一物をお腹の中に秘めていようとギルくんに対する気持ちは変わらないって誓えるよ」
「…何故そう言い切れるんですか?」
「私の声にギルくんが応えてくれたから。どんな理由や願望があったとしてもギルくんが今、私の隣に居るってことは揺るがないでしょう?」
「親しくなればなるほどよく分からない人ですよねマスターって」
「そう?私ほど単純で分かりやすい人はそういないと思うけどなぁ…」
誰にも打ち明けられない秘密や本心を所持していると宣言し、あのような問を投げたところで彼女がボクを突き放すはずはないと、変わらず愛してくれると最初から分かっていた。
街灯に群がる虫、はたまた誘蛾灯に誘われ絡め取られた蛾のように紅月梓の傍らにはいつも英霊達が寄り添っている。
信頼、心酔、狂気じみた恋慕、全ての感情を笑顔で受け止める彼女だからこそ自分の物にしたい、自分にだけ笑いかけてほしいと常日頃思っていると梓に打ち明ける事が叶うならば。
「…じゃあ、ボクの願い聞き届けてくれますか?」
「私に出来る範囲なら何でも叶えるよ。貴方の願いを教えてギルくん」
如実に強くなった彼の腕の力に苦笑いを浮かべながら彼の髪を撫でるのを再開する。
──私の心はあの日、貴方を召喚してからずっとギルくんに囚われたままだというのに。