「おいで」と言われるのに弱いをベースに詰め込み
お相手は上からマーリン ギル エミヤ(話が浮かび次第追加するかも)
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「以前街に出た折に女の子達が壁どん?とやらに弱いと聞いたのだけれど、梓もそう?」
「私?私は壁ドンされるより笑顔でおいでって言われる方がキュンと…何してるのマーリン」
肩を並べて歩みを進めていたマーリンの靴音がふと止んだ。
どうかしたのだろうか?と後ろを振り返ると目を細め口元を綻ばせてたマーリンが両腕を広げて立ち止まっている。
「突然どうしたの?変なポーズで固まって」
「梓おいで」
いつにも増して低いよく通る声で紡がれた音に心臓が鷲掴まれた感覚に陥る。
呼吸をするのも苦しく感じる程に胸は高鳴り、それに呼応するように火照っていく顔をどうすれば良いのか分からず押し黙ってしまう。
「顔を真っ赤にして照れているのかい?たった一言でそうなってしまうなんて本当に君は初心だね、梓」
「笑顔を浮かべた状態で名前を呼ばれて、おいでって言われたら誰だって照れ、る」
赤い顔を隠すように花を纏う魔術師の胸元に勢いよく飛び込んだというのに彼は動じるどころか、容易く私を手中に収め幸せそうに笑っていた。
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梓の言葉を聞いた途端金色の王は周囲を慮ること無く、高笑いを響かせた。
少女の肩もギルガメッシュと同じよう震えているがそれは彼と同じ理由からではなく、羞恥の類いであろう。
瞳に薄く涙の膜を張りながら梓は「そこまで笑う必要はないでしょう?!」と叫び王を睨み上げる。
「これが笑わずにいられるか!普段の粗暴さを目の当たりにしている者が今の貴様の発言を耳にすれば誰も彼も同じ反応をするだろうよ」
「酷い…けどギルの話が真っ当過ぎてぐぅの音も出ない。私が何にときめこうと自由じゃん。放ってお…!?」
なんの合図もなく、強引に腕を取られ思わず舌を噛みそうになる(実際ちょっと噛んだ。痛かった)
先の高笑いから募り募った怒りを筆頭に様々な感情が入り混じった瞳を再びギルガメッシュへと向ける。
梓を腕に収め満足気な王が嗤いながら口を開いた。
「お前の居るべき場所は我の腕の中。そうだな」
「えぇと…ギルなりの"おいで"がこれって解釈で…いたたたた!胸板に顔を押し付けられたら呼吸出来ないし、何より力が強い!骨が軋む!!」
(王様は口が裂けてもおいでとは言わない)
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「微笑を浮かべながら腕を広げておいでってエミヤ言って欲しいなー」
「私も生憎暇ではないのでね。他の英霊に頼むといい」
エミヤの言葉に嘘偽りはなくカルデアに存在する英霊の中でも彼は特別多忙な部類に入っていると梓自身よく知っている。
それでも私は誰でもないエミヤだからそう言って欲しいと口にしたのであって、他のサーヴァントから同じ言葉を吐かれたところで心は揺れ動かないのだ。
「……エミヤじゃなきゃ嫌なのに」
鳩が豆鉄砲を食らったような間の抜けた表情を浮かべたエミヤのわざとらしい咳払いが廊下に響く。
人目が無いことを確認するように辺りを見渡し、再度咳払いをひとつ。
「今回だけだぞ……おいで、梓」
目尻を下げ優しい微笑を浮かべながら腕を広げたエミヤを見つめること数秒。
何も言わない私に痺れを切らしてきたエミヤの咳払いがまた響く。
「本当にやってくれると思っていなかったから嬉しすぎて……。こんな時どんな反応をしたら良いのかな」
「そんな事決まりきっているだろう?俺がおいでと言ったんだ、君はただ飛び込んでくるだけでいい」
ゆっくりと彼の胸元に縋り付く。彼の体温を噛み締めるように恐る恐る背中に腕を回す。
「エミヤは暖かいね。心がぽかぽかしてきた」
いつもより早い気がするエミヤの心音に小さく笑みを零す。
大切な人が居て私を抱きしめてくれている。何気ない幸せの断片に過ぎないのかもしれないけれど私は今、世界の誰より幸せだと断言出来るほどく幸福に満ちている。