やり返しも程々に

CCC次元で迎える朝

窓から差し込む偽りの日差しの眩しさに開け放っていた瞳を1度固く閉じた。
眩しさにもそろそろ慣れただろうとゆっくりと瞼を押し上げた直後、腰に纏わり付いているがっしりとした筋肉質な腕に瞬きを数回繰り返す。
瞳が交わった後昨夜のことを詳細に話し、顔を真っ赤にしながらシーツを被る私を満足げに見つめる鮮やかな緋色の瞳は瞼に隠れ長い金の睫毛が彼の瞳を縁どっている。
穏やかな顔で眠りに落ちているギルを眺めているうちに「いつも私の寝顔を盗み見ているギルに少しくらいやり返しても…」という考えがむくむくと膨らんでくる。
いざ何を持ってやり返そうかと考え始めるも明確に閃かない。度を越えた悪戯をやらかすと起きた時が恐ろしいし…。

「本当にギルは恵まれた顔立ちをしてるなぁ…」
鼻同士がぶつかりそうになるほどに距離を詰めて彼の寝顔をまじまじと堪能する。
(外見だけは)文句のつけどころのない男だと思う。ギルと深い間柄という色眼鏡なくしてもやっぱりかっこいい。
…最もギルの傍若無人な性格がそれらの魅力を台無しにしているが。

「キスくらいなら起きない…よね?」
言葉が先か行動が先か。瞳を閉じて彼の唇を私の唇で塞いだ。
もう少しくらい深いものでも大丈夫だろうと根拠の無い自信の元ギルの唇を食むように隙間なく重ね合わせる。

「ん?!んん…っ!」
唇を離し僅かに乱れた呼吸を整えていると切れ長の緋の瞳と視線が交わった。
ああ、これはダメだと思った時には既に遅く私の唇はギルと3度目の口付けを交わしていた。
唇を重ねた、食むなんて生温い。
互いの舌の根が乾いてしまうほどに深く絡まる舌に熱い吐息が漏れる。
唾液が口端から垂れる事もお構い無く無遠慮に咥内を貪るギルの舌にすっかり咥内は蹂躙されてし尽くされていた。

「い、つから起きてたの…?」
「梓が我のことを賞賛し始める少し前くらいからか?」
「要は最初から起きてたってーーひ、っ」
首筋を這うひやりとした感覚と下肢に宛てがわれる熱量に小さな悲鳴を上げながらギルの胸を押す。
この空気はまずい。今日も今日とて限られた時間の中で探索に励まなければ。
彼とその行動に流されてはいけない、のに。

「建前を作り我と快楽から逃れようとするのは止めよ。全ては無駄な足掻きだ」
「別に逃げてなんか…ん、ぁっ」
はしたない水音を響かせるのは、間違いなく湿り気を帯び始めた自身の秘所で。
私を押し倒し馬乗りになっているギルのぎらついた瞳を前に私は考える事を放棄し、全てを彼の王に委ねた。

極夜