怪しい薬に勝て……ませんでした
手の中に収まっている瓶の中ではゆらゆらと蛍光ピンクの液体が彼女の動きに合わせて揺れている。
いかにも怪しい見た目をしているソレは俗に言う『媚薬』と呼ばれる類いの物だ。
なぜこんな物が紫月の元にあるのかと言うと、話は数分前に遡る。
* *
「はぁ……今日も疲れたぁ」
仕事帰りの電車の中、最寄り駅から自宅までの道程を重い足取りで進む。
季節は夏真っ盛り。日中は蒸し暑く、夜になっても涼しくならない日が続いているせいか少し歩いただけで全身汗びっしょりになっていた。
(早く帰ってシャワー浴びたい……)
そんな事を考えながら見慣れたマンションの入り口まで辿り着いた紫月は鞄から取り出した鍵を扉に差し込む。
ガチャリという音と共に開いたドアの向こう側へと一歩踏み出すとむっとした熱気に包まれる。その不快さに眉を寄せつつ玄関に入って靴を脱ぎ、手っ取り早くエアコンの電源を入れるとバスルームへと向かった。
脱衣所で服を脱いで浴室に入るとひやりと冷たい水を頭から浴びて火照った身体を冷やしていく。頭上から降り注ぐ冷水を気持ちいいと感じ始めた頃になり、やっとお湯が出し始める。
「夕飯作るの面倒くさ……冷蔵庫の中に何かあったかな?」
シャワーを止めてから浴室を出ながらタオルで軽く水分を拭き取り、洗濯機の上に畳んで置いてある下着を身につけてキッチンへと向かう。冷蔵庫を開け、中に入っていた食材を見た紫月の口から溜息が漏れた。
「何か適当に買ってきたら良かった…
…そういえば昨日の残りがあったかも」
昨晩作った煮物の余りを発見し、それに投げかけた視線の先に飛び込んでくる蛍光ピンクの液体。
(何だっけ、これ)
小ぶりな瓶を手に取り蓋を開けると途端に鼻腔を刺激する甘酸っぱい香り。
嗅いだことのある匂いだがそれが何だったか思い出せず、首を傾げながらも中の液体を口に含むと甘い味が口腔内を満たしていく。
舌の上で転がしながらゆっくりと嚥下し胃の中へ落ちた瞬間、カッと焼けるような感覚に襲われた。
「ん……なにこれ……」
一瞬の出来事だったが身体の奥底からじわじわと熱が生まれてくるような感覚に襲われ、心臓の動きが速くなっていく。
身体全体が脈打つようにドクンドクンと鼓動し始め、それと同時に頭が熱に浮かされたかのようにぼんやりとしてきて思考力が奪われていった。
「ふぅ……んッ……」
呼吸をする度に身体中に甘い痺れが広がり、思わず吐息混じりの声が漏れてしまう。
紫月は自分の意思に反して反応していく自身の身体の変化に戸惑いつつも、その場に座り込んだまま動くことが出来ずにいた。
どれくらい時間が経っただろうか。数秒なのか数分なのか時間の経過すら分からなくなった頃に突然スマホの着信音が質素な室内に鳴り響いた。
「ひゃう!?」
驚いて飛び上がった拍子に手の中から滑り落ちそうになったそれを慌てて掴み直すと画面を確認する。そこには『千切豹馬』と表示されていた。
(このタイミングで……!)
このまま無視してしまおうかとも考えたがもし重要な用件だと困らせてしまうかもしれないと思い直し、震える指で通話ボタンを押す。
「もっ、もしもし」
「お疲れー。今、家か?」
いつも通りの明るい声色を聞いてホッとした紫月は小さく深呼吸をして平静を取り繕いながら返事をした。
「ん、今ちょうど帰ってきたところだよ」
「なら良かった。実は紫月に話したいことがあって電話したんだけど……大丈夫か? なんか苦しそうに息してんな」
紫月の細い肩が大袈裟なまでに跳ね上がる。恋人の声をただ聞いているだけにも関らず快感を感じてしまい、身体の芯は疼きを増していく一方だ。
「だ、だいじょうぶ! 豹馬の気のせいじゃないかな?」
何とか言葉を絞り出し、心配させまいと必死に取り繕ってみせる。しかし、そんな努力は無駄に終わり恋人は核心を突いてきた。
「本当か? なんつーかさっきから変じゃね?」
下腹部がじんわりと湿っていくのを感じる。太腿を擦り合わせながら耐えているものの押し寄せる快楽の波は止まらない。
良くない、良くないと頭では分かっていながらするすると右手を秘部へと伸ばしていき、下着の上をなぞるように滑らせる。布越しだというのにも関わらず、くちゅりと卑猥な水音を立てて敏感な突起を掠めた瞬間、今までで一番強い刺激が駆け巡った。
「……ぁ、っ」
自分のものとは到底思えない甘く蕩けた声が唇から零れる。
「紫月?」
「ごめんね。ちょっと考え事してたの」
咄嵯に出た言い訳は我ながら苦しいものだったと思う。だが、それ以上深く追求されることはなかった。
(どうしよ……手とまんない……!)
スマホを肩と耳の間に挟み込み、空いた左手を胸へと這わせる。
既に固く尖っている先端に触れるとピリリと電流が流れるような感覚に襲われると同時に身体の奥がきゅっと収縮するような気がした。
「ふ、ぅ……!」
そのまま摘んだり引っ掻いたりしているうちに腰が浮き上がり背中が大きく仰け反る。その反動でテーブルに置いてあった瓶が床に落ち、派手な音を立て割れてしまった。
「今の音何だ? 怪我とかしてないか?」
「ぁ……足がテーブルに当たったみたい……怪我はしてないから……気にしない、で」
そう答えたものの、もはやまともに喋ることなど出来ずに荒い呼吸を繰り返している紫月はこれ以上隠し通すことは困難だとぼんやり頭の片隅で分かっていた。
「疲れてるからもう切るね……おやすみ、なさい」
スピーカーの向こう側に居る豹馬は本当に大丈夫なのかと尋ねてきたが、それに答える余裕もなく一方的に会話を終わらせると電源ボタンを押してスマホの画面を落とした。
「あ、あ、あっ……だめ、きもちいぃ……!」
通話が切れたことを確認してから、再び手を動かし始める。
ショーツの中へ手を差し入れて直接触れてみるとそこはぐっしょりと濡れていて、溢れ出した愛液によって指先はぬらぬらと光っていた。
「わたし相当な変態かも……っ」
媚薬の効果は凄まじいもので、ほんの少し触っただけですぐに達してしまいそうになってしまう。
「んっ……ふぅ……あ、ああああッ!」
親指でぐりぐりと押し潰すように陰核を刺激しながら、中指と人差し指で膣内を引っ掻き回すようにして抜き挿しを繰り返していく。
「ひっ、あ、イっちゃ……! んんんん〜〜!!」
絶頂を迎えた紫月はビクビクと身体を痙攣させ、乱れた呼吸を整えようと大きく息を吸い込んだ。
「は……っぁ……こんなんじゃ足りない……」
一度果てたというのに身体の奥底から湧き上がってくる欲望が収まる気配はなく、むしろもっと激しくと強請るかのように熱が高まっていく。
「豹馬……」
恋人の顔を思い浮かべながら紫月は再び手を動かし始めていく。
(豹馬が触ってるの想像しながら……)
先程よりも更に強い快感が襲われ、無意識のうちに動きは激しくなっていく。
室内には淫らな水音と紫月の甘い吐息が満ちている。。
「紫月の事が好きだ。俺と付き合って欲しい」
告白された時のことを思い出した途端、子宮がきゅうっと締まり蜜壺からはとめどなく愛液が滴り落ちて、太腿を伝ってフローリングに流れ落ちていった。
「豹馬、豹馬ぁ! ……好き、大好き……!」
豹馬のことを考えれば考えるほど気持ちが良くなり、夢中で指を動かすスピードを上げていったその時──。
「一人で随分楽しそうにしてんじゃん」
真から聞こえてきた声にハッとして頭を上げるとそこにはニヤついた笑みを浮かべる豹馬が立っていた。
「ひょ、豹馬……?!」
紫月は驚愕の表情を浮かべたまま動けずにいた。
見られた。よりにもよって一番見られたくない相手に。
羞恥心と絶望が入り交じった感情が渦巻き、涙が頬を濡らす。
「あんな電話の切られ方をして心配するなって方が無理な話だろ。気になって来てみたんだけど、部屋に入ってきた事にも気付かない位にはお楽しみだったみたいだな」
「違うの! これは……」
慌てて弁解しようとするも身体は正直なようで、未だに秘部を弄る手の動きを止めることが出来ずにいた。そんな紫月を見て豹馬は口元を歪めるとゆっくりと距離を詰めてくる。
「俺の事は気にせず紫月がしたいこと続けていいぜ」
予想外の言葉に呆然とする紫月だったが、次の瞬間には床に押し倒されていた。
「ほら、早く続き見せてくれよ」
「豹馬、何言ってるの……」
「だってお前、まだ満足できてねぇんだろ?」
図星を突かれて何も言えずにいると、豹馬は紫月の手首を掴みそのまま秘部へと持っていく。
「っ!? やだ!離して……!」
「自分で触るだけじゃ物足りなくて困ってんだろ? 手伝ってやるよ」
紫月の手の上に自分の手を重ねぐっと力を込めて押さえつけると、そのままショーツ越しに強引に割れ目をなぞらせる。敏感になっているそこはそれだけでも充分な刺激となり、全身を駆け巡っていく。
「ふぁ、あぁ! だめぇッ!」
「何で駄目なんだ? さっきまでめちゃくちゃ気持ち良さそうにしてただろ」
「んっ……! だ、だめなの……! このままだと私……おかしくなるぅぅ」
「俺は別に構わないけど? 好きな女が快楽に溺れてる姿なんて最高だろ」
耳元で囁かれる低い声にぞくりと背筋が震える。
耳の穴の中に舌を入れられ、ぴちゃぴちゃという音がダイレクトに響いてきて脳内が麻痺していくような感覚に陥っていく。
「ひゃあ! 耳やめてっ……!」
「本当に嫌なのか? ここはそうは思ってないみたいだけどな」
空いた方の手で胸の先端をきゅっと摘みあげられる。突然のことに紫月は目を見開き、甲高い悲鳴を上げる。
「あ、あっ……だめぇ……!!」
「嘘つくなって。本当はこうされるのが好きなんだろ?」
「ああっ!」
爪を立てられる度にびくんと腰が跳ね上がり甘い喘ぎが漏れ出す。その反応を楽しむかのように何度も同じ場所を責め立てられ、頭が真っ白になる。
(もう無理……我慢できない……)
限界が近い事を察した紫月は自ら指を動かし始めた。その様子を見て豹馬は喉の奥で笑うと、ショーツの中へ手を差し入れ直接触れる。
「あっ……んんっ……!」
「すげー濡れてんぞ。そんなに俺の声が良かった?」
「ふぁ……っ、んぅ……」
「聞いてる?」
「あぅぅ!! ごめんなさ……っ、ああぁ!!」
ぐりぐりと執拗に陰核を押し潰され、強烈な快感に襲われた紫月は呆気なく達してしまった。
「はぁ……はぁ……豹馬ぁ」
達したばかりの紫月は虚ろな瞳で恋人を見つめながら、布越しに頭を擡げている豹馬の半身に手を伸ばした。
「豹馬も気持ち良くしてあげるね……」
反応を見ながらゆっくりとファスナーを下げていき下着の中から熱を持ったそれを取り出すと、躊躇うことなく口に含んでいく。
「珍しいじゃん。普段自分からは絶対しないくせに」
普段は豹馬が一方的に責め立てるだけで、紫月から誘ったり行為に及ぶことは滅多にない。しかし今は媚薬のせいで正常な判断が出来ずにいた。
「ん……はぁ……豹馬、好きぃ」
根元から先端に向かって丁寧に舐め上げていくと、徐々にそれは硬度が増していく。
(すごい……どんどんおっきくなってく……)
「ひょーま、ひもちい?」
「咥えたまま喋んなって」
(上目遣いとか反則すぎんだろ)
恋人の反応を見て嬉しくなった紫月はさらに激しく吸い上げるようにして口淫を続けた。
舌を這わせて裏筋を刺激したり、亀頭に軽く歯を立ててみたりすると豹馬から甘い吐息が聞こえてきて、それがまた紫月を興奮させていく。
「だして?」
紫月の頭を掴むと豹馬はそのまま押し込むように動かし始めた。苦しくて思わず顔を歪めるがそれでも必死にしゃぶり続ける。
「っ、出る……!!」
「んっ……! ふ、むっ……」
口内に熱い飛沫が放たれ、それを一滴残らず飲み干すとようやく口を離し、大きく深呼吸をした。
「はぁ……いっぱい出たね」
人差し指で口の端に付いた精液を拭ってぺロリと舐める紫月を見ているうちに豹馬の中で何かがプツンと切れた。
「きゃ……豹馬?」
紫月を抱き上げベッドの上に乗せるとそのまま覆い被さり唇を重ねた。
「紫月が悪い」
「え? ちょっと待っ──」
制止の言葉を無視して首筋に顔を埋めたかと思うと強く吸われ、チクリとした痛みが走る。
「や、跡つけちゃダメ! 明日も普通に仕事なのに……」
「じゃあ見えないとこならいいんだな?」
「そういう問題じゃ……ひゃっ!」
紫月が言い終わる前にブラジャーのホックが外され、大きな手が乳房に触れてきた。
「や、やだ! いきなりそんな……」
「嫌じゃねぇだろ」
「あんっ! やぁ……」
胸を揉みしだかれ、時折乳首を摘まれると甘い声が漏れてしまう。
「お前の身体、どこ触っても感じるよな」
「ち、ちが……」
「違うって言うわりにはここ硬くしてるけどな」
ピンと尖った胸の先端を指先で弾かれると、それだけでビクンと腰が跳ね上がった。
「ほら見ろ。ビンビンに勃ってるぜ?」
「やんっ……言わないでぇ」
羞恥心で頬が赤く染まる。その間も紫月のいい所を重点的に責め続けた。
片方の手で突起を摘み、もう片方を口に含むと舌を使って転がしたり乳首を噛み付いてくる。
「ひゃああぁっ! だめ、噛まないでぇ!!」
痛いはずなのに何故か気持ち良く感じてしまい、もっとして欲しいと思ってしまう。視線を下にすると豹馬の唾液で濡れた胸の先端は厭らしく光っていた。
「はは、エッロ」
「やぁ……恥ずかしい」
「今更だろ。それより下も大変なことになってんぞ」
「あ……っ!」
再びショーツの中に手を入れられ秘部をなぞられる。そこは先程よりも更に潤っており、少し触れただけでもクチュクチュといやらしい音が響いた。
「ところで部屋に入った時から気になってたんだけど……アレ何?」
マゼンタの瞳はテーブルに置かれた小瓶を捉えており、紫月の顔からサッと血の気が引いていく。
「あ、れは……」
ショーツから手を引き抜いた豹馬は起き上がると、それを持ち上げまじまじと見つめる。
「へー……こんなの持ってんだ」
「ち、違うの! 気付いたら冷蔵庫に入ってて、私ジュースだと思って……」
「で、飲んじまったわけね。いつにも増して積極的な紫月が見られたし、俺としてはラッキーだったかもな」
ニヤリと笑みを浮かべながら耳元で囁いた豹馬は再度指をショーツの中へと侵入させると蜜壺の入り口に中指を当てがい、ゆっくりと挿入していく。
「すげー締め付け」
「んっ、豹馬……お願い、もう挿れて……!」
媚薬により全身性感帯になっているせいでただ指を挿入されただけなのに早く奥まで突かれたくて堪らず、膣内が疼いて仕方がない。
「どうしよっかな〜」
「意地悪しないで……豹馬の欲しいよぉ」
媚びるような声で懇願するも、豹馬は焦らすばかりで一向に指を引き抜く気配はない。それどころか二本、三本と増やしていきバラバラに動かし始める始末である。
「んんっ……豹馬……お願……っ」
「まだ駄目。たまにはこういうプレイも悪くないだろ?」
「そんな……あぁぁっ!」
親指の腹で陰核を押し潰されると呆気なく達してしまい、身体が大きく仰け反った。しかしそれでも満足することはなく、むしろ余計に渇望してしまう。
(足りない……もっと熱くて太いのが欲しい……)
無意識のうちに腰を揺らしていたことに気づいた紫月は慌てて動きを止めようとしたが時すでに遅し。それを見た豹馬は口角を上げると一気に指を抜き去り、代わりに自身の剛直を宛てがった。
「んぅ……はやくぅ……」
待ち望んでいた質量に紫月の口から甘い吐息が漏れる。そのまま先端だけを埋め込むと浅いところを何度も抜き差しされる。
「あっ、ん……なんで……? ちゃんといれて……」
「いつもより素直じゃん。そんなに欲しい?」
入口を擦り上げるように動かされただけで紫月の目からは涙が零れた。それが快楽によるものなのか、それとも生理的なものなのか自分でもよく分からない。
ただ一つ言えることはこの男によって自分の理性が完全に崩壊してしまったということだけだ。
「ほら、早く」
「ほしい……大きい豹馬ので私のナカ、ぐちゃぐちゃにして……!」
「上出来」
ずぶずぶと音を立てながら肉棒が埋め込まれていく。その音すら今興奮材料に他ならない。
「あぁぁっ!! きたぁ……!」
紫月の望み通り最奥まで貫くと、豹馬は激しく律動を開始した。
肌同士がぶつかり合う音が響き渡り結合部から愛液が飛び散るが、紫月にはそんなことを考える余裕はなかった。
「ひゃあん! はげし……っ! ふあ、ああぁっ!」
絶頂を迎える寸前、ギリギリのところで抜かれてしまいあと少しというところで快感を逃してしまう。
「ぁ……どうして……」
「後ろ向けよ」
有無を言わさずうつ伏せにさせられ、四つん這いの体勢を取らされる。
紫月の身体は本能的にバックからのセックスが好きだった。獣のような恰好をしている事への羞恥心がスパイスとなり、より興奮が高まるのだ。
「やっぱりこっちの方が締まりいいな」
「いた……! おしり叩いちゃだめ……!」
パンッと臀部を叩かれ同時に陰核を指で押し潰される。その瞬間、電流が流れるような感覚が襲い紫月は大きく背中を反らせる。
「イっちゃう! またイッひゃうからもうやめてぇぇ!!」
「止めて欲しくなんかねぇだろ。ここ、こんなにドロドロに濡らしてんじゃん」
結合部分から溢れる愛液を掬い取り、塗り付けるようにして陰核に触れる。そしてそのまま摘むようにして弄るとさらに締め付けがきつくなった。
(ヤベ……もってかれる)
あまりの強い締め付けに耐えきれなくなった豹馬はさらに速度を上げていく。
「ひゃあぁ! もうむりぃ! あたまおかしくなっちゃうぅぅ!!」
子宮口をノックするように亀頭を叩きつけられる度、視界がちらつくほどの強烈な快感に襲われる。
「こっちも触ってほしいだろ?」
後ろから激しく突き上げられながら両手で胸の先端を強く摘まれて爪を立てるようにして引っ掻かれ、さらには胸の形が変わるほど揉み込まれる。
休む間もなく与えられる快楽のせいで今はただ、目の前の雄に孕まされることしか考えられない。
「も、イクく、イくぅ! イかせてぇ! ナカに出して、豹馬の物にしてぇぇ!」
普段なら絶対に口に出さない卑猥な言葉の数々。それを聞いた豹馬はニヤリと笑うと一層強く打ち付けた。
「ちゃんと言えていい子だな。たっぷり注いでやるから残さず飲めよ」
子宮口を押し開くようにぐりっと押し付けられ、熱い飛沫が注ぎ込まれていく。
「あつい……おなかいっぱ……ッひ?!」
最後の一滴までも逃さないようキュウゥと収縮を繰り返す膣内の中に挿入されたままの状態で再びピストンが開始され、紫月の唇から短い悲鳴が漏れ出た。
「まだ足んねーんだよ」
「まって……いまイッてるから、うごかないでっ……!」
懇願しても聞き入れてもらえず、更に激しい抽挿を繰り返され頭が真っ白になる。
(だめ! だめぇ! 気持ち良すぎてなんにも考えられない……!)
身体を支えることが出来ずに上半身が崩れ落ち、臀部を突き出す形になってしまう。
「こーら、休んでんじゃねーよ」
「あ、ぁっ……! くるしい……またおくまではいってくるぅ……!!」
上から覆いかぶさるようにして腰を押し付けられたことでより深くまで剛直が挿入された。
苦しいはずなのに身体は貪欲に快楽を拾い上げ、紫月はもはや声にならない声で喘ぐことしか出来ない。
「すげぇな、ずっとイキっぱなしじゃん。そんなに俺のが好きなわけ?」
「んぅ、すき……ひょうまっ、しゅきっ! あぁぁぁっ!!!」
豹馬が僅かに動くだけで敏感になった秘部はきゅうぅと媚びるような動きを見せる。
「俺も。紫月が好きだ」
「わ、わたしも……ひょーまのことだいすき……だからもっと……んぅ!」
「はっ、可愛いすぎんだろ。……愛してる」
甘い声で愛の言葉を囁くと同時に項に噛み付かれ、身体中に電気が流れたかのような感覚に襲われた。それは痛みではなく、快感に近いもので、その証拠に子宮が疼いて仕方がない。
(もっと、もっと奥まで欲しい。めちゃくちゃに犯してほしい。豹馬の物になりたい……!)
一度出されたこともあり、滑りが良くなったお陰で動きやすくなりさらに激しさを増していく。
「あ、あぁぁっ! だめっ! もうイけなくなっちゃう!」
連続した絶頂に限界を訴える紫月だが、豹馬の動きが止まる気配はない。
それどころかさらに強い力で抱き締められ、まるで捕食されているかのような錯覚に陥る。
「紫月が満足するまで付き合ってやるよ」
「やぁ、もぉむりぃ!! イきたくないの……!」
泣きながら訴えるが聞き入れられることはなく何度も中出しされ続る。
それでも尚萎えることのない肉棒は執拗に子宮を犯し続けていく。
「紫月……っ!」
「ひょう、ま……っあぁぁぁっ!」
紫月の身体は大きく痙攣すると大量の潮を吹きながら本日何度目かも分からない絶頂を迎えた。同時に締め上げられたことで最奥へと精を吐き出していく。
「はっ……ぁは、ん……」
息を整えている間も繋がったままの状態は続き、時折軽く抜き差しを繰り返される。しかしそれだけでは足りないのか紫月は自然と自ら押し付けてしまっていた。
「今夜は覚悟しろよ」
そう言って微笑みかける豹馬に紫月もまた笑みを浮かべてみせたのだった。
* *
「え、えっと……」
翌朝、ベッドの上でマゼンタの瞳に見下ろされ戸惑う紫月の姿があった。
羞恥心に耐えきれずシーツに潜り込もうとしたが当然、豹馬によって腕を掴まれ阻まれてしまう。
「なに逃げようとしてんだよ」
「だ、だって本当になんであんなのが冷蔵庫に入ってたか知らな……ぁ」
最後まで言い切る前に口を塞がれてしまった。それもキスというにはあまりに乱暴なもので、唇ごと食べられるのではないかという錯覚に陥ってしまうほどだ。
「紫月の事だし出先でそれっぽいの見つけて冷蔵庫に入れて忘れてただけだろ?」
う、と小さく呻き豹馬から背中を向けた。彼の言う通り確かに似たような経緯で購入した……ような気がしてきた。
(まさか本物だったなんて……!)
すっかり忘れて服用し、彼氏の前で自慰をしてしまう羽目になってしまったのは今でも思い出しても恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちだ。
加えてあの時自分が言い放った『豹馬の物にして』という言葉を思い出すだけでも顔から火が出そうになる。
「ま、俺としては願ったり叶ったりだけどな。紫月の色んな姿を見られたし」
耳元で囁かれ反射的に振り返るとニヤニヤと意地悪く口角を上げた恋人の顔がすぐ側にあった。
「今度は別のやつ使ってみるか」
「二度と使いません!!」
顔を真っ赤にして否定する紫月とは裏腹に、次なる計画を思い描いている豹馬は彼女の柔らかな髪を撫でながら実に楽しそうな表情をしていた。
prev next
[back]
極夜