燃ゆる女の肖像
フランス革命以前の女性画家とそのモデルの愛の話
タイトル通りの燃ゆるという表現は二人の短い間の時間もそうだし、物理的にもそうだった、煌びやかで華やか・・・という訳では決してないのにどこかそのシンプルなものばかりで描かれた今作はとても魅力的だった。
そして自分はあの時代の女性がどういう扱いだったのかを理解していなかったのですが話が進む事にあの時代の女という性別が如何に"空気"であるのかを感じた。
例えば物語冒頭のボートのシーンで絵が流されるのに誰も助けずに海を泳ぐ画家である主人公
久方振りに外に出たエロイーズが「一度でいいから走りたかった」というセリフ
基本的に作品に出てくる男たちは女を視界に入れないのかというほど素っ気なく関わらない、戦略結婚が普通の世界だし女は自由がないという中で異なる世界の二人は互いに思うところを感じる
個人的に好きなシーンは在り来りですがゼウスの話だった
3人それぞれが違う解釈を持っていて、約束を守らない薄情者と罵る者・詩人だったと解釈する者・妻が彼をわざと振り向かせたというところ。
このシーンは最後のシーンでとても重要だった
仕事を終えたマリアンヌが出ていく時、エロイーズは泣きそうな悲痛の声で「振り返ってよ!」と叫んだ、そしてマリアンヌはあの時振り返らなかった、振り返っていれば最後のシーンは違ったのかもしれない
物語のラスト、絵画の中のエロイーズは確かに今もその心をマリアンヌに…というように28pをみせて娘と二人並んで描かれていた
そして別の時、向かいの席でオペラを聴く彼女はマリアンヌがいたと知っていても一度も振り向かなかった、あの時のマリアンヌの振り向けと言いたげなあの表情とエロイーズの強い意志のある瞳はまさに二人の関係を描くものだったかもしれない。
キャンプファイヤーのシーンで互いに見惚れたあのとき、エロイーズのドレスに炎が燃え移った時、あんなに美しい愛の着火はあったのだろうか?
この文章を書いている時私は冒頭でこの映画はシンプルだと感じたと書きましたが、今こうして文にしながら理解するのはあれは映画であり絵画なのだとも色合いやその撮し方から感じられたのでした。