後悔なんてしない
あらすじ
デザインの勉強のため田舎から上京したスミンだが、昼も夜も働きづめの日々だった。ある夜、金持ち風の男、ジェミンと出会う。スミンは恋の予感に心躍るも、ジェミンが勤め先の御曹司と知り激怒。やがて、バーで働くスミンをジェミンは執拗に追ってくるが…(filmmakersより引用)
【予告】
以前感想を書いた『夜間飛行』の監督のデビュー作品である本作
まずこちらの作品のイソン・ヒイル監督は韓国初カミングアウトをした監督さんでして、以前から度々書いてるかもしれませんが韓国という国の同性愛差別はとても激しいものです。
そんな中で今から約20年近く前にカミングアウトをたくさんの方にされた監督の勇気は素晴らしいものでしょう。
それを踏まえて夜間飛行・後悔なんてしない の二作をみますと、その切なさと辛さがより一層描かれているのかな。と思います
個人的には『夜間飛行』が好きですが『後悔なんてしない』はタイトル通りの映画でした。
孤児院育ちのスミンは仕事を無くしたら生活ができないしいい生活を送るためには学歴が必要で、そのためには金がいるからと働くしかない、そして大金をまとめて…となると彼は男情婦になるんですね。
しかしそんな彼を買おうとしたり執拗に追いかけ回すのは金持ちのジェミン。
スミンからしたら一番初めの運転代行の時に口説いてきた時のジェミンはかわいげのある男だったけど簡単に交わしちゃうんですけど、その時の2人がまたかわいいんですよね。
一目惚れのジェミンは自分の会社の契約社員のスミンの解雇を取りやめるけど、スミンからしたらそりゃあもうムカついてたまらない、あの時の怒りの表情も友達から「結局はコネだ」って言われた時の悔しさはどうしようもなかったでしょう。
そして度々「コネ」といわれる言葉からして韓国社会において金持ちは結局優遇されるという世界、正反対の生活を見せられる二人の身分差なども描かれた本作は王道っちゃ王道のラブストーリーでもあるんです。
個人的にはスミンが目にかけてやったかわいい後輩カジムという男の子に告白されるところも好きです、彼は二度告白するけど断られてて、それでもスミンが好きだったというのが描かれていて。
けど同じ店で働く者同士なんて余計に惨めだし好きでもないスミンは断るし、その後太客に車を買ってもらったカジムが事故で亡くなったあと親もいない彼は誰にも引き取られずその遺灰を交通道路に撒いて供養するスミンの切なさが胸が痛くなるし。
その頃、ゲイであることを知る親に勝手に婚約者との結婚を決め付けられたジェミンは板挟みで苦しくて、その前のスミンとの愛のシーンがあまりにもキラキラしてるから辛くなるんですね。
そして婚約者を知ったスミンは愛しさ余って憎さ百倍となり、先輩と共に生き埋めにしてやると決めて彼を拉致して殺そうとするんですけど、結局殺せない…好きだ…となるシーンがもう涙なくしては
最後の最後に交通事故しちゃって怪我したふたりが車の中で顔を見あって微笑むシーンは愛おしさが溢れて、タイトル通りなんだな。ってなるんですよね。
イソン監督の作品は基本的に静かで余計なことはあまり語らないです、だから間の開け方とか流れるピアノとかが心地よくて、映像の中のそれぞれの表情とかも絶妙に観客の心を奪って離さないんです
ここ最近だと一番好きなのは夜間飛行とランユーなんですけど、本当にアジア系同性愛映画はどれも繊細で面白くてたまらないのですね