ファルマ

「交際をするにあたってのルールだが」

また気難しいこと言ってる。そう思いつつもようやくアタックをし続けて折れてくれた彼に対してあまり無粋な事を考えてはダメだと思い黙って聞いた
人間とトランスフォーマー、それも生粋の地球に行ったこともないサイバトロニアンの彼との出会いは人間でありながら医療見習いとしてデルファイの配属が決まったからだった

出会いはさておきファルマは交際を初めて二言目に互いのルールを決めた、仕事をするにあたって無駄になりたくないということなのだろう
無駄な連絡は極力ないように、人前で無闇矢鱈と接触しない、冗談でも渾名はやめろ…等とまぁなんとも頑固で面白みないルールに彼は恋人を作ったことがないのだと直ぐに察した(というよりもサイバトロニアンに恋人はあまりいない)

「そして念の為にいうが接続はしない」
「接続?なんの?」
「…人間の言語でいうところのセックスだ」

成程と手を打って理解した彼女はそもそもこの体格差で出来るわけが無いだろうと内心笑ったものの後日患者の中に人間と同じサイズの有機生命体と付き合っていたことのある者がシたことがある。というもので彼女は絶句した

「そもそも人間とスるって難しくない?」
「そんな事ありませんよ、僕らは人間と違ってスパークに負担のない範囲でしたらサイズを変えられますから」
「でもさぁ、その…なんていうのかな、コネクタはさすがに違うでしょ」

回診も終えて落ち着く頃ファーストエイドに何気なく伝えれば彼は気にした様子もなく返事をした、ふと彼はいつも通り仕事を放棄して読み物に夢中になっていた視線を彼女に向けて至って真面目に医療者としての顔でモニターを付けた
確かに彼らにそれがあるとしても使うことが滅多にない上怪我をするなど以ての外である故に見たことは無かった、コネクタと呼ばれても他に似た名前の部位は多いので特に気にしなかったがまさかそういった行為に使う際のものとも知りはせずモニターを眺めれば彼らの解剖図と参考資料が大きく表示される

「へーコードの束になってるんだ」
「これらは全て非常に繊細なコードの束で感覚を外からも受けることが出来ます、なので人間のプライベートゾーン同様注意が必要です」
「なるほど、詳しく知らなかったから参考になります」
「……お前たち馬鹿をしてないで仕事をしろ」

ふと聞こえた声にドアを見つめれば呆れた顔のファルマが二人を見つめた、モニターの画面を見ては下らない授業だと理解し特に追求はしない為二人して立ち上がり気だるい返事をしつつ患者達の元へ向かおうとした
ファーストエイドが出ていったあとに出ようとする彼女をファルマは呼び止めた

「くだらない事ばかり考えるな」

冷めきった彼のオプティックに「別に勉強だよ」とこぼして病室に向かった、ナナシが担当する患者達は比較的軽傷や意識のある者たちばかりだ
彼らと雑談をしつつ復帰できるかの判断をカルテに書いては病棟管理人にデータを送る、ふと彼らの足の間を見ては確かにそこに個人差はあれどハッチがありそこからコネクタが…などと考えてしまえば彼女はそれまで気にしていなかったコトばかりが頭を過ぎった


「…っ♡」

頭の中でファルマに触れられることばかりを考えてはベッドの中で自分を慰めた、決まった時間に仕事を終えて就寝に着く前にどうしようも無い体の火照りを冷まそうと自分で自分をスることは一体いつぶりか
さほど欲が強いわけではなく、たまのストレス発散程度で一人の時はシてはいたもののあの話を聞いてしまえば付き合い始めたこの数ヶ月で行った軽い接触を思い出す

『ナナシ』
「ファルマ♡」
『ナナシ』
「ファ、ルマ♡」
『ナナシ』
「あっ…る、まっぁ♡♡」

トランスフォーマーと恋人になるとは即ちスパークの繋がりがメインだ、彼らに人間のような三大欲求は存在しない
眠る事は充電が必要になればというだけ、食事は人間のように種類は豊富では無いため仲間内のコミュニケーションの一環やエネルギー補給のため、性欲についてはある方が珍しい
特にファルマといった男は無駄が嫌いだ、ハッキリと不要な事はしないと宣言したらそれを有言実行するタイプであると理解している、キスのひとつも出来ないのはサイズ差だけではない、彼とそんなに顔を寄せることがないからだ
絶頂を迎え汚れた手を眺めて疲労感の中に虚しさを感じてはやはり彼に触れられたいと願うのは人間だからか…

「話を聞いているのか」
「うん、ちゃんと聞いてるよ…F棟の患者達が最近一気に減ってきてて」
「あぁそうだ」

データパッドで内容を確認しつつチラリとファルマを眺める、青い手やスラリとしたジェットタイプの美しいボディ、そして腰元を眺めては「ナナシ」と呼ばれ思わず顔を上げる

「仕事に集中できないなら休んでも構わないぞ、お前一人居なくても困らないからな」
「ごめん、ちょっとぼーっとしてただけちゃんとするから」

人間の欲望を知らないくせにとベッドの中で慰めながら悪態をついた、決して性欲だけでファルマに抱かれたいという訳では無いというのに彼にはそれが理解などされない

「ば、か♡ファルマ…ばか♡あっ♡んっ」

仕事を終えて食事や風呂を終えてはベッドに入る度に彼を思い出した、時折触れる指先はとても優しく繊細なものに触れるようだった、それは彼の愛情だと気付いていた
例え言葉が少なくとも行動がなくともそれでも彼が特別好きだと感じながら手を足の間に滑らせて彼に触れられていると過程し声を思い出し続けた


「抱いて欲しいんだけど」

もうこうなれば仕方がないとナナシはある日ファルマに直接伝えた、彼の自室、二人きりの部屋の中で彼のデスクの上に腰掛けるナナシは普段よりも身軽な格好をしていた
それこそ彼に抱かれるような下着さえ身につけて意味は無いとはいえ露出の多い格好をして勇気を振り絞ったものだった

「…初めに伝えた筈だ、私達はそういうことをしないと」
「しない理由って何、出来ないってのは嘘だって知ってるから」
「意味の無い行為過ぎる、そんなものに使う時間があるなら今こうして二人で同じ空間で静かに過ごす方が有意義だからだ」

その言葉に彼が決して意地悪であったり好意がないというわけではないことは理解した、それでも悔しくなり「…わかった」としか返事は出てこずその場の空気が苦しくなり今日は帰ると伝え彼の部屋を出ていった

ファルマはそんな彼女の背中を見届け椅子に深く腰かけて呆れたような表情をした、人間は脆く短い命の生き物でありその短さゆえに本能的に繁殖する、感情という部分は確かにあれど根本は子孫を残す為であるがファルマにはそれが出来ない
万が一身体を重ねて傷つけることや、その次の生命が欲しいという願望が現れた時が怖いと感じていながらそれを伝えることは到底出来ないものの傷付いた彼女の表情を思い出しせめて謝罪は出来ずともそういったことを抜きに関係を重ねさせて欲しいと伝えようと後を追うように彼女の部屋に向かった

「ファルマのバカ、そんなのわかってるのに…わかってるけど…うぅ」

シャワーまで浴びて行ったが予想通りの結果であった、傷つく必要などないと分かっていながらも悔しくそれでも尚彼への気持ちが消せず疼く腹部を優しく撫でた
いつからこうなってしまったのか、触れられないと分かれば余計に求めてしまう、枕を抱き締めてうつ伏せでベッドに寝そべりながら薄暗い部屋の中怒りを収めるようにふと手を伸ばした

部屋に戻ってたかだか数十分だというのに自身の恋人がそういった行為をしていることにファルマは様々な理由を含めて動揺した
名前を呼んだが返事は無いため薄くドアを開けて覗けば薄暗く眠っているのかと思えば苦しそうな声が聞こえ思わずセンサーを上げ暗視モードに切り替えれば彼女ベッドの上でうつ伏せになり足の間に手を入れていた
人間の資料で眺めたことのあるものであり、それを彼女が行っていた

「ふぁるま♡ぁ、すき♡ファルマ…ん、ぅ♡」

甘ったるい聞いたことの無い声で自分を呼ぶ彼女にファルマは夢中になっていれば彼女は指を早める、絶頂が近いのかさらに声を高くしてファルマの名前を呼び愛を囁いていた

「っイク♡ファルマ♡ぁあ♡す、き♡♡イクの♡は、ぁッッ♡ーーー♡♡」

くたりとベッドに落ちた彼女は指を引き抜いたそこはヒクヒク♡と震えてファルマをおかしくさせた

「ファルマ…」

ファルマはその場を急ぎ足で去っていった



結局どれだけ苛立っても自分の欲を彼にぶつけてるだけだと冷めきった頭で思いつつ手を洗った、キスひとつもしない相手にそんなものを望む自分が一番ダメなのにと感じ明日は朝一番に顔を合わせて謝ろうと思っていれば影が差し込んだ

「ファル…え、あれ…どうしたのそれ」
「可能な範囲で縮小機能を使ったんだ、多少の違和感はあるが機体に問題は無い」
「それはいいけど、どうしたの」
「抱かれたいんだろう」
「いや、別にいいよ私が無理言ったしごめんね、さっきの忘れて欲しい」

ゆっくりと近付く彼に慌てて返事をするがファルマは押し寄せた、ナナシは思わず彼を押し返して本当に無理なことはさせたくないと何度もいうが彼はその手を掴み彼女の押し返す掌に唇を押し付けてみつめた

「恋人として望む形で答えたいだけだ」


無駄と言い聞かせなければ抑えられないとファルマは感じていた
自身の前で初めて見る生まれたての恋人の姿に彼は酷く興奮していると冷静に自身を分析しつつも彼女の肌を撫で傷付けていないかと不安そうにみつめる、金属とは全く異なる柔らかな肌は縮小した彼の手に張り付くように馴染み二つの乳房は彼の手の中で形を変えた
ファルマに触れられていると感じるだけでナナシはどうにかなってしまいそうだった、待ち望んでいたことでありながらも恥ずかしさに消えてしまいそうだとも感じちらりと目の前の彼を覗きみれば真剣な眼差しが向けられた

「痛くないらしいな」
「うん、そんなに心配しなくてもいいよ」
「するに決まっているだろう」

こんなにも違うのだからとファルマが思うことをナナシも感じ取りつつ先程自分で散々慰めて火照った体にさらに火が灯されていると感じ、そして何も知らない彼に教えてやりたいと意地悪な心が芽生えた

「ねぇファルマ、キスして…もっと、こうして」
「そんなに掴んだら」
「痛くないってば、ぁ…ん♡ファルマの手大きくて冷たい…きもちいい」

右手を取られ招かれるように強く押し付けられその指先は柔らかな彼女の肌に沈んでしまう、それまで包むような触れ方であった彼は驚きつつも甘い声を出すナナシに導かれるままに夢中で掴んだ
顔を寄せればナナシはまるで子供のようにリップ音を立ててキスをすることにむず痒さを感じながらそれが次第に物足りなさに変わっているとファルマは感じた

「はぁ…ナナシ…ぁあ」

まるで彼女という名の沼に落ちてしまう気分に感じられた、甘く心地よいもので優しく頬を捕まれ深い口付けを繰り返し、全てのセンサーが彼女だけを捉えて反応することは心地よいものだろう

「ファルマこっちも」

足を薄く広げ中心部を拡げる彼女は下準備を整えていた為に雄を求めるような姿を晒したもののファルマは腹を撫で下生えを撫でその茂みの奥に隠れた蜜を溢れさせた場所に太い指を差し込んだ

「あっ♡コネ、クタで、いい…のに、あっ♡」
「ダメだ、ちゃんと解し終えたらお前の望むようにしてやる」
「ッ♡ッ♡ゆび、お…くっ、クる♡♡」
「痛いのか?」
「ちが、ぁ♡きも…ちいの♡」

素直にそう告げる彼女にファルマは内心喜びを感じた、自分の手で乱れるナナシをスパークの底から愛おしくかわいらしいパートナーだと感じられた
元より素直で勤勉なナナシに惹かれたことは事実であり、恋人となったのならば一般的な考えとして求め合うことは当然だと知っていた
しかし傷付けてしまうことだけは避けたかった、例え同士を傷付けたとしても恋人となった脆いこの生き物だけは守り抜いてやりたいと常々彼は愛情深く感じていた
腕の中でファルマの愛撫を受けるナナシは女としての悦びを一身に受け身体を震わせる

「ファ、ルマ♡イッきそ…ぉ♡だ、め…え♡ックの、イクッ♡」

サイバートロニアンにとってのパルスを迎えようとしているのだと知ったファルマはその指を喜ぶように動かしてやればナナシは甲高い声を上げ足を震わせ指を締め付けた
はぁ…はぁ…と甘く深い吐息を吐くナナシにファルマはもう少しかと考え次はもう一本の指を刺し入れればナナシは堪らずに彼の肩を掴む手を強めて目の前の彼を見つめた、欲に塗れた雌の表情はファルマを興奮させるには十分の事である、自分でもしたことを含めれば二度目の絶頂である故にこれ以上は不要だと言いたげな彼女に「まだ解せてないだろう」といったのは事実ではありながらももっと乱れた彼女を腕に閉じ込めてみてやりたかったという本音もあった

「〜♡♡っイッ、たの♡もぉ…やぁ♡♡あっ♡あぁ♡♡」

ファルマに腕枕をされるように抱き締められ情けなく足を開き何度も手で慰められたナナシはそれが何度目の絶頂か分かりもせず、ただ汚れるシーツの感覚やより自分を責める方法を理解していくファルマに限界を迎えていた
普段とは違う女の顔をしたナナシにファルマは慣らしは不要だと理解していながらも止めることは出来ず彼女の身体をただ責め続けた
長い時間何度もいじめ抜いたあと漸く彼女を解放したファルマはナナシをベッドの上に優しく寝かせてはハッチに手を伸ばし開くことなどなかったそれを取りだした、定期的なメンテナンスのみでしか取り出すことのなかったそれは普段とは異なり酷く興奮した様子であり先端の排出口からはオイルが僅かに溢れておりファルマは自身がどこまでも彼女を望んでいるのだと改めて思い知らされた

ふとナナシをみつめれば期待した彼女がごくりと唾を飲み見つめた、体格差は圧倒的なものでありこれを彼女の中に沈めることは暴力的にも感じられたがファルマは抑えきれない欲望を感じた

「ナナシ、いいな?」
「うん…ッン♡」
「ハァ、くそ…狭いな」
「く、っぅ、ふぁる、ま」
「受け止めてくれ…私を」

暴力的だとも感じられるほどの質量を受け止めるナナシに若干の罪悪感を感じながらもファルマは抑えようがないものだと感じその小さな恋人に全てをねじ込もうと腰を進めた、必死にシーツを握り苦しみから顔を顰めるナナシにどうしてやればいいのかも分からずに見下ろしていればふと奥に入り切る頃ようやく二人は顔を見つめあった

「はい、った?」
「あぁすまないな」
「やっと、やっとファルマにシてもらえた、うれしい」

知りたくはなかった、その快楽ではなくナナシの優しさと温もりを知れば逃れられないとファルマは感じていた
自分を思い慰める姿も、健気に求める姿も、愛を注ぐ姿も、全てがファルマの棘を抜いていくようだった、そっと背中に腕を回して距離を縮めればますます奥にコネクタが迎え入れられ二人の距離は縮んだ

「ファルマ、好きだよ」

そういったナナシはファルマの唇にキスをした、サイバートロニアンの愛はプラトニックで肉体的なものがないことを理解していながらもナナシは抱いて欲しいと人間的な繋がりを求めた
それに応えてくれたファルマの優しさと愛情深さは何処までも彼女を喜ばせるものであり自身の中に埋められた苦しい程のものさえ愛おしいものだった

「あぁ、私もだ」

まるで今までの事を詫びるように彼は何度も口付けをしてゆっくりと抽挿を始めた、背中に回した腕は回りきらず彼の美しい羽を撫で塗装を剥がすように爪を立て甘い声はファルマの重苦しい吐息に掻き消された

「ナナシ…ッ愛している」

自然と溢れた言葉を聞いては嬉しそうに表情を緩めるナナシにファルマは堪らずに彼女の腰を掴み喜ぶ場所を探る、心の繋がりを主とした行為であれど彼女を満足させてやりたかった
血と肉で出来たその体は自分とは異なるが愛し合うことは出来るのだと改めて感じてはファルマは腕の中の恋人を見つめた

「あ…♡はぁ…ぁ、ファルマ、ファル、マ♡♡」

自分を受けいれシーツを掴む彼女の手首をつかみ、さらけ出した喉元に舌を這わせて昂る熱を互いに感じ打ち付け合っていけば二人は快楽の波が近付いていることに気付いた
大きく足を開き出来うる限り彼の背中に足を回したナナシに、腰を掴みますます距離を詰めては荒い排気音をさらに激しく立てるファルマ

「ナナシ、ナナシ、そろそろ射精そうだ」
「う、ん♡わた、しも…ぉ♡♡一緒に…♡ファルマ、ぁあ!!」

強い締めつけに気をやりそうになりながらもファルマはコネクタを抜きナナシの腹の上に薄い蛍光色のオイルを吐き出した
互いに身体で息を整えては落ち着いたあともう一度目を見つめキスをした、それまでの時間を取り戻すように優しく長く愛おしむように


「とはいえ接続は暫くはしないぞ」

行為を終え身なりを互いに整え直す頃そういったファルマにやはりまだ硬い思考なのだとナナシは呆れつつも愛し合えた今があるのならば仕方がないとも感じた
落胆したような呆れたような態度のパートナーにファルマは自身の考えと違うことを思っているのだと判断し咳払いのような真似をした

「勘違いするな、今回のように無闇矢鱈と道具もなしにするのは医療者として許せないからだ」
「道具って…あぁ避妊具とか?」
「そうだ、人体に害はないとしても直接はやはり良くないからな」

頭が固い人だと思いつつもそれがファルマのいい所だと感じたナナシは同意した返事をしつつもふとベッドサイドの引き出しを広げた

「でもそれなら別に大丈夫だよ、ここにあるから」
「なっ!何故そんなものがあるんだ」
「だって」

期待してなかったわけじゃない。という彼女にファルマは喜びと呆れと怒りを混ぜ合わせた複雑な表情を見せたあと負けたように顔を手で覆いつつ「だからといってそう頻繁にはしないからな」といった理由は自分に言い聞かせるためであった
ナナシはそんな真意は分からずとも今後彼と愛し合えることを期待して嬉しそうに笑みを浮かべて返事をした、次は元の姿でもっと口付けをしたい愛し合いたいという気持ちを今はまだ隠しておいて

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