スプリンガー
生殺しという言葉をスプリンガーが理解したのは彼自身が昏睡状態になった時だった
G-9の任務にて重傷を負った彼はぼんやりとする意識の中で決まった時間に朗読に来るロードバスターや自分の世話をしてくれる恋人であるナナシを認識していた、だというのに彼の頑強なボディは動くこともできずまるで夢の中にいるようにぼんやりと意識をさ迷わせていた
時折ロードバスターが今日で何日目だという言葉にそれだけの月日が経過しているのかと感じつつ、人間時間に換算しては長い時間だと感じつつも動かせぬ身体にどうすればいいのかと感じた
恋人であり武器整備士という役割でレッカーズに身を置く彼女は任務がない以上は元の科学者としての仕事に忙しないようでロードバスターのいない時間にやってきては仕事のことについて聞いていた
「キミアも人が減っちゃってみんなロストライトに乗ったりサイバートロンに帰ったけどその分忙しさがこっちに回ってきててね」
最近じゃあ銀河評議会から依頼される仕事なんかを受けてるんだ。と語る彼女の腕はやはり人間だというのにこの宇宙全体に重宝されるものなのだとスプリンガーは誇らしく感じた
話をしながらもスプリンガーの眩いライムグリーンの機体を今日も今日とて光りそうな程に磨くナナシは静かなその部屋で返事のない恋人を見つめる、あれだけ眩しかった彼のオプティックは輝きを失ってしまっており、自分が生きている間に彼はもう一度再起動出来るのだろうかと不安になった
「スプリンガー…」
「(ナナシ…)」
自分の上に寝そべる恋人にスプリンガーは来た…と感じた、いつからか彼女は磨いた彼の上で彼の顔を眺め自身を慰めるようになってしまった
元より二人は恋人としての行いは全て行っていた、それ故に彼女がそうした欲望がないことは無いのだと知っており至って自然なことなのだとスプリンガーは起き上がれないものの納得した
「はぁ…ぁ♡…すき…好きだよ、スプリンガー…ぁ♡」
「(俺だって今すぐお前を…あぁくそ)」
自分の上で寝そべる彼女の手が激しく動いていることは機体に触れる彼女の身体や声でわかる、しかしながらその表情を見ることは出来なかった
頭の中に浮かんだ彼女は妖艶で愛らしくしかし幼い小悪魔のようでスプリンガーをいつでも魅了した、だというのに指一本触れるどころか動かすことも出来ないことが悔しかった
「…ぁ♡っいく…♡いっ…ちゃうの、ぁあ♡」
声にならない声を抑え込むように漏らしたナナシの火照った体が自身の胸元に強く感じられる、余韻に浸る彼女はスプリンガーの胸の内で啜り泣くのがいつもの事だった
虚しさだけを残す行為だと理解しているのだろうがそれでも彼への愛情が心も身体も溢れてしまうのだ
「スプリンガー好きだよ、大好き、また明日ね」
数十分後何も無かったように彼女は片付けを終えてスプリンガーの唇にキスを落としてその場を後にした、きっと彼女は目元を赤く腫らしていることをスプリンガーは想像しながらも様々な感情に飲み込まれそうだと感じつつどうすればいいのかとどうしようもない事を考えるのだった
「…スプリンガー?」
「あぁ久し振りだなナナシ」
5年の月日を経て目覚めたスプリンガーはナナシの自室にいけば彼女は目を丸くして驚いたが当然のことであった、スプリンガー自身は目覚めると同時に直ぐに任務として地球に行っており、ナナシも暫くはキミアに行っていた為二人はちょうど入れ違いになっていた
初めこそすぐに連絡を入れようとしたが仲間達にサプライズにしようと言われれば僅かながらの子供心が疼いてしまいスプリンガーは彼らしくもなくサプライズで彼女の前に現れることに決めたのだ
涙を流しこんなサプライズはいらないと嬉しそうに怒る彼女を抱き締めたスプリンガーは5年という彼女に触れられなかった月日を思えば愛おしさが募るばかりであった
「もう二度と寝ないでよ」
「一生分は寝た気分だ」
そう軽口を叩く彼にナナシは笑いながら彼に手を回して抱き締めた、眠る彼に触れていた5年間は虚しかったと感じたが今だけは返される温もりにただ胸を温めて笑みをこぼすのだった
だとしてもスプリンガーは新人達の研修をしたり、ナナシもまた仕事の忙しさもあり恋人らしいことはスプリンガーが眠る前のように少ないものであった
互いにそばに居るだけで充分なのだと……ナナシは思っていたがスプリンガーは違った、あの長い時間彼は目の前の恋人の甘い声を日々聞かされ続けていたのだ、到底キスやハグ以上を求めたくなるのは当然であるが彼女の仕事は丁度繁忙期に入ったかのようでスプリンガーを相手にする暇もなさそうであった
それは仕方がないとスプリンガーも自身の任務に精を出すが毎夜自身の充電スラブの横にある彼女のベッドを眺めては入りたいと願っていた、帰宅して食事やシャワーを終えては毎日泥のように眠る彼女にそんなことは言えないと彼は口を噤む日々に終わりを告げたのは凡そ三ヶ月後であった
「ようやく仕事も落ち着いたからゆっくり出来るなぁ」
「お疲れ様だなナナシ」
「溜まってた依頼も全部終わったし、半年くらいはゆっくりするって報告してるからこれでようやくかな」
「ようやくってなにをだ?」
「…その」
恋人として過ごすことを…と気恥しそうに言われてしまえばスプリンガーはブレインが急速に加速していくのがわかった
待てと言われ続けた犬であった彼は必死に平静を保って「俺も今の研修は一旦今週で終わるから、そしたら二人の時間を過ごそう」といったものの、その声は酷く震え大きなものでありナナシはスプリンガーが自分を待っていたのだと感じては嬉しそうに微笑んだ
「今回の研修はここまでだ、悪いが俺もしばらくはここには来れないから休暇明け後はリモートになるが全員レッカーズということを胸に行動するんだぞ」
自分が教官になるとはとあのころは思ったものだが案外新人達を教えることはスプリンガーにとっていい経験となっていた
新人達には突然の休暇だと告げたものの恋人であるナナシが休暇に入ったことはレッカーズ全体が知っているため理由を悟られたものの彼らは何も言わずに了承した、スプリンガーは研修を終えるなりすぐさま洗浄室に駆け込み彼女に不快感を与えないためにも丁寧にボディを磨いた
あの長い年月彼女が磨いてくれたボディを自身で磨き終えては縮小機能の不具合はないかを確認した後、二人の部屋の前で彼はスパークが熱くなるのをどうにか落ち着けようとしていれば彼が一歩を踏み出す前にドアが開かれた
「あれ?スプリンガーもう終わったの?」
「あぁナナシこそどこかに行くのか?」
「うん、補給ルームから部屋に置いとく用のご飯とかドリンク取りに行こうかなって」
「それくらいなら俺がするさ」
「折角だし二人で行こっか」
基地内デートだね と笑う彼女にスプリンガーは同意した、二人でいられるのなら何処でも何でも良いと思えた
ナナシの部屋から少し離れた場所にある補給ルームにて彼女に言われるがまま食料品や生活必需品をカゴに詰めては普段よりも随分と多いものだと感じながらこれを一人で持ち運ぶのならばなおのこと先に呼んでくれれば良かったのにとスプリンガーは不満を覚えつつ部屋に戻り彼の胸ほどの高さにあるナナシの部屋に荷物を置いてやり彼女が片付けをしているのを眺めた
「こっちの部屋に来ないの?今日はそういう気分じゃない?」
「なっ、そんなわけないだろ」
ふと荷物から顔を上げた彼女にそう問いかけられたスプリンガーは慌てて機体を縮めて彼女の部屋に繋がる階段を登った、上から眺めるだけで暫く上がっていなかった彼女の部屋は変わってはいないもののここに縮んで来るということはそういう意味なのだと嫌でも意識してしまいスプリンガーはその意識を逸らすように彼女の手伝いをした
「夕飯終えたら映画見ようか、この間ベリティから送られてきたの二人で見たくて置いておいたの」
「ベリティが選んだってことは面白いこと間違いないな」
「うん、内容もタイトルも聞いてないからどんなのか知らないんだけど楽しみにしてたんだ」
「久し振りに映画なんて見るから俺も楽しみだ」
心の底からそう思えたのは以前も二人でベリティに勧められた映画を観ては翌日に彼女に熱く語り続けたからだった、二人の趣味をよく理解してくれる彼女は良き友人であった
そんな彼女に「スプリンガーと二人で見てね」と念を押されたことはナナシは言葉にはしなかったものの夕飯を終えてシャワーを終えて映画を見始めて30分後にその言葉の真意を理解した
「(ベリティ…この為だったんだ、なんてことするの)」
「(本当にベリティから…いや有り得るな、ナナシが用意するわけもないか)」
広めのソファと言えどスプリンガーが隣に座れば狭いもので二人は密着する形で小さな画面を眺めた振りをして視線を逸らした、なぜなら画面の中の映像は映画ではあるものの少々過激なラブストーリーだったからだ
始まって三度目のベッドシーンに流石の二人はこれはベリティが仕組んだ罠だと気付く、元より二人してそのような考えがなかったとは言わなかったが無理やりな焚き付けられ方だと彼女に苦言を呈したい気持ちで溢れた
「な、なんだか過激だな」
「そうだね…ちょっとやめとく?」
「いや俺は気にしないが、止めたいなら止めておくが」
その言葉にナナシは返答を困らせた、もしここで断ればこの後の行為もキャンセルだと勘違いされるのでは無いのかと感じたからだ
スプリンガーはふと画面の中の女性が自身を慰める姿を見てナナシを重ねてしまい慌ててその姿を頭から切り離そうと視線を背けた先には耳まで赤く染めた恋人がいた
「……なぁ、ナナシ」
もういいだろうと言うようにスプリンガーが堪らずに彼女の頬を撫で顎に手をやり視線を無理やり自分に向けた、彼女の瞳には確かに雌としての過去に見てきたベッドの中の彼女を連想させるものだった
払い除けられることも無いその様子にスプリンガーは堪らずに顔を寄せれば柔らかい彼女の唇を感じた、ひんやりとしたスプリンガーの柔軟金属の唇を感じるナナシは自分の中の女としての欲望がますます膨れ上がることを感じながらも拒絶出来ずに彼に答えるように唇を重ねた
二度、三度と短く重ねたあと二人して目を見つめた、映画の為にと薄暗くした部屋の中でも輝きを失わないマトリクスブルーの瞳がナナシを捉えれば互いに唇を重ね薄く開いた場所に舌を伸ばした
「はぁ…はぁ…」
「はぁ……ふ…はぁ」
どちらの吐息なのか分からない程に興奮してしまいスプリンガーはナナシの優しく押せばソファに横になる彼女に許可を得たのだと理解しつつも目を見つめた
「いいか?」
「…うん」
テレビの音も二人には耳に入らずに何度もキスを重ねスプリンガーの指がナナシのパジャマに触れれば彼女は何も言わずにスプリンガーを味わいながらもボタンに手を掛けた
ぷつり、ぷつり、とボタンの外れる音が聴音センサーに響きそうな程に感じてキスをやめて胸元に視線を下げれば彼女の素肌がそこには見えていた、シャワーを終えた彼女は下着をつけておらず思わず彼女の目を見れば気恥しそうに目を背けられる
「…する、かなって」
「そうか」
消え入りそうな彼女の声にスプリンガーは内心両手を高くあげてまるで強い勝利を感じた時のように興奮していた、何処までも何年経っても変わらぬ恋人に彼はソファから片足を下ろしてもう片足を膝立ちにして足の間に彼女の体を挟み見下ろしては双丘に両手を伸ばした
彼の大きな両手がナナシの柔らかな場所に沈めばスプリンガーは久方振りの感触だと感動さえ感じた、グレーの彼の手がナナシの胸に沈んでは何度も確認するように手を動かす為ナナシはそんな彼の様子に小さく笑みがこぼれてしまう
「…笑わなくていいだろ」
「だって、子供みたいだから」
「無駄口を叩けなくしてやる」
全く困った女だとスプリンガーは呟きながらも彼女が言いたいことを自分でも理解していた為気恥ずかしくなり堪らずに胸元に顔を埋めた、自分たちとは異なる人間のシャンプーは甘い香りでありいつぞや彼がナナシに好きな香りだと告げたものだった
「あっ♡…んっ…」
記憶の中のやり方を思い出してやり彼女が言うように子供のように吸ってやれば甘い声があげられ、もう片方を彼は指の腹でカリカリと掻けば彼女の腰が震えたことに変わっていないのだと感じる
「やっあ♡…すわ、ないで♡♡」
「わかった、こうしてやるよ」
「〜ッッ♡かりっ、かりも…ぃや♡♡」
「じゃあどうするかな?」
かわいいワガママをいう彼女に両方の乳房を中央に寄せてぷっくりとした二つの腫れ上がったものを大きな口でぱくり♡食べてやればナナシは堪らず背中を持ち上げて逃げようとしたものの上から押さえつけるように居座るスプリンガーのお陰でさらに胸を差し向けるような形になったナナシはますます彼に激しく嬲られた
「んぅ♡うっ♡あっ♡」
オプティックカメラを一瞬遮断すればあの時のナナシのことを思い出してしまうのは仕方の無い事だった、直ぐにカメラを再接続し彼女を見れば蕩けきった女としての彼女がそこにはいた
たっぷりと口腔オイルで汚してやった胸から口を離しては全体に染み込ませるように撫でてやればナナシは甘い声を上げながらスプリンガーをみつめる
「こっちもしような」
スプリンガーが顔を寄せてナナシの腹を撫でれば彼女は惚けた頭で小さく首を縦にするしかなかった
ショーツとズボンをまとめて脱がされては雑にソファの下に置かれスプリンガーはナナシをソファに背を預けるように座らせて足を自身の肩に置いてやり中心部を眺めた、ひくつくそこはどろり♡と愛液を溢れさせ今すぐにスプリンガーのコネクタを欲しているようにも見えるが彼は決してそこを愛する前に挿れるものかと思考しつつ指の腹で開いてやった
「スプリンガー…恥ずかしいから、そんなにみないで」
「あぁ悪い」
「…はぁッ、あ♡」
そういったスプリンガーはナナシの中心部に頭を沈めれば彼女は堪らずに身体を震わせる、全体をたっぷりと撫でるように味わったあと強く主張する外側の突起を金属の硬い舌でチロリと撫でればナナシはより一層声を上げるものでスプリンガーは口角をあげてそこを吸い上げてやり、寂しそうにする濡れそぼった彼女のナカに指を沈めれて動かし弱い場所を目掛けて指で擦り、撫で、叩いてやった
「あっ♡あっ♡だめ、りょうほうは♡すぐっ…キちゃ、うの♡♡」
「ンッ…いくらでも」
「あ"、ぁあ♡ック、いく♡いく♡、〜〜〜♡♡」
ぎゅうっと指を締め付ける彼女の感覚にスプリンガーは喜びを感じた、また自分で感じてくれている恋人に対してだ
その喜びを隠せぬようにナナシがスプリンガーを静止しても彼は聞かずにナナシを何度も舌や指で執拗に快楽を与え苦しめた、気付けばシーツカバーが汚れてしまうほどまでになってしまい、それが彼女の蜜のせいかスプリンガーの唾液のせいなのか互いに分からないものであった
「フーっ♡フーっ♡」
「はぁ…ナナシ」
いよいよだとナナシは苦しい中でスプリンガーを見つめた、自分の上に影をつくりコネクタのハッチを開ければ彼女の腹にビタン♡と硬いコネクタがぶつかった事にナナシはまた蜜を溢れさせてしまう
長年待ち望んでいたスプリンガーのコネクタは人間のように膨張こそしないものだが張り詰めているように感じられた
「なぁナナシ?」
「ン?」
コネクタを挿入するのだと思っていればスプリンガーは突如名を呼び動きを停止させた、何事かとみつめれば彼は心苦しそうに問いかけた
「俺が寝ている間に俺の上でシテたような気がするんだが、あれは…その、どういうつもりで」
その言葉にナナシはなにも理解が出来ずに思考停止しスプリンガーを見つめたあとその顔色は様々に変化しているがどれもいいものには見えなかった
言葉にならない言葉を発する彼女にスプリンガーはどのタイミングで問いかければいいのか正解が分からず今問いかけてしまったが多少ミスを犯したと自分でも感じられたがソファに深く腰を預け今スプリンガーに抱かれようとしていたナナシは顔を手で覆い隠した
「どうして知ってるの」
嘘寝だったんだ、酷い、心配してたのに という彼女にスプリンガーは直ぐに意識はあったがぼんやりと夢のような心地でありハッキリとしておらずおまけに身体も動かせなかったのだと彼女に素直に伝えればスプリンガーは嘘をつけないことを知っている為ナナシはますます顔を手で隠しているものの身体全体が赤く火照っていることに気付いた
「もうスプリンガーの顔見れない…あんな姿知られるなんて」
「別に軽蔑してる訳じゃない、ただ」
「ただ?」
「俺を思っててくれたんだと思うと嬉しかったんだ」
それが本音なのだとナナシは感じ取った、スプリンガーの表情は何処までも嬉しそうだったからだ、男として求められることへの喜びや恋人として想われ続けること、様々な思いが彼の中で混ざりあっているのだと
照れくさそうに視線を背けたスプリンガーにナナシは観念して答えた
寂しかったのだと、スプリンガー以上に愛せる存在はこの世には存在しない、初めの頃は自分で自分を慰めるだけでよかったがそのうち毎日オフライン状態とはいえ恋人を前にして抑えきれない欲望が溢れたのだと
一人で慰めることは酷く虚しく恋しかったと
「だから…今はスプリンガーにシテほしいの」
「ナナシ…ンッ」
気恥ずかしくそういった彼女にスプリンガーのスパークが満たされていれば彼女に頬を捕まれ口付けをされ、ゆっくりと起き上がった彼女の優しい力に身を任せていればスプリンガーとナナシの立場は反対になった
ソファに腰掛けた彼は恋人を見上げれば彼女は熱の篭った表情でゆっくりとそそり立つコネクタを入口に宛てがい彼の目を見て沈めた、まるでそこにスプリンガーがいることをしっかりと捉えるように
「ンッ!…ぅ、あ♡…はぁっ、ぁ」
「ナナシそんなに深くは」
「へ…ぃき」
スプリンガーの優しさであれば止めているもののナナシはまるで彼の全てを望むように深く奥に迎えられるだけ迎え入れた、薄く膨らんだコネクタを呑み込んだ腹は膨れており痛くないのかとスプリンガーは思わず彼女を気遣えばナナシはそんなことも気にせずに彼の首に手を回して強く抱き締めた
「ずっと…ほしかったの」
「…ナナシ…っく」
「あ♡…ンッ、あ♡こう、したかった♡♡」
抱かれたい、愛したい、目覚めない恋人が今目の前にいてしっかりと自分を捉えていることが何よりも幸せだとナナシは感じた
腰を優しく支える左手、頭を撫でる右手、愛おしいと好きなのだと伝える彼の美しく眩い青いオプティックとどうしようもなく感情を隠せないフェイスパーツ、全てが愛おしいのだと思い狭いソファの上で拙くも腰を揺らせばスプリンガーは心地良いと言わんばかりの表情をみせる
「ハァ…ん、ちゅっ♡…あ♡すぷ…♡」
「ン…ぅ、ナナシ」
普段とは異なるゆっくりとして、更には浅い動きはスプリンガーには物足りなさを感じさせるはずのものだった、しかしながら自身に跨り膝の上で懸命に彼に快楽を与えようとする雌としての表情を浮かべるナナシをみてしまえば彼はすぐにでも欲望を吐き出してしまいそうだった
彼女が腰を揺らす度に膨らんだ腹が僅かに動きどうなっているのかが嫌という程わかり、聴覚センサーの傍で聞こえる声は幾度としてきた行為の中では一番鮮明に聞こえるようにも感じられた
「ナナシ悪いが俺も動いていいか?」
「…ッ、だめ♡盗み見してた…から、ぁ♡がまん、して♡♡」
「〜〜ッまだ我慢なのか」
「が、んばるから♡♡ちゃ、んと…おッ♡きもちっ、よく…なって♡」
限界まで引き抜いたナナシは最奥まで勢いよく腰を打ち付けた為にスプリンガーは思わず口元を押えて吐き出してしまいそうになる欲を我慢したものの、自分からしかけたはずのナナシは彼に顔を埋めて肩を震わせてコネクタを強く締め付けていた
まさか自分で先の発言をしていながら…とスプリンガーは動かぬナナシの顔を覗き込めばトロリと蕩けた恋人がそこにはいた、薄く口を開いて自分からスプリンガーに我慢だと告げて直後の絶頂にはスプリンガーも態とらしく「なってないな」とこぼしてしまった
「ッ♡♡まっ…て♡やっ、あ♡がま、んってば♡」
「そっちが我慢出来ないくせに俺には我慢だなんて酷いことだな、それにここからはもう俺の番だろ?」
「〜♡♡イッ…たばっ、かなの♡ゃ、あ♡はぁ♡あっ♡」
「ずっとイッてるのがよく分かるよ、かわいい」
スプリンガーの言葉に反応するように彼のものを締め付けたナナシは彼の思うがままに揺さぶられ何も出来ずに彼の首に腕を回すことだけしか出来ずに必死に受け入れた
短い絶頂の波が次々とナナシを襲いかかり目の前で火花が散っているように感じる中でスプリンガーは喘ぐことしか出来ない彼女の唇を奪っては彼女の好む場所ばかりを責めてやればさらに強く抱き締められ彼もそろそろ限界だとナナシをみつめた
激しい二人を繋ぎ合う音が部屋に響きわたり、スプリンガーはナナシのナカに欲望を吐き出し深くキスをした、ドクドクと自分のナカに感じる彼の熱を感じたナナシは薄く目を開き彼を見つめれば脈打つコネクタが収まるようにゆっくりと互いの唇が離れ互いの唾液が混ざり合った
「愛してるナナシ」
強く抱き締めそういうスプリンガーに対し、ナナシはただ静かに彼が本当に戻ってきたのだと実感しながら声に出さずに彼を抱き締め返した
ソファからベッドに移動したあとも深く愛し合いスプリンガーがベッドから抜け出す頃にはナナシは深い眠りについており、薄暗い部屋の中でいつの間にか再生を終えた映画はチャプター選択画面で止まってしまっていたことに苦笑いを浮かべる
暫くはゆっくり出来るのならばまたベリティに映画を借りるのも悪くないと思えた、しかしながらこんなベッドシーンばかりのラブストーリーではなく互いに好きな派手なアクション映画にしてくれと今度はリクエストをしっかり伝えようと思いながらテレビを消して一通りの片付けを済ませもう一度ベッドの中に入り込めば寝ぼけた恋人はスプリンガーの胸元に顔を寄せた
「すぷりんが…ぁ」
「俺はここにいる、ずっとな」
きっと次目覚める頃には彼女に優しく抱きしめられているのだろうと考えながらスプリンガーはスリープモードに切り替えた、その腕に恋人を強く抱いて。