ナイトビート


ある日部屋に戻るとナイトビートはとある物を片手に顎に手を当てて悩ましい表情を浮かべ呟いた

「ふーむ、一体なんなんだこれは?」


ナナシとナイトビートはこのロストライトで種族を超えて愛し合う仲になった、推理が好きでそれこそなんにでも搦めそうになる彼と平凡なこの船唯一の人間である彼女
毎度ナイトビートに振り回されつつもナナシはそんな彼を微笑ましく感じながら日々を過ごしてきた、何か難しい案件があればいつでも呼び出されるナイトビートと比べなんの力にもなれないナナシ
初めこそ人間への好奇心だけだったナイトビートは彼女との接触を増やす事にその内面に惹かれついには彼女を手にしてからというものの目に見えてわかるほど喜んでいた
知らないことがあるとなんでも首を突っ込む彼の癖は嫌いでは無いと彼女も常々感じており、時々度を越した彼の様子に呆れも感じるものの可愛らしいと惚れてしまったナナシは思うが今回ばかりはそうは思えなかった

一体なぜ彼が縮小して態々人間サイズのナナシの自室にやってきたかと思えばその手に青い人間用のラブグッズを手にしているのか聞きたくなった
しかし彼女は彼の性質を知っているため冷静な振りをした、ここで刺激をしては彼はますます興奮することを知っているからである

「どうしてここにいるの?」
「ん?ナナシおかえり、ちょっと人間の本を借りたかったんだが探してたらこんなのが出てきてな、これはなんだ」
「…マッサージ機だよ、人間は身体の筋肉とかが固くなるから解すためのやつ」
「なるほど、シリコンタイプだがなぜだ」
「そりゃあ剥き出しの金属だと人間の体だと痛いから」
「ボタンが沢山あるがそれぞれ効果は?この穴は?この形の意味は?」

そんなものは知るかとナナシは投げたくなるもののそうすればこの男は確実に調べあげてくることを理解していた、生憎と本来それが収まる筈の箱は開封時に捨ててありポーチに入れていた為製品名やその用途を調べるには時間がかかる筈だと認識していた
多少噛み付くような返事をしてしまったかと思いつつもナナシの返事に多少は納得したナイトビートは思っていたものと違ったらしく興味を失おうとしていた、ナナシはそんな彼の様子に胸を撫で下ろして彼の目的の物を用意しようと本棚の横に立つ彼の隣に並べば彼は楽しそうに彼女の眼前にソレを見せつけて笑って言った

「俺達のコネクタに形が似てるからてっきり人間にもそういうのがあるのかと思ったんだよ」

その言葉にナナシはおもむろに視線を逸らしてしまった、オマケに緩く握った拳から覗き見えた人差し指は親指を撫でておりナイトビートは彼女が動揺している時の癖だと思い出す
そして僅かながらに上がった彼女の表面温度にもしやこれは本当に?と思ってはそれまで冗談を笑うために上がっていた口角が別の意味で上がってしまうことになる

「そ、そんなわけないでしょ、目当ての本はこれでしょ?ほらもうそれも返して…ってば」
「なぁナナシ、俺に隠し事ができると?」
「何も隠してないけど」
「見られたくなかったものなんだろ、コレ」

そう呟いて彼女の傍に寄れば彼女は何も言えなかった、見られたくなかったというのは事実であるが彼がコレを何か知らないのならばまだシラを切れると信じきっていたがナイトビートの脳内ネットワークはとてもはやく地球のものにアクセスしており画像検索の末にそれが何かを理解していた

「本当は見せられないやつだ」

そこまでじゃない。という彼女の声が震えることにナイトビートは嘘のつけない可愛い恋人にじゃあなぜ隠すんだと告げる
態々分かりにくいベッドの下にあまり使わなさそうなポーチの中に入っていたのは何もこれだけじゃない、見るにこれは充電器に避妊具に潤滑ジェルであるだろうとナイトビートはまるで警察が犯人の証拠品を並べるように彼女のベッドの上に置いていう

「見るにこれはそういうものなんじゃないか?」
「別に持ってて悪い?」
「悪くは無いが恋人がいるのに…ってだけさ、あんなところに隠されちゃ無機物だとしても浮気かと疑っちまうもんだろ」
「浮気なんて…そんなのする訳」

もちろん疑うわけが無い、ナナシという女は酷く分かりやすいとナイトビートは思いながらもその湧き上がる加虐心を止められずにいた
そして彼女を羞恥心の海に沈める為ならば自身に搭載されている高性能な機能を駆使する事もやぶさかでは無いのだ、隣に立つ彼女の背後に回ってナイトビートは両肩に手を置いたあとゆっくりと彼女の体を情事を彷彿とさせるように撫でてやれば女の身体はビクリと跳ねる

「だがなナナシ、俺の推理が間違ってなければこれはつい先日も利用されているようだ」

ジェルの使用感に満タンの充電に使用途中の中途半端な数の避妊具が物語るがどうなのかと問いかければナナシは顔を俯かせ何も言えなくなる、赤く染る耳や首を見てナイトビートは本当に嘘が付けないのだと感じられ愛おしさを感じた

「別に怒っちゃいないが俺は知りたいんだ」

「どうやって使ってるのかを」


穴があったら埋まってしまいたいとナナシは思いながらベッドの上に寝そべった、隣で同じように寝そべり抱き締めてくれる恋人であるナイトビートは普段であればキスをして行為を進めていくというのに楽しそうな表情のまま傍観者を貫くと言いたげだった
恋人の目の前で自分を慰めるなどなんて屈辱的、いやそれ以上だろう、実際彼の推理は当たっていた、ナイトビートとナナシの関係は程よい恋人関係であり互いに接続し合う頻度も月に数回程度でありそれで満足はしていた
しかし人間とは厄介なものでそれとは別の欲望が溢れてしまうのだ、その結果ナナシは酔った勢いで買ってしまったソレで自分を慰めることがあった
嫌な予感がしていた為に冷静に彼の好奇心を刺激しないように素っ気なく返事をしたのが仇になったのかと考えていれば彼が耳元で「しないのか?」と問いかけた

「シタくない」
「別に普段してるようにしたらいい、俺はまぁ何だ置物だと思ってくれ」

全くこの状況下で笑えるのは貴方だけだと声を荒らげてやりたい気持ちを抑えつつも結局彼の好奇心が抑えきれないこと、また一度言い出せば何がなんでも実行したがる彼を知っているため諦めるしかないと感じナナシは深いため息をついて大きな灯りを消してベッドサイドのライトを付けた

「雰囲気を大事にするんだな」
「置物なら黙っててよ」
「おっと、すまない」

反省の色もなく謝る彼から普段通りに頬にキスされてしまえばナナシは許すしか無かった、どうしようもない彼の探究心も含めて惚れたのだから仕方がないのだ
ズボンと下着に手をかけてベッドの下に落とした彼女は普段通りにするを決め慣れたように青い所詮はバイブと呼ばれるラブグッズにコンドームを装着して潤滑ゼリーを付けナイトビートに背を預け足を広げスイッチを入れ震えるそれを早々に沈めた

「痛くないのか?」
「…ったく、ない♡」

というよりも慣れているとは口にはしたくなかった
所詮自慰は自分の性欲を吐き捨てるためだけの行為と感じており、抜くだけ抜いたらそれでいいのだと感じているナナシは自分の体への愛撫も無視して慣れたそれを迎える
見物者はその行為に性急過ぎるのでは無いのかと多少の心配をしたものの彼女の返事を聞いては静かに彼女の手の動きや表情を見つめた

「ふぅ…♡…んっ、ぅ」

普段ナイトビートのものを受け入れる時よりも小さな声は彼を前に一人で慰めることも羞恥心からなのか声を抑えているようでナイトビートは堪らずに彼女の口に指を這わせた

「ちゃんと普段通りの声を聞かせてくれよ」

足ももっと開いてと背後から抱きしめるナイトビートの腰に回させられればより深く飲み込むそこにナナシは大きく身体を震わせた、自分でしているはずなのに一つの導きで全く異なるプレイに変わり彼女に強い快楽を与える

「あッ♡あ…っう♡はぁ…あ♡」

潤滑ゼリーのおかげもあるのだろうがナナシ自身の分泌液も溢れたことによりソコは酷く官能的な音を奏で、ナイトビートは普段自分と時間を過ごす時と違う彼女に多少の驚きを感じつつも彼女の好みを学ぼうとしていた

「ナイト…ビート♡ぁあ、ッン、あ♡」

固く目を閉じる彼女はまるで今そばにいる恋人など忘れて目を瞑り夢中で手を動かした、少しだけ激しい彼女の行為に今瞼の裏にいる自分は何をしているのかとナイトビートは問いかけたくなった
無機質な機械の音と彼女の甘い声と雌が雄を喰らう音が部屋に響き渡る、興奮が高まる彼女は空いている片手をシャツの隙間から潜らせて自身の胸に触れた、布越しに見える荒々しい触り方はナイトビートが行わないようなものだった、何故ならば金属故に彼女の身体を傷つける恐れがあるからだ
だというのに激しさを増す彼女にナイトビートは興奮と嫉妬を感じついに堪らずに彼女の顎を掴み上向かせれば唇を奪った、歪なキスは互いの歯が当たりナナシに痛みを与えたものの直ぐにナイトビートの舌が彼女を支配すればナナシは堪らずに彼を求めた

その反応に気分を良くしたナイトビートは片手を彼女の道具を持つ手に重ねてやり自分なりに動かしてやった
じっくりと緩やかに動かされるそれに彼女は自分でしているものとは違うと強く感じながらも自分の中にいるのはナイトビート自身では無いと感じておかしくなってしまいそうだった、腟内を確認するように動き回るソレに耐えられずにベッドに埋もれそうになるもナイトビートはそれを許さなかった

「悪いな、手伝いたくなった」
「て、つだわ…なくって♡もっ、ぉ♡♡はぁ…ぁん♡」

ナイトビートが嫉妬に似た感情を溢れさせていることは普段鈍いと言われるナナシでも理解出来ていた、奥に押さえつけられグリッ♡グリッ♡と責め立てられたかと思えばゆっくりと引き抜かれてまた元に戻されるという行為にモノが違えど彼を簡単に感じられる
ナイトビートはナナシの顔にキスを送りながらももう片手でシャツをずらして彼女の胸をいじめてやれば彼女は身体を攀じりさらに甘い声を上げた
互いに荒い呼吸と排気音を重ねナイトビートは自分から彼女にさせて起きながらそんなことももう忘れたかのように両手で彼女の乳房を掴み普段通りに愛撫した
先に自分で慰めていた彼女は普段よりも汗と女の匂いを強く醸し出しナイトビートの優秀なブレインの思考回路を奪ってゆく、彼からの愛撫に夢中になっていたナナシは自身の中に沈めていたモノの存在も忘れていたがふと彼と目が合えばもうこんなものでは満足できるわけが無かった

「おねがい♡…もうナイトビートじゃ、なきゃ…足りない♡」

青い無機物を呑み込んだ彼女が足を大きく開きそこをみせつけナイトビートを誘った、普段よりも随分と大体な行為をそのバイザーの下のオプティックに焼き付けた彼はごくりと口腔オイルを飲み込み、焦りを隠さぬようにハッチを早急に開けてコネクタを取りだした
よく似た青色のコネクタの先端からはドロドロとオイルが溢れており、とうに彼女を求めて止まずにヨダレをこぼしているようにみえた

「あぁ、その為にはまずこいつとおさらばだ」
「ンンッ…♡ッ…は、あ!♡♡」

敢えてわざとらしくゆっくりと引き抜いたのはあまりにもそれと自身のコネクタが似ているように感じたからだ、ナイトビートとて普通の男だ
恋人が自分によく似たオモチャで遊んでいることに多少の嫉妬はしていたのである
引き抜いたバイブは今だ激しく振動しており彼女の表面を一度撫でたあと電源を切って傍に投げ捨てては彼女の足を掴みナイトビートは微笑んだ

「俺だけで遊んでくれ」

恋人を愛する為ならばいつだって受け付けるのにとナイトビートは笑みを浮かべればナナシは返事をしなかったものの、先程よりも苦しい質量が自身の中に入ってくることを受け入れるようにナイトビートを強く抱き締めるため彼は気分よくなってしまう

「ふぅ…ぅ♡う…あッ!まって♡ま、だ♡♡アッ♡やっ♡」

太ももに跡がつきそうな程に強く手を握りナイトビートは普段よりもずっと激しく機体を彼女の柔い身体に叩き付けてやった
先程までの玩具とは全く異なる攻め方やソレ自身にナナシは頭の中が真っ白になってしまいそうだと感じながらも薄く目を開けば抱いている筈のナイトビートの表情もまた少しだけ苦しそうなものであり、余裕のなさを伺えた
嫉妬からこの行為に移ってしまったこと、自分から仕掛けておいて多少の我慢をしたこと、様々な事柄が重なり合った結果の今が珍しい恋人の姿であるというのならばナナシは喜びを感じる他なく笑みが溢れナイトビートに腕を回した

「はぁ、余裕が無くなるな」
「んっ♡そんな、とこも…すきだよ」
「ナナシももっと余裕を無くしてもらおうか」
「ッ?へ…っあ"♡いや♡いやっ♡だめ♡それっ〜〜♡♡」

何の気なしに伝えただけだというのにどうやら余裕のある彼女にナイトビートは許せないと感じた為かナナシの繋がりあった部分の少し上にある勃起した陰核に叱りつけるような先程投げ捨てたバイブを押し当てればナナシは慌てて腰を逃がそうとするため押さえつけ、器用にも腰を揺らしつつそれを当ててやればナナシは顔を手で覆い隠して身体を捩った

「あ〜ッ♡♡だめっ、キちゃう♡そこ、はしなぃで♡♡」
「ダメだ、俺の事しか考えれなくなるまでシテやるかるな」

そういえばナナシが強く締め付けた為どちら共にどうしようもないんだと感じながらも嬉しさからナイトビートはナナシの唇を奪い舌を絡めていればコネクタが痛いほどに締め付けられるのが分かり彼女が絶頂に身を震わせているのだと気が付く
何度もナイトビートがそれらを繰り返せば見るからに頭の中が真っ白になってしまったナナシがそこにはおりぐったりとベッドの上に横になっていた為やり過ぎたと感じつつ「これで終わるからな」と自分に言い聞かせるように言えば彼女は頷いた

「ァア♡ナイトビー、ト…♡あっ、っク〜〜♡♡」
「俺もッ…ナナシッ〜」

彼女の最奥でドクドクとコネクタが脈打てばナナシはそれを感じながらナイトビートを抱き締め彼もまた柔らかく笑みを浮かべ薄く開いたナナシの唇に齧り付いた、決してあんなものでは味わえないものを与えるかのようにしつこく長ったらしく彼女の好むようにキスをした

「ナイトビート…何、その手」
「ん?さっきの奴じゃここまでしてくれないだろ?だからな」
「〜ッ、だ…からも、ばかもっない♡ひっ♡♡」

ふとキスをするナイトビートの手がナナシの胸元をまさぐる為彼女は思わず目の前を睨みつけたが彼は楽しそうに笑みを返して軽く固くなったそこを摘んでやれば彼女は簡単に背を丸め反応するかのようにまだ繋がったナイトビートのコネクタを締め付けた

「あんなのより俺の方がずっと良くしてやれる、ナナシはここも…ここも…ここも、好きだろ」

唇を撫で、胸を撫で、腹を撫でながら再度腰を揺らすナイトビートにナナシは何も答えられずにただ甘い電流を感じながら頭を縦に振ることしか出来ずに反論していたことも棚に上げてついには彼の首に腕を絡めて自ら唇を重ねた

「すきっ♡…ないと、びぃとに、してもらうの♡♡いちばん、なの」

素直に蕩けた瞳で恋人にそう言われてしまえばナイトビートのスパークは満たされてしまい堪らずに彼女に優しく啄むようにキスをしつつ腰を再度ゆっくりと揺らし強く抱き締めた

「俺もナナシが一番だ」

あんな無機物に負けてられない。というように情熱的にもう一度彼が愛してやればナナシはもう二度と彼以上はないと感じることだろう


ぐったりとベッドに横たわるナナシはナイトビートをみつめたが彼は行為を終えてそうそうに後片付けをしてナナシの体を拭いてやり本棚を漁っては目当てのものを片手にベッドに戻った

「で?本が借りたいなんて口実でしょ」
「…さて、なんのことかな」
「アレのことはな知ってたんでしょ」

そうでなくてはタイミングも良すぎる上にこんな事にはならない筈だとナナシがいうようにナイトビートは随分と前から恋人の玩具をみつけていた、初めこそなにか理解していなかったもののその使用方法を学んでは初めこそ驚いたが二人で楽しめならばと思い今回のわざとらしい小芝居を挟んだことはナナシにはどうやら分かっていたらしい

「てっきり、怒ってるのかと思った」
「怒るわけないさ、まぁ嫉妬はするけどな」

そう素直に告げるナイトビートに嫉妬なんてするのかと驚いた顔を向ければ彼はナナシの顎に手を這わせて鼻先にキスをした

「なんでも知りたくても本心までは分からんからな」

特に恋人のことになれば余計だと伝えればナナシは目を丸くしたあとに気まずそうに背けた、私の気持ちなどとても単純で簡単だと零しながらナイトビートさえいればいいというように彼に口付ければナイトビートは本をその手から滑り落としながら同じ言葉を口にするのだった。

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