ザ・マン2

どうしてこうなったのかなんて思い出すことは出来なかった
超人と人は違う、彼らの問題と私の問題は違う、そう言い聞かせて逃げ続けたことがいけなかったのだろうか、ゴールドマンやシルバーマンのように真っ向からあの人を違うと言ってあげれば今のような状況では無いのだろうか、考えれば考えるほど私は宙ぶらりんの状態になって消えてしまいたくなった

「ティア…ッ、お前だけは私を失望させるな、お前だけは」

そういって私の背に口付けを落としたこの人に私は何も言えずにただ顔の横に置かれた手に私は自分の指を絡めた、肯定でも否定でもないものだ。


「改めて正式に迎え入れたい、どうだろうか?私達の世話人として共にこの塔で過ごしてくれないか」

突如として現れた私に否定的な意見もある中でザ・マンは私を迎え入れた、勿論不信感はまだあるだろうが彼は慈悲深く超人も人も分け隔てなく愛していたのだ
行き場のない私は必死に働いて彼らのためにどんなことだってして見せると決めた、時に優しく時に厳しくまるで父や兄のように彼ら十一人は接してくれ、しだいに私は彼らの仲間として認められた、人間であり完璧とは程遠いのに

「どうですか?お口に合います?」
「…ふむ、また一段と腕を上げているようだ、もうティアの食事以外は食えそうにないな」

柔らかく微笑んだザ・マンの言葉に私は舞い上がって喜んだ、シングマンやガンマンにその事を伝えれば彼らは私の頭を撫でては「よかったな」「確かに今日のメニューは特段美味だった」と感想を述べてくれた
長い年月を生きる彼らにとって感情など不要だといわれる、食事だって最低限でいいと、けれどそうしたことを抜けばきっと超人という種を通り越して無になるような気がした、少しだけの優しさと思いやりと人生の楽しみがあれば人はより良くなる
それを知っていたのは元の世界の自分の家族がそれであったからだ、苦労も挫折も感じた兄弟を支えてきたからこそいくら完璧と言われる彼らでもいつかその日が来るのだと、変わってしまう時があるとおもっていた

「私はここを抜ける、下等超人達に可能性を見出したんだ、ティア…お前は変わらない女だ、だからこそここで燻っていないで共に来い」

超人墓場に住み変わった時、きっとみんな何かしらの変化を感じていた、それも良くない方向に
超人の命を握るようになり、彼らの管理ということをするようになったザ・マンの気持ちの理解は出来なかった、そうしてゆっくりと亀裂が走った私たちはゴールドマンの下野から坂道を下るように落ちていった

「ティア、君は変わらないな…あの人も君のような意味で変わらないままでいて欲しかった」

そう寂しそうに呟いたシルバーマンはザ・マンとサイコマンに頼まれゴールドマンを連れ戻すために下野するというが私はきっと彼が戻らないことを知っていた、そして内心彼もどこかでそれを理解していた、始祖の中で誰よりも優しく寄り添ってくれた彼に元気で。といわれた時、これが私達の終わりなのだと理解した

一番ともいえる二人の弟子が居なくなり
ザ・マンは超人閻魔と名乗るようになり、さらに厳しい目を外の超人たちに向けるようになり、そしてそんな彼を見ないように始祖達は目を逸らした、私だって同じで見ている振りをしては僅かにその視線を逸らした
それでもどうにか彼のためになりたいと願うのはきっと救われた命であり、彼を心から敬愛していたからだ

「〜ッ♡あ…ッ、も…ぉ、ゆるして」
「ならん、しっかりせぬか」
「ひゃっ♡…ッッ、ぅ、あ♡」

いつからか私と彼の関係は歪なものに代わり、肉体関係が出来てしまった、男と女が何億年も過ごしてならなかった方が不思議だった
けれどそれは絆があったからだ、躰を暴かれる度にそんなものはまるで夢だったように感じられて悲しくて涙がこぼれそうになる、それでも僅かに見せるベッドでの彼の顔はあの頃の優しさを僅かに宿していた、だからこそ私は彼に応じるしか無かった
あの頃の彼に恋をしていたから。

「無理をさせたな、明日は休むがいい」
「……はい」

この世界に来る前から男を知らない訳ではなかったのだから今更恥ずかしいことなど何も無かった、彼のベッドの上で疲労感を感じながら横たわり彼の命令にこくりと頷けばベッドから大きな熱が消えていく
超人閻魔としての彼は私と躰を繋げること以外でベッドで共に眠ることなどはなかった、遠い昔ベッドが壊れてしまい困った時に共に眠った夜は心地の善いものだった

『ティア狭くないか?』
『うん、私のベッドよりもずっと大きいから…ザ・マンは狭くない?』
『あぁお前がベッドにいたところで猫が居る程度にしか感じない』
『でも少し寒いからもう少しそっちに寄りたいかも』

恋心を隠す気はなかった、そして伝えられるほどの勇気もなかった、私の小さな我儘に優しく笑みを浮かべた彼はその太い腕で抱き寄せては「暖かいな」と呟いた。
そんな優しさばかりを思い出しては一人きりの彼の匂いがするベッドで堪らずに涙を零した、今頃あの人は何を思っているのだろうかと。
いつの間にか眠りについて目覚めてもやはり彼はおらず身支度を整えて部屋を出れば丁度用事のあったサイコマンが零式の部屋に現れた、彼は私を見るなり またですか と言わんばかりの目を向けた

「あの人ならここに居ないよ、多分無量大数軍のみんなの所か閻魔の部屋じゃないかな」
「あぁそうですか……酷い顔ですね」
「相変わらず辛辣なことをいうね」
「冗談ではないですよ、泣き腫らして目元が痛々しい」

サイコマンが私を得意としないものの案外世話を焼きたがるのは昔からの事だった、シルバーマンに良くされる私を見てはいつも小言をいうのに寝癖が着いてるだとか服の裾が捲れてるだとかそういう些細なことを気付いて治してくれるのは彼でまるで世話焼きなお兄ちゃんのようだった
それをいうと彼はいつも難しい顔をするから面白いものの案外この人は変わらないから安心出来た、優しく誰よりも強い握力をしているという手で私の手元を撫でる彼はとても心配そうな顔をしていた

「大丈夫だよ、私はずっとあの方のそばに居るから裏切らないよ」

誰にも傷ついて欲しくないからそういえばサイコマンは難しい表情をして「そうですか」といった、シルバーマンが居なくなったあと更に自分の研究にのめり込んだ彼の苦しみを理解出来ず私は眺めるだけだった
優しく頬を撫でられてくすぐったさに思わず笑えばサイコマンも優しく笑ったもののふと私たちに影が差し込み見上げた先にはストロング・ザ・武道がそこにはいた

「何をしている」
「あら武道さん、少しお話がありまして」
「…私はお暇しますね」

機嫌の悪い彼を刺激してはならないとその場をあとしようとすればふと名を呼ばれ足を止める

「今晩また部屋に来い」

その言葉の意味を知っていた私は返事をせずその場を後にした、彼が私をどうしたいのかもう分からなかった。

部屋に戻りベッドに横になっては瞼が落ちてしまう、普段この時間なら皆への食事作りに忙しいと慌ただしくするというのに休みだと言われれば無理やり働くと怒られることは知っていた、それはずっと変わらないことだった

『お前は休むのが下手だな』

そういって落ち着きなく調理場の前でうろちょろする私に苦笑いをした彼は今のあの人の中に居るのかと考えてはきっと居るはずだと言い聞かせてまぶたを閉じる、遠い夢を想いながら。

目を覚まし時計を見れば気付けば夜になっており随分と寝てしまっていたのだと気付いては小さなため息を漏らしつつ約束を思い出し、シャワーを浴びては着替えてまた彼の部屋に足を運んだ

「ッ♡ッ♡ッ!!♡」

性急な行為だとしても私はそれに慣れていて薄暗い部屋に着くと同時に腕を取られてベッドに投げ飛ばされるように寝かされて、衣服を丁寧に脱がすのではなく雑にまさぐられては即座に足の間手を滑り込まされ鳴くことしか出来なかった
必死にシーツを掴んで枕に顔を埋めても昇ってくる気持ちよさに抗えずに腰が震えて逃げようとするもそれをこの人は許してくれなかった

「まだ昨晩の余韻が残っているようだな」
「ッふ、ぅ♡あっ…♡」
「私の精液がまだあるのか滑りがいい、それとも一人で慰めたか」

くつくつと喉で笑う彼にそんなことするわけが無いと首を小さく振れば「わかっておる」と声が返されて更に奥に指を沈められてゴシゴシと扱かれて太ももが震えた
はやく挿入してこんな行為が終わればいい、愛なんてない、自分たちの居場所がわからずに宙に浮いたまま行われるこんな行為好きじゃない

「〜ッあ♡……っ、ひっあ"♡♡」

そう思っていても私の躰はこの人に支配されて従順に快楽を得てはイかされる、情けない声を上げてぎゅうぎゅう♡に彼の太い指を締め付けて腰が落ちそうになれば軽くおしりを叩かれて弱い力で腰を上げて見せつけてしまう
こんなことは嫌だと拒絶しなければならない、もう止めようと言わなければならない

「グロロまだ欲しいのか」
「は、ぃ♡♡もっと…もっと、して♡♡」

私ははしたなく足を広げこの人を求めた、頭の中ではダメだと分かってるのにこの人に表面ばかりの肉体だけの愛され方を喜んでいたのだ
私よりもずっと大きな身体を抱き締めることは出来ずとも必死にその太い首に腕を回せばまるで身体を二つに裂くのか、はたまたまるで私達が二人で一人になっているのかと思うほどに強烈な熱の塊が侵入する

「っくっ、ぅ♡〜ッッ…ま、て♡」

腹の奥まで彼に支配されていると痛感する、何度互いを重ねてもこの熱に慣れることはない、けれど私の躰は浅ましいほど彼を求めすんなりと受け入れることが出来る、繋がり合い熱の圧迫感に身体を震わせる私の頬を撫でて指先で唇を撫でるその行為は優しくそれまでの忙しさなど今だけは消えてしまっていた
自分の中に沈めこまれた異物感にようやく慣れる頃、私は彼の指を舌先で撫でれば響くような水音が部屋の中に溶けた、まるで水の上の波紋のように広がったそれを合図に彼が私の腰を抱いてゆっくりと引き抜いたと思えば激しく突き上げられる

「〜〜ッッ♡♡♡♡」

ビクビクと熱がそこから足の指先や髪の毛の先まで拡がるように感じて声にならない声が上がり指先を丸めて逃げようとしても、片手だけで腰を掴む彼に人間の女である私が適うわけが無いことを自然と教えこまれる

「や"ッ"♡あ"ッ♡おな、っか、おしゃ、えなっ♡♡いれ♡♡」
「ハァッ…今日もよく受け入れてるのがわかる」

私を見下ろす彼は抽挿を繰り返しながらへその下を指で何度も押した、内側と外側からの刺激に頭の中が真っ白になり背中を反らせてイッてしまう私はもうずっとこうして彼に教え込まれている
まるで子を孕めと言わんばかりに、お前は私を受け入れているのだと言わんばかりに、彼は私に言葉ではなく行動で示す

「まっ、へ♡♡イッ、たのぉ、イッ、たから♡♡ゆるひて♡♡ごめ、なさ、い♡♡」

稚児のように聞かれてもない意味の無い謝罪と言葉を繰り返す私の言葉など受け入れてくれるわけがなく、彼は一度引き抜いたかと思えばひっくり返して寝転がった彼の上に仰向けで寝かされ足を開かされる

「やっ…ぁ♡」

嫌じゃない、私は雌として悦びを感じていた、私の足の間に鎮座する腹まである巨大な男性器が私のナカにもう一度沈んで仲間でも女中でもないただの彼の女-雌-にされることを心の底から喜んでいる
何故なら私は彼を心の底から愛しているから
頭上で聴こえる荒い吐息と力が込められた足を持つ手の力、互いの心臓の音など全てが私たちの興奮材料であり、美しかった神のような男とそれに遣える女など存在しない

「もうやめてしまうか」

ぴとり♡と私の穴に入口を添えたこの人は意地悪を言う、ひくつく女壺は彼を求めるように蠢いているのはわかっているはずだ
けれどそうして今さら問いかけるのは彼にも罪悪感があるからだった、私達は本来こんな関係になってはならない、仲間としてザ・マンと女中のティアとして生きていかねばならなかった

「いや♡抱いて…めちゃくちゃに、して♡私は、あなたの所有物、ですから♡」

貴方のためなら私はなんだってしてみせる、悲しみにくれるその背中に寄り添うことが出来ないせめてもの罪滅ぼしだ。

「お"ぉ"お"っ♡♡ん"ッ…くッう"ッ♡♡」

先程よりも深く強く挿入れられるソレに私は声を上げて自然と背を逸らそうとすることを許さずに優しく抱き留められる、柔らかい筋肉と感触と変わらないこの人の匂いに抱きとめる腕の優しさが何処までもザ・マンであり私は自然と一粒の涙を零しながらも隠すように彼の手に指を絡めた

「あぁお前は私が拾い上げた唯一の希望だ」

小さく聞こえたその言葉に私は胸が痛くなる、下から突き上げられる度に快楽を得て情けない女の声が上がる、激しく繋がりあった場所が音を立ててより一層厭らしい男女のまぐわいだと思い知らせる
突き上げられ求められ、それは愛でないのかもしれないのに心地よいのは私が何処までもこの人を深く愛しているからだろう
何度も求めて位置を変えて抜いて刺してと繰り返し、気付けば私は彼に向かい合う形で上に乗っていた、この超人墓場にいる誰とスパーリングをしても汗を垂らさないこの人が汗を垂らしている姿をみては内心心地よくなって、私は上に乗って繋がったまま彼の汗を拭う

「ハァッ♡あっ…」

どうしようもない圧迫感に声を漏らしながらも互いに限界が近いと感じ進む行為を感じながらふと腰を強く抱かれ、私は彼の頬を撫でて唇に顔を寄せた

「ティア…そろそろ、射精すぞ」

低い声がつぶやく言葉に私は笑みを浮かべて私は自分の口に手を添えた、それを見る彼は何も気にせずに激しく私のナカを荒らした
もし今この手を取れば感情の蓋が外れて彼に想いを告げて口付けをしてしまうことを知っていた、目の前の男はそんなことは気にしないのかもしれないが私には出来なかった。

『ティア、お前が居てくれたことは私達にとってとても幸福な事だ』

強く腰を突き上げられて、いよいよ互いに我慢できずに欲望の果てに導かれる時、瞼を閉じた先の彼は優しく微笑んだ私にそういっていた

私はどうしようなく、ザ・マンのことを愛している。


「…また、いない」

目を覚ませばいつも通りにいない彼に寂しさはあるものの仕方の無いことだと感じつつ抜けたばかりで残された熱を手でなぞり、ふと枕に顔を埋めれば彼の香りが広がる、加齢臭は意外としない。

明日はまた仕事だからどうしよう何をしようそういえばこの間貰ったフルーツが余ってるから後で食べようと思いつつもう一眠りしようとまぶたを閉じた時だった

「まだ寝ているのか」

ふと聞こえた声に思わず身体が震えた、それは間違いなく彼の声であり優しく髪を撫でていた

「あれだけしたのだ、無理もない…か、お前には無茶ばかりをさせてしまう」

ぽつりとつぶやく彼の本心はあまりにも弱い男であると感じた、超人を愛した末の今の彼だと理解している私は何も言えずに狸寝入りをしていた、いつぶりに彼に頭を撫でられていることかと感じて心地よくて眠気がやってくる

「愛しているんだティア、このような形でお前を縛り付ける私を赦せとは言えないがな……すまない」

最後にもう一度というように彼は大きく頭を撫でてどこかに行ってしまうことを感じたのはベッドの沈みが消えたからだった
ドアが音を立てて閉まってしまえば起き上がり私は彼の座っていた場所を眺めればそこにはお皿いっぱいのフルーツが皮を剥かれてそれぞれ並んでいた

『皮付きにしては食べにくいだろう』
『でも手間はかかってます、料理は愛情、りんごひとつの剥き方もですよ』

「…ずるい人」

案外不器用な人だから。と私はうさぎには見えないけれどそれらしく剥かれたリンゴを口に含む、今はまだきっと彼の心は救われないけれどいつか彼の心が救われればいいとそう深く願いながら温もりの無くなったその場所を撫でる、そうしたら私の想いもいつか彼に伝えられるから。

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