ダルメシマン
近頃彼女が買い出しの誘いをしなくなった。その事に気づいたのはダルメシマンが彼女に対して善意から申し出たことを数秒迷った末に断られたからだった
「その気持ちだけで十分だよ、ありがとう、それじゃあね」
そういって背中を向けて自らの仕事をこなす彼女に思わず宙に浮いた手をどうしたものかとダルメシマンは見つめたあと思わず奥歯を噛み締めた
完璧超人達の根城である超人墓場の女中として日々彼らの日常生活を支える彼女は毎日地上への買い出しが必要であった、その量は人間の彼女では到底持ち運べるものでは無いため鍛錬かつ休息も含めてダルメシマンは行動を共にした
はじめの頃は嫌だったもののいつの日からそれが日常となり、超人閻魔からの命令以外であれば基本的に優先してやるほどだった
「だというのにどういうつもりだ〜?」
思わず呟いたその言葉は誰に拾われる訳でもない、そして胸の内で何処と無く苛立ちを感じていたことにも自身の事ながら不思議思えた
たまたま今日は買い出しがなかっただけなのかもしれないと彼は自分を納得させたもののその日以降も彼女がダルメシマンに買い出しの手伝いを頼むことは無かった。
そうして一週間、二週間と過ごす中で流石の彼も落ち着きがなく苛立ちをぶつけるような手合わせを仲間たちとこなしては何故彼女が誘わなくなったのかと考える。
はじめの数日は買い込みをした故に本当に買う物がなかっただけだと思ったが二週間も過ぎればそうでないことは彼も察する
買い出しに行く度に仲間達には内緒だといって二人でカフェでお茶をしていたことがいよいよバレて始祖達に小言でも言われたのか?はたまた隠れて二人で買っていた食玩の件がバレたか?
「う"ぅ"ー分からんぞ、これはもう直接聞くしかない」
そうなれば行動だと言わんばかりに彼は彼女の居る超人墓場の調理場に足を踏み込むもそこに彼女はおらず、いつも立っているキッチンには一冊の本が佇んでいた
"ワンちゃんのきもち"
犬でも飼うのか?と思わず小首を傾げつつふと時計を見れば丁度買い出しに出る時間かと気付いたダルメシマンは慌てて走り出す、今ならまだ真相を聞けるはずだと
ようやく足を止めた先には彼女は自身の同僚と称する墓守鬼を二人連れ談笑しつつ買い物に行こうとしている背中が見えたダルメシマンは思わず声を荒らげるように名前を呼んだ
「ダルメシマン?どうしたの?あっ…もしかして何かいるものがあったの?」
駆け寄る彼の表情に驚きつつも彼女はすぐにメモ帳を取りだし何が必要なのかと問いかけるもののダルメシマンはそんな事じゃないと彼女という、あまりの殺気立った態度から彼女の両隣りにいた墓守鬼は思わず数歩後ろに下がるも手馴れた彼女は何も感じずに「なぁに?」と笑みを浮かべた
「どうしてオレを連れていかないんだ」
「連れていくって…買い出しに?」
「あぁそうだ、オレがここに来てからお前の買い出しの手伝いはずっとオレの役割だったはずだ、どうしてだ答えろ!」
ダルメシマンも何故自分がここまで苛立っているのか理解出来なかった、目の前の彼女はうぅーん…と顎に手を当てて困った表情を見せるものの「迷惑をかけたくなくて」という言い訳では無いことは初めの頃に無くなったことを理解している
そんな彼女が自分を誘わなくなった本当の理由とはなにか。ダルメシマンは口内に溜まった唾液をごくりと飲み込んでみつめる
「この間テレビで見たんだけど、今の地上は猛暑でアスファルトが暑いから火傷しちゃうって」
その言葉にダルメシマンは意味が理解出来ずにそれはもう完璧超人らしくない間抜けな表情を見せたことだろう
しかし彼女は真剣に説明してみせる、夕方でも暑いから夜に行くほうがいいがそうするとスーパーは閉まっていて買い出しは出来ないから誘うことをやめたのだと
「おい、それなんて番組を見たんだ」
「ワクワク動物園のワンちゃんお世話コーナーのやつ」
「…それは犬に対してだろ」
「でもダルメシマンって犬でしょう?私全然犬のことわかってなくて最近ちゃんと勉強してるの」
玉ねぎとかもダメだったんだよねごめんなさい。と深い反省をした表情を見せる彼女にダルメシマンは思考停止した
その話からして彼女は地上の犬の知識を得てダルメシマンに対してもおなじ扱いをしているのだということだ、確かに超人の中には機械であったり特殊な身体の者はいるがダルメシマンは該当しなかった
「オレは犬じゃねーーっ!」
そう叫んだ声は響き渡り思わず墓守鬼達は耳を塞いだものの彼女はスンとした態度で目を丸くしてから「そうなの?」といった
そもそも何年も猛暑日だろうが関係なく買い出しをしていたのに今更過ぎるんだと彼は思うものの目の前の女は「なぁんだよかったぁ」という始末で本当にこの女の能天気ぶりと来てはと思わず苛立ちを感じる
「それじゃあ一緒に行けるね、よかった、夏が終わるまで行けないんだって思ってたから寂しかったの」
小さな人間の女の手がダルメシマンの大きな手を包み込むように握り締めた為おもわず彼は驚くものの彼女は背後にいる墓守鬼に買い出しはいいから夕飯の仕込み準備を。と頼み手を引き歩き出す
確かに地上は酷く暑いものだが隣を歩く女はとても機嫌がよく鼻歌でも歌いそうな程だった、いつもの様に日傘を彼女に差してやるダルメシマンが見つめていればふと彼女と視線が交わる
「ダルメシマンと二人での買い出しって本当嬉しい」
「そういうならもう二度と買い出しをオレ以外に頼むんじゃねぇぞ」
モヤモヤとする気持ちは晴れ、隣の彼女にそういえば眩い笑顔が返される、いつもの様に買い出し前にみつけたカフェでお茶をして二人でゆっくりと過ごせるこんな時間を誰にも邪魔などされたくは無い、そう思いながらもまだその想いには気付けないで。
「その気持ちだけで十分だよ、ありがとう、それじゃあね」
そういって背中を向けて自らの仕事をこなす彼女に思わず宙に浮いた手をどうしたものかとダルメシマンは見つめたあと思わず奥歯を噛み締めた
完璧超人達の根城である超人墓場の女中として日々彼らの日常生活を支える彼女は毎日地上への買い出しが必要であった、その量は人間の彼女では到底持ち運べるものでは無いため鍛錬かつ休息も含めてダルメシマンは行動を共にした
はじめの頃は嫌だったもののいつの日からそれが日常となり、超人閻魔からの命令以外であれば基本的に優先してやるほどだった
「だというのにどういうつもりだ〜?」
思わず呟いたその言葉は誰に拾われる訳でもない、そして胸の内で何処と無く苛立ちを感じていたことにも自身の事ながら不思議思えた
たまたま今日は買い出しがなかっただけなのかもしれないと彼は自分を納得させたもののその日以降も彼女がダルメシマンに買い出しの手伝いを頼むことは無かった。
そうして一週間、二週間と過ごす中で流石の彼も落ち着きがなく苛立ちをぶつけるような手合わせを仲間たちとこなしては何故彼女が誘わなくなったのかと考える。
はじめの数日は買い込みをした故に本当に買う物がなかっただけだと思ったが二週間も過ぎればそうでないことは彼も察する
買い出しに行く度に仲間達には内緒だといって二人でカフェでお茶をしていたことがいよいよバレて始祖達に小言でも言われたのか?はたまた隠れて二人で買っていた食玩の件がバレたか?
「う"ぅ"ー分からんぞ、これはもう直接聞くしかない」
そうなれば行動だと言わんばかりに彼は彼女の居る超人墓場の調理場に足を踏み込むもそこに彼女はおらず、いつも立っているキッチンには一冊の本が佇んでいた
"ワンちゃんのきもち"
犬でも飼うのか?と思わず小首を傾げつつふと時計を見れば丁度買い出しに出る時間かと気付いたダルメシマンは慌てて走り出す、今ならまだ真相を聞けるはずだと
ようやく足を止めた先には彼女は自身の同僚と称する墓守鬼を二人連れ談笑しつつ買い物に行こうとしている背中が見えたダルメシマンは思わず声を荒らげるように名前を呼んだ
「ダルメシマン?どうしたの?あっ…もしかして何かいるものがあったの?」
駆け寄る彼の表情に驚きつつも彼女はすぐにメモ帳を取りだし何が必要なのかと問いかけるもののダルメシマンはそんな事じゃないと彼女という、あまりの殺気立った態度から彼女の両隣りにいた墓守鬼は思わず数歩後ろに下がるも手馴れた彼女は何も感じずに「なぁに?」と笑みを浮かべた
「どうしてオレを連れていかないんだ」
「連れていくって…買い出しに?」
「あぁそうだ、オレがここに来てからお前の買い出しの手伝いはずっとオレの役割だったはずだ、どうしてだ答えろ!」
ダルメシマンも何故自分がここまで苛立っているのか理解出来なかった、目の前の彼女はうぅーん…と顎に手を当てて困った表情を見せるものの「迷惑をかけたくなくて」という言い訳では無いことは初めの頃に無くなったことを理解している
そんな彼女が自分を誘わなくなった本当の理由とはなにか。ダルメシマンは口内に溜まった唾液をごくりと飲み込んでみつめる
「この間テレビで見たんだけど、今の地上は猛暑でアスファルトが暑いから火傷しちゃうって」
その言葉にダルメシマンは意味が理解出来ずにそれはもう完璧超人らしくない間抜けな表情を見せたことだろう
しかし彼女は真剣に説明してみせる、夕方でも暑いから夜に行くほうがいいがそうするとスーパーは閉まっていて買い出しは出来ないから誘うことをやめたのだと
「おい、それなんて番組を見たんだ」
「ワクワク動物園のワンちゃんお世話コーナーのやつ」
「…それは犬に対してだろ」
「でもダルメシマンって犬でしょう?私全然犬のことわかってなくて最近ちゃんと勉強してるの」
玉ねぎとかもダメだったんだよねごめんなさい。と深い反省をした表情を見せる彼女にダルメシマンは思考停止した
その話からして彼女は地上の犬の知識を得てダルメシマンに対してもおなじ扱いをしているのだということだ、確かに超人の中には機械であったり特殊な身体の者はいるがダルメシマンは該当しなかった
「オレは犬じゃねーーっ!」
そう叫んだ声は響き渡り思わず墓守鬼達は耳を塞いだものの彼女はスンとした態度で目を丸くしてから「そうなの?」といった
そもそも何年も猛暑日だろうが関係なく買い出しをしていたのに今更過ぎるんだと彼は思うものの目の前の女は「なぁんだよかったぁ」という始末で本当にこの女の能天気ぶりと来てはと思わず苛立ちを感じる
「それじゃあ一緒に行けるね、よかった、夏が終わるまで行けないんだって思ってたから寂しかったの」
小さな人間の女の手がダルメシマンの大きな手を包み込むように握り締めた為おもわず彼は驚くものの彼女は背後にいる墓守鬼に買い出しはいいから夕飯の仕込み準備を。と頼み手を引き歩き出す
確かに地上は酷く暑いものだが隣を歩く女はとても機嫌がよく鼻歌でも歌いそうな程だった、いつもの様に日傘を彼女に差してやるダルメシマンが見つめていればふと彼女と視線が交わる
「ダルメシマンと二人での買い出しって本当嬉しい」
「そういうならもう二度と買い出しをオレ以外に頼むんじゃねぇぞ」
モヤモヤとする気持ちは晴れ、隣の彼女にそういえば眩い笑顔が返される、いつもの様に買い出し前にみつけたカフェでお茶をして二人でゆっくりと過ごせるこんな時間を誰にも邪魔などされたくは無い、そう思いながらもまだその想いには気付けないで。