ゴールドマン

女が幾度目かの絶頂を迎え、頭を大きく反らせた時だった。
白く、スラリとした女の首がやけに目を惹かれる。
なにか変わった事がある訳でもないのに、何故か目が離せない。
誘われるように手を伸ばし、片手で十分な程細いそれを掴む。
普段より速いだろう脈拍に、忙しなく酸素を運ぶ血潮の流れ。
そして掌に感じる汗ばんだ肌の感触と、ぼんやりとした瞳。
その瞳でこちらを見上げる女にふと、ひとつの記憶が呼び起こされた。
それはいつか読んだ本の一遍。人間の繁殖についての記述。
曰く、人間の繁殖能力は肉体が危機に瀕した時に最も強く働く。
曰く、雌は肉体へ物理的・精神的なストレスをかけると、性欲からではなく生存本能で子孫を残そうとする。
そこまで思い出して、己の中に可能性が浮かぶ。
(このまま首を絞めれば、この女は孕むだろうか。生存本能を刺激された女のナカで、己の種は芽吹くのだろうか)
それと同時に嗜虐的な思考が頭を擡げた。
女が苦しみ喘ぐ顔が見たい、と。
ぐっ、と女の首を掴んでいた手に力をこめる。
途端に息を詰める女を見つめ、細く息を吐く。
どんどんと力を強めていけば、それに合わせて女の顔は青ざめていく。
気道を完全に絞めれば、酸素を求めるようにはくはくと口を開閉させ、とうとう涙を流し始めた。
酷くそそられる顔だ。
首を絞める腕に爪をたてられ、いく筋もの赤い線が引かれる。
それが女ができる最大限の抵抗だと気づけば、ずくりと腰に熱が集中する。
再び屹立した男根を奥に押し込めば、先程より強く締め付けられる。
今にも死にそうになって必死にもがいているのに、男根への締め付けは強くなる一方だ。
けして折らないように、加減に注意しつつ女の首を絞め続ける。
次第に焦点が合わなくなっていく瞳とは対照に、興奮がジリジリと身を焦がす。
お前はそんな顔で苦しむのか。そんな弱々しい抵抗しかできないのか。
(あぁ……なんと)
「愛おしいことか」
永遠に私がこの小さな命を握っていなくてはな。
その顔を知っているのは私だけにしなくてはな。
高まる興奮のまま腰の動きを早め、子宮へと精液を注ぎ込む。
長い吐精を終え、擦り付けるように二、三度腰を揺すったあと男根を引き抜く。
同時に女の首からも手を離す。
女は目をきつく閉じたまま気絶していた。
気絶し弛緩した女の体を見下ろす。多量の精液を吐き出され薄らと膨らむ腹に、首には赤黒い傷跡が残っている。
女の生存本能は、生命の危機を感じ取っただろうか。
健気に精液を飲み干した子宮で子を成してくれるだろうか。
(だが、まぁ……)
「孕まなくとも、だ」
傷が消えた頃にまた同じことをしてやればいい。
「その時が楽しみだ」
暗い欲に蝕まれたとしても、女は己を受け入れるだろう。
再び女の命を追い込む情景を想像しながら、体を腕の中に引き寄せた。

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