Memo
2017/10/22 02:28
女の子の痛み
(妊娠したい亜人と佐藤さん)
痛い苦しいと泣いた、ベッドの上で見かけに似合わないほどに大きな腹になった女が嘆いて
男は変わらぬ薄っぺらな笑顔を貼り付けて見つめた
「さとっ…さ」
苦しそうに何度も何度も手で拳を作っては開いて繰り返し、何時間たってるのだろうかと思うほどで、助産婦は来るたびに「頑張りましょうね、旦那さんもいますから」なんていった
旦那さんって言ったって結婚していないし、隣の部屋からは同じようにもう出産間近の女性の悲鳴のような声が聞こえる。
苦しくていっぱいだ、彼は椅子に座りながら言った
「こんな苦しさも気持ちいいだろう?」
この人はサディストだからそういった、男にわからない痛みを持つ
それを知りたいと願ったのは自分だ、腕を伸ばせばそっと手を包み込まれて微笑まれる
優しいように見えてそんな笑顔に優しさは含まれているわけはない、ただ人間を嘲笑っているだけだ
「…も…ころして」
こんなことなら子供なんていらないから。そういえば彼は一層嬉しそうに笑って立ち上がりカバンから大きなマチェットを取り出した
「あーぁ、やっぱあんなの経験しても最悪だよ」
「いい経験にはなったじゃないか」
「…でも、佐藤さんとの子供は欲しかったかも」
「おや、また作るかい?」
そう言って笑った彼の笑顔に背中がそっと冷えていった
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