Memo
2018/03/30 00:39
朝倉リク
りっくん夢の没小説
『リク、天文台に彼女が来ています』
星雲荘の中でペガとゲームをしていた夜、突如レムはそう告げた、彼女というのは誰を指すのかリクは知っている
まるで遠足に行く子供のように目を輝かせてゲームを放り投げた彼はジャケットを羽織り懸命に鏡を向いて身だしなみを整えた
「ライハもペガも来るなよ」
「はいはい、言われなくても」
「わかってるよ」
釘を指した彼に呆れた顔をするライハと彼が嬉しそうなことが嬉しいペガは手を振って見送る
地上に上がるエレベーターの中で彼はドキドキで胸がいっぱいだった、音がなり地上に到着すれば天文台の淵に腰掛けて空を見上げる一人の少女
「お待たせ」
「リク…今日も、来てくれた」
「あ、当たり前だよ約束したし」
「今日はね、月がとっても綺麗だから貴方にも見て欲しかったの」
黒い髪に金色の月のような瞳の少女、まだ少し肌寒い夜だが寒くもないのか薄い白いキャミソール型のワンピースに半袖の短いジーンズジャケットを羽織っただけの彼女と出会ったのは星雲荘に来た次の日だった
その日も月が綺麗な星々が煌めく夜だった
この街は都会ではあるが星が良く見え、街を覆い尽くして見守るように出来ていた
彼女は晴れた日の夜に現れて天文台の淵に腰をかけていた、買い物帰りのリクはそんな彼女に一目奪われた
白い肌に細い手足抱きしめたら壊れそうな細い体に黒く美しい髪にまるで引き立てるような金色の瞳
「宇宙は出会った時から綺麗だったから僕びっくりしたんだ、人間じゃないように見えたし」
「私も宇宙人?」
「そっそんなわけない、でも宇宙人でも納得出来るな…だってこんな綺麗な眼を持つ人間なんて知らない」
ふとリクの手が伸びて彼女の頬に触れる、表情は変わらぬままだがその手に重ねて擦り寄った
リクはこれまでで経験のないほどの感情を彼女に出会い知った、愛という強さと恋という楽しさを
恋人になりたい、キスをしたい、そんな欲が大きくある訳ではなくただ隣で今のように星を見ていたいと心から思っていたのだ
「本当、人間じゃないのかな」
「ずぅっとそんなこといってるねリク」
「人間と宇宙人じゃ、寿命が違うから…宇宙と離れたくない」
星雲荘の中、椅子に座りながらタコのぬいぐるみを抱きしめた、おまけに彼はベリアルの息子だった、もし自身の正体がバレた時にはきっと彼女は拒絶する、ウルトラマンジードを怖いと認識してしまうかもしれない、彼女を想う時リクは臆病になってしまう
『リク、彼女は人間ではありません』
突然そう告げた、レムのいうことは正しい
レムの言葉は簡単で天文台に彼女の落ちた髪をあまりにもリクが気にしたものだから調べたのだと
人間ではないが宇宙人とも呼べない不思議な存在だと述べた
「だから、宇宙は何者なんだろう」
「リクは正直に話してくれるね」
その日は天気はよくなかった曇り続けて夜は雨が降るのだと天気予報では言っていた
彼女は何かを知っているかのように天文台に座って、彼が来たのを見た時小さく微笑んだ、表情の少ない顔で
「伏井出ケイに作られた人形…この中は空っぽでベリアルが恋焦がれた人間の体を元に作られた…いつか、いつかベリアルがその人を復活させるために」
「…父さんが?」
「人間でも宇宙人でもないの、だからリクごめんなさい…私は、貴方が気になったのベリアルの息子だから」
「それでも僕は君が好きなんだ」
「あなたの目は真っ直ぐで優しくてあったかいから私は嬉しかったの、でも貴方には沢山の人がいるから」
私なんてきっといらない
人間の形をしただけで彼女には何も残っていない、家族も育ての親も何もかも掌で踊らされたリクとは違う
彼女には何もなく人形のように操り糸で動かされ生かされるだけだ、いつからかそれが当たり前の世界であるのに変わった、恐ろしくなり太陽に手を伸ばそうになった
「間違ってる、僕は宇宙がいるから頑張れるんだ…好きだ、君がいるから僕は立ち上がれるから、だから」
「リク、顔上げて」
「なにっ…」
泣きそうな声になりながら顔を俯かせたリクの頬に手を添えた彼女はそういって唇を塞ぐ
柔らかい優しい唇が重なり合いそっと背中を抱きしめる、白いワンピースにシワがよるのを見つめながらも
「宇宙?」
「なら、私はリクといたい…今度はリクのお嫁さんになりたい…かも」
「え、あっ…そっそれならじーとしててもどーにもなんない、僕の家に行こそれで一緒に住もう」
そこからまたお互いを知ればいいと彼女に告げれば目を丸くした、それはまるで月のように丸く美しく輝くのだった。
設定がまだ決まらなかったので没
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