Memo
2017/08/04 02:53
好きになるのが難しい
(Mに恋した社長の所のバグスターの話(没)
「あれ、これって新しいゲームですか」
「ん?あぁそれは」
「ドレミファビート2?」
「あぁ試しで作ってね、まだ販売予定はないんだ」
電源ボタンが入った、久しぶりに奥が見えていつも通りの男が見えると思った
ドレミファビート2
そう言うと同時に目に入ったのは白衣を着たまるで子供みたいに目を輝かせた男の人だった
話し声が聞こえてポッピーみたいに出れるのかといってるのを聞いて自分を作った製作者の言葉も知らぬふりをして飛び出した
「こんにちは、私はプッピーピポパポ」
「うわーかわいい」
ゲームのキャラクターとして、彼は嬉しそうに笑って両手をとって笑った
初めて他人に触れて知ってもらい、言葉をかけてもらったのが嬉しくて頬が緩む
それでも彼と友達にはなれなかった、ゲームキャラクターでありながらバグスターであり、所謂異端者であった
壇黎斗の理想として作られて、彼の愛だけを作られたデータの心で受け止める。
「永夢…」
誰もいない部屋で呟いては目を閉じる、優しい人だった、暖かな手に愛おしいほどの瞳
あの出会いからずっと脳を支配して離れない、好きということはこういうことなのだろうかと思いながらベッドに寝そべる
「プッピー出てこい」
名前を呼ぶのはそんな人じゃない、愛といいながら欲をぶつけるだけだ
日々ボロボロになる精神と身体はいつしか壊れてしまいそうになる、指先が頬を撫でて体を繋がらせてどれだけの愛の言葉を囁かれ口付けが落とされても
あの日あの時の彼だけが思い出される、きっと彼ならこうしないのに、きっと彼なら彼なら、彼なら
何も知らないくせに
誰かがそういった気がした
同じバグスターであるパラドがある日やってきた
「そんなに気になるならいけばいいだろ、人間の体でも使ってさ」
「でも、黎斗にバレたらきっと私」
「大丈夫だ、消されることなんてない…それとも俺が永夢やあいつの代わりに抱いてやろうか」
パラドは永夢のバグスターだ、だから出来なくはない、あの優しい瞳で愛おしい指先で抱かれる、けれど心は永夢ではない
悪魔の言葉はまるで蜜のように甘い、警備の緩い誰もいない時、自分に感染していた人間の体に入り込む、少しだけだからといって
「あ、葵さんこんにちは」
「こんにちは永夢くん」
毎日まるでテレビを見るように、永夢をみつめた
手が触れ合う度に私の体ではないのに、どうして嬉しいのだろう
感情が溢れるいつしかこの宿主を妬み始めてしまう、苦しくなって悲しくなってただ愛されたいと願い始めた
「……ぁ」
「プッピーが、葵さんのバグスターウイルスだったのか」
「うん、ねぇ永夢」
「なんだ」
冷たい瞳だ、人を苦しめるから、また心が痛むその度にきっとあの女は傷ついて苦しんでいる
涙が溢れてくる、どうしてウイルスとして作られたのか、どうしてあの男といなきゃならないのか
好きと言いたい、愛してほしいと願っているのに
「葵が好き?」
「もちろん、愛してるよ」
「そっか」
恋って苦しいんだ
ウイルスみたいに脳みそさえもグチャグチャにしてきて、どうして人は人を好きになるのか少しだけわかった気がした
苦しくてもその人の幸せがあるならばいいって
「んだよ、結局上手くいかなかったか」
「…パラド知ってたでしょ」
「さぁ?」
「いいの、黎斗の私に対することとかも分かったし…それに宿主と永夢が幸せそうなら」
「なぁなぁ」
「なに」
「俺も好きって言ったら?」
クルクルと椅子を回しながらそういうパラドに一言告げる
「嘘ばっかり」
大きなため息をついて、少しだけ軽くなった心で眠りにつく
恋も愛もバグスターには難しい、なんて思いながら。
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なんとなくキャラクターが出来上がらず話の起承転結がうまくいかずに没…いつか書けたらいいな
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