行事ごとに関係がないとは思わないが、そもそも自分の恋人を考えれば関係ないと言っていいレベルの話だった
目を覚まして携帯の連絡はひとつも入っておらず朝食を取り歯を磨いて着替えて行ってきますと告げて家から出る、ふと気になって郵便受けを見てもやはりそこには何も無く少し寂しくなってしまう
電車に乗って職場近くになれば街は数週間前からのバレンタインという色に染め上げられ、この時期に聞きなれた曲に埋め尽くされてピンク色やハートに埋め尽くされていく
「おはようございます」
「なまえ立会人おはようございます」
朝早くから忙しなく走り回る黒服達は早朝から立ち会いなのだろう、そう思いつつも後からあった女子達に大量にチョコレーを受取気づけばデスクの上はチョコレートまみれで他の男性立会人も貰ってるとはいえ女子同士は特別なのかデスク上を占領するそれを適当な袋に入れる
「なまえ立会人居られますか?」
「はい、こちらに」
「バレンタインですからプレゼントが来てましたよ、下にありますから帰りに受け取りに行ってください」
判事からの伝言に不思議に思いつつ携帯を覗いてもやはり連絡は何も来ておらず、結局いつもと変わらぬ日々を過ごし業後なまえは本部から出る前に荷物の受け取りに向かった
「…これですか」
「えぇ伽羅からだそうです」
思わず目を丸くして渡された大きな花束を受け取る、そのまま電車に乗り家に帰ってその花束を見つめながらインターネットで検索をしていた時だった、チャイムが部屋に鳴り響きドアを開ければ少し鼻先を赤くした伽羅がいた
「届いたか?」
「うん、びっくりしちゃった」
「お前祝い事好きだろ」
「好きだけど何処に飾ろうか悩んじゃった」
靴を脱いで上がった彼の背中を追うようについて行けば持ってきた袋の中から花瓶が取り出されて水を入れて花束をその中に入れられて飾られる
「どうせ花瓶のひとつもねぇんだろ」
「花なんて滅多に買わないから仕方ないじゃん」
「あぁ知ってるよ、お前からのバレンタインは無いのか」
「…3ヶ月ぶりに会うような人に用意するものなんてありませんよ」
素っ気ない態度で伝えるが結局これは自分の用意していなかったことに対する恥ずかしさや、悔しさやらのせいだ、態々スーツを着て花束を用意した彼に対して何も出来ない自分は恋人としてどうなのかと思えた程だった
「じゃあ奪うしかねぇわけだな」
ふと腕を取られて天井と彼の顔を見上げる羽目になり心臓が騒がしく踊り出す、思わず近づいた顔にギュッと目を閉じれば前髪を払い除けられ唇の食感を額に感じる
「え」
「バレンタインも貰ったわけだし俺は帰るか」
「ま、まだ私からあげてないから帰らなくていいでしょ」
「ハッそりゃあくれるってことでいいのか」
帰ろうとし始める彼の手を掴んでそう伝えればまるで獲物を見つけた肉食獣のような顔で笑った彼の顔が近付いた、バレンタインは甘くて解けない魔法みたいな日に今からなる事をまだ知らない
伽羅
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